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アイドルのマネージャーにはなりたくない  作者: 塚山 凍
Extra Stage-α:ボヌールの醜聞
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頂点に座する時

 そうして、天沢が車に乗り込んでから、目的に辿り着くまでの約三十分を三人で共有した訳だが。

 俺たちはその時間を、ほぼ沈黙のみで過ごした。


 言って置くが、寝ていた訳では無い。

 運転手である碓水さんは当然として、俺も天沢も、しっかりと意識を保って車に乗っていた。


 じゃあ、何で話をしなかったんだ、と言われそうだが、仕方が無いだろう。

 元々、ここに居る三人は全員、おしゃべりという訳では無い。

 寧ろ、放っておけば自然と場が静かになってしまうタイプの人間である。


 加えて、俺と碓水さんの場合は、先ほど言ったように脅迫状に関する事情を天沢に漏らしてはいけない、という制約があった。

 要するに、迂闊なことを話さず、関係ない会話でも言葉選びに気を遣う必要があるのだ。

 このせいで、いつの間にか全員が口を閉ざしてしまったのである。


 尤も、最大の要因は────。


 ──全く緊張が解けた様子が無いな、天沢……あれから、一言も喋ってない。


 他の車が殆どいないために、実にスイスイとロケ地近くの駐車場にまで向かう車の中。

 俺は、チラリと後部座席の様子を伺う。


 そこには、家の前で拾った時とほぼ同じ雰囲気のまま、ぎゅっと両手を握り締めて固まっている天沢の姿があった。

 先程までの違いと言えば、玄関前では仁王立ちだったが、ここでは手を膝の上に置いて、実に姿勢正しく座っていることだろうか。

 まるで何かの痛みに耐えているかのように、彼女は両手両足を強張らせ、必要以上に背筋を伸ばしている。


 こういう状況でなければ、体調でも悪いのか、とでも心配していたかもしれない。

 しかし、流石にこの姿勢の理由は、それでは無いだろう。

 純粋に、これからの撮影に緊張しているが故に、ああなっているのだ。


 ──本当なら、声をかけて緊張を解いた方が良いんだろうけど……どう声をかけたらいいか分からないな。そもそも、何が正解かすら……。


 俺は彼女の様子を背中で感じながら、そんなことを考える。

 流石に、このままの状態でロケに向かうのはどうなのだろうか、という思いはあった。

 脅迫犯云々の事情があるにしても、何かしら声をかけた方が良い。


 しかし、じゃあどうすればいいのか、となると、これが一気に分からない。

 何せ俺は今まで、ここまで緊張した人間というものに出会ったことが無かった。

 その人生経験の少なさが、俺の手札を減らしている。


 無論、緊張している人自体には出会ったことがあった。

 だがそれは所詮、「授業の発表の前で緊張している」とか、「受験の前で緊張している」程度の話であって、ここまでの重大事に直面した人間のそれではない。


 だからこそ、分からない。

 どんな言葉を駆使すれば、こういう状態に陥ったアイドルの緊張を解せるのか。


 頭の中で、幾つかの陳腐な気休めが浮かんでは消えていく。

 何か思い浮かぶたびに、とりあえずその言葉が駄目なことは分かる、という有様だった。


 必然的に、俺は黙りこくってしまう。

 碓水さんもおおよそ似たような有様だったのか、無理して口を開こうとはしていなかった。


 ……そういう訳で、やはり車内は沈黙に満ちていて。

 比喩でも誇張でも無く、碓水さんが「目的地に着きました」と言うまで、俺たちは一切の言葉を発しなかった。






「ここがロケ地の麓、ですか?……確か、ここからロケバスに乗るんですよね?」

「そうなります。ここは合流地点というか、駐車場ですから。ここで撮影スタッフや凛音たちと合流してから、山頂の方に一緒に向かう形になります」


 目的地となる麓の駐車場に辿り着いてから、すぐ。

 碓水さんが駐車場に車を停めてから、俺は確認の意味も込めて質問をする。

 そして返答を聞いてから、とりあえず姉さんの話は間違っていないな、と再確認した。


『今回のロケは、ある山の頂から見える日の出の様子をレポートするのがメインだ。だが、山頂までは一応道路が繋がっているが、狭いし、駐車出来る数も少ないからな。お前たちは一旦山の麓で車を降りた後、ロケバスで一気に山頂に向かう形になる。その方が、山頂に置く車の数が減るからな……』


 出発前、このようなことを俺は聞かされていた。

 今のところ、その予定から外れてはいないようだ。


 事実、俺の視界には──夜明け前なので非常に見辛いのだが──複数台のバスと、それを取り囲むように置かれた一般車、さらにその周囲を駆けまわるテレビクルーのような人たちの姿があった。

 あれらは、予め準備されたロケバスと、俺たちと同様にそこに乗り込む予定のスタッフたちなのだろう。

 俺たちの到着に先駆けて、機材をロケバスに運び込んでいるらしい。


「……では、私はスタッフに到着の報告と、予定の再確認をしてきます。松原君と天沢さんは、先に『①』と書かれたバスに乗っておいてください。そちらが、タレントと関係者の乗るバスになっていますから。席は、車内であれば適当で構いません」

「あ、分かりました」

「……はい」


 碓水さんがテキパキと指示を出すと、俺はそれなりに明確に、天沢はかなり小さな声で返事をする。

 それから、俺たちは言われるがままに車を降りて、手荷物を抱えたまま歩く形となった。


 バスは目の前に見えているし、流石に迷うようなことは無い。

 それを分かってか、碓水さんは本当に音もなく姿を消す。

 そして、天沢を俺に預けるようにしつつ、スタッフ──恐らく、ディレクターか何かなのだろう──の方に駆け寄って行った。


「じゃあ、行こうか」

「……うん」


 碓水さんを見送る形になってから、バスに向かう前に、俺は一度、背後を振り返って声をかけた。

 そうしないと、天沢は緊張しすぎてついてこないんじゃないか、と思って。


 心配しすぎだ、と思われるかもしれないが、本当にこの時の天沢は、手でも引っ張った方が良いのではないか、と思えるくらい弱々しかった。

 せっかくスポーティでよく似合っている衣装──白いティアードブラウスと黒いハーフパンツ──をしているのに、これではくすんで見えてしまう。


 ──迷子の子どもでも、もうちょっと覇気があるぞ……。


 流石に口にはしなかったが、俺は密かにそんなことを思う。

 何かこう、傍に居るだけで緊張が伝わっていて、見ていられないのだ。

 ただ、それでも掛けるべき言葉が見つからないので、天沢を見つめはしても、何も言えないのだが。


 ……結果、俺はチラチラと背後を確認しながらバスまで向かうという、散歩中の飼い犬みたいな動きをしてしまう。

 多分、傍から見ていても不自然な態度だったと思うのだが、それを咎める余裕も無いのか、天沢はテクテクとついてきた。

 じっと、地面だけを見つめて。


 こうやって歩いている間、俺たちは互いに無言だった。

 だからというべきか、俺たちの耳には、周囲の雑音が────より正確に言えば、機材をドヤドヤと運ぶスタッフの怒声が大きく聞こえてくることになる。


「……おい、ちゃんとカメラは用意した分詰んだだろうな?山頂に行ってから足りません、では話にならんぞ!」

「積んでますって、何度も確認しましたから!」

「そうやって前も忘れただろうが!メインレポーターを撮る方と、サブを撮る方、両方無いと編集も出来んからな!」

「知ってますって!画角の調整だって話し合ったでしょう、一人ずつ映した方が良いって……」


 どうやら、怒声を響かせている彼らは、この撮影のために呼ばれたカメラマンたちらしい。

 そして彼らは、忘れ物が無いように必死になっているようだった。

 プロにしてはやや余裕がないようにも見える光景だったが、少し考えて、それも仕方が無いか、と思い至る。


 何故かと言うと、今回の彼らの撮影対象には、凛音や天沢と言ったアイドルの表情だけでなく、山頂から見える日の出も含まれているからだ。

 そして当然ながら、撮ろうと思えばいつでも撮れるアイドルはともかく、日の出の方は、まさに太陽が出てくる一瞬が撮影のチャンスだ。


 仮に撮影に失敗してしまうと、それこそもう一度ここに来ない限り、撮り直しがきかない。

 しかも今回の場合、アイドルの反応もその映像に加える、という仕事もある。


 番組の新コーナーということは、撮影の勝手もよく分かっていないかもしれず、中々、面倒な仕事になっているかもしれなかった。

 難しい初仕事に挑んでいるのは、俺たちだけではない、ということである。

 そう思えば、スタッフがこうもピリつくのは寧ろ必然と言えた。


 ──ただ、天沢にはちょっと悪影響かもな、この雰囲気は……。


 そう考えて、俺はもう一度チラリと背後を見やる。

 すると予想通り、周囲の慌ただしい雰囲気に押し負けてしまったように、一層肩を縮こませる天沢の姿が見えた。

 周囲の緊張した雰囲気に怖気づいて、さらに固まってしまっているように見える。


 ──本当に、何か緊張が解れるようなことをした方が良いな、これ。元はと言えば、そのことを姉さんに頼まれていたんだし……。


 彼女の姿を見て、俺は痛切にそう感じた。

 究極的には本人が乗り越えるべき問題なのだろうし、関係者かどうかも怪しい俺が何か言うのは筋違いなのかもしれないが、それでもこう、痛々しすぎて見ていられない。

 何かできないか、と俺は天沢と指定されたバスに乗りこみながら頭を回した。


 それこそ、脅迫状の件は一旦忘れてでも、真剣に考える。

 来るのか来ないんだか分からない犯人よりも、今、俺の目の前に居る天沢の方が、どう考えたって大事件なのだから。


 ──基本は、やっぱり励ましだよな。普通に励ましても効果は薄そうだから、もっと、説得力がある奴を……。


 先程の車内で、下手な慰めは逆効果だと重々把握している。

 かといって、話しているうちに自然と緊張を解す、というような話術は俺には無い。


 それでも、無理矢理に俺が出来ることを探すとすれば。

 それはやっぱり────謎解き、だろうか。


 ──謎解き……要は、理屈めいた励まし、とかか?


 そんなことを考えて、ふむ、と俺は考え込む。

 目の前では、ノロノロと天沢がバスの片隅に座ろうとしていた。


 俺はその様子を見て、少し迷ってから。

 ええい、と彼女の隣の座席に座る。

 そして、相手の表情も見ずに口を開いた。


「さっき、カメラマンの人たち、色々言ってたよな、天沢」

「……え?」


 突然の会話に、天沢が驚いたようにこちらに顔を向けた。

 そして、彼女と知り合って以来、初めて見るレベルの怪訝な顔をする。

 何を言っているんだこいつは、という本音が透けて見える顔だった。


 彼女の視線の冷たさを頬に感じ、背中に嫌な汗が流れる。

 それでも、俺は口を止めなかった。


「さっき聞いた感じだと、あの人たち、カメラのチェックを何回もしたとか、二台は絶対に必要とか、そんなことを何度も確認していた……気がついていたか、天沢?」

「えっと……まあ、確かにそんな感じのことを言ってた気もするけど」


 それがどうした、と暗に彼女の目線が言ってくる。

 明らかに、彼女は俺との会話を疎ましがまっていた。

 ただでさえ緊張しているのに、変なことに意識を割かせないでくれ、と思っているのだろう。


 まあ、彼女の立場から言えば当然の反応だ。

 ただ、この謎解きだけは聞いてもらいたい。

 そう思って、俺は敢えて彼女の視線を無視して話を続ける。


「あのカメラマンの人たち、明らかに結構ピリついてたし、緊張もしていた……なあ天沢、それ、()()()()()()()?」


 如何にも、本当に不思議そうに、そう問いかけて見る。

 すると、天沢は自身の表情を困惑に変えた。

 こんな場所で何を聞いているのか、という風に。


「さあ……単純に、仕事に慣れていないんじゃない?もしくは、日の出については一発撮りだから、気が立っているとか」


 ──おお、鋭い。


 密かに、俺はそこで天沢の思考の鋭さに舌を巻いた。

 未だに緊張は続いているだろうに、先程俺が考えたこととほぼ同じ推理を言い当てている。


 この辺り、まだテレビ出演の経験があまりないとは言え、彼女は「芸能人」であるらしい。

 そのことに軽く驚きながら、俺はもう少し話を深めていった。


「……勿論、その二つが大きな理由だろう。だが、それだけじゃない気もする。だってほら、『画角の調整を話し合った』とか、『一人ずつ映した方が良い』とか、そんなことも言っていただろう?その言葉の意味も、慌ただしさの理由に関わっているはずだ。あの場で、同じ流れで話していたことなんだから」

「……そうかもしれないけど、それが何?」


 そこで天沢は、今度こそ心底興味なさそうな顔をした。

 話の先が見えないのだろう。

 故に、俺はある種の不意打ちのようにして、その先となる謎解きを告げることにした。


「歩きながら、ちょっと考えたんだが、もしかするとこの慌ただしさって……()()()()()、なんじゃないかと思ってさ。それで、話しておこうと思って」

「は?……私?」

「ああ、そうだ。もしかするとあのカメラマンたちは、天沢のために頑張っているから、ピリついているんじゃないか。俺は、そう推理したんだ」


 上手い具合に興味を引けたようで、天沢が瞬く間に身を乗り出してくる。

 それを良いことに、俺は一気に推理を語っていった。




「さて────」




「さっきのカメラマンたちの言葉には、改めて振り返ると、ちょっと不思議な点がある」


「画角の調整をした、というのは、まあ良い」


「だけど、『一人ずつ映した方が良い』というのは、どういう意味だ?」


「今回の撮影のレポーターは、メインの凛音さんと君だ。当然、共演者なんだから、二人一緒に映るのが普通だろう。余程大人数ならともかく、二人程度なら一つの画面に収まるだろうし」


「だけど、彼らはカメラを二台持ち出してまで、一人ずつ映す、と断言していた。あの言い方からすると、前々からそう決めていた節すらある」


「これは、何故だ?」


「……それで思い浮かんだのが、君のため、という仮説だ。いやまあ、所詮は俺の妄想なんだけど」


「でも、そう考えると腑に落ちるのも確かだ」


「わざわざ二つのカメラで撮るのは、君を中心に据えたアングルと、凛音さんを中心に据えたアングルで使い分けるため」


「そうやって一人ずつ映しておくことで、取れ高となる部分を繋ぎ合わせるんだろう」


「片方が何か失敗していたり、ちょっと見栄えが良くない状態になっていても、もう片方をメインとした映像で勧める、みたいな」


「要するに……言葉を選ばなければ、君が何かヘマをしても、凛音さんを単独で映した映像だけでもロケが進むように配慮しているんだ」


「だからこそ、普通よりも手間をかけて、撮影してくれている。それこそ、あんなにピリピリしてまで」


「向こうもプロなんだからさ、新人がミスすることは計算の内、というか……寧ろそれ前提で撮影を準備している、みたいな……」


「詰まるところ、天沢が撮影に不慣れかもしれない、というのも想定して、撮影計画を立ててくれているんだ。それが、今の話から考えた、俺の推理になる」




 そこまで一気に言い切ってから、俺は改めて天沢の顔を伺う。

 そして、こう告げた。


「そう考えると、何かこう……ちょっとは、気分が楽にならないか?多少のヘマは、織り込み済みってことだし。ミスしても良い、とまではいかないかもしれないが、ミスしても致命傷にならない、みたいな……」


 言い終わった瞬間、まじまじと天沢が俺の瞳を真正面から見据えた。

 さらに、ポツンとこう呟く。


「もしかしてだけど……励ましている?」

「……多分」


 先程から考えていたことだが、俺という人間は、所詮推理くらいしか出来ることが無い。

 だからこそ、その推理を利用して、緊張を解すべく理屈っぽい励ましをしてみたのだが。


 ……効果あったのだろうか、これ。

 終わってから振り返ると、何だか、物凄く遠回りなことをしている気がしてきた。

 それとなく励ますつもりだったのが、いつの間にやら必死に声かけをする形になっているし。


 ──不味いな、猶更「何言ってるんだコイツ」みたいなことにならないかな、これ。


 不安になって、何となく俺は視線を下にやってしまう。

 しかし、そこは俺の努力の成果なのか、或いは単純に小さな奇跡が起きたのか。

 不意に、フッと天沢は表情を崩して、口角を柔らかく上げてくれた。


「ねえ、松原君」

「え、あ、はい」


 久しぶりに見た感じのある柔らかい表情を前に、俺は何故か敬語を使う。

 同時に、反応が怖かったのか、意味も無く顔を伏せた。

 それを見て、またおかしそうな顔を浮かべながら、天沢はこう告げる。


「その気持ちだけでも……ありがとう」


 彼女の声に導かれるようにして、俺は顔を上げた。

 しかしその時にはもう、天沢はそっぽを向いてしまう。

 ちょっと、恥ずかしそうに。


 そして、彼女は頬杖をついて窓の外を見つめながら。

 俺のほうには、振り向かなくなってしまった。


 ──……とりあえず、さっきよりはマシになった、か?


 表情を伺えないながら、俺は何となくそう思う。

 そうだと良いな、とも思った。


 同時に、俺の方から力が抜けていく。

 推理と励ましに必死になって、こちらまで緊張していたらしい。


 しかし一つ、タスクは終えたらしかった。

 これで多少は気が楽になってくれたなら、俺としても嬉しいのだが────。


 ────そんなことを、考えた瞬間だった。




「……流石は弟さんね。面白いこと、言ってる」




 丁度、俺が肩の力を抜いた瞬間に。

 俺たちの頭上から、唐突にとある声が降ってきた。

 何やら、興味深そうな声色を内包した女性の呟きが。


 反射的に、俺と天沢は顔を上げ、声の主を見上げる。

 そして恐らくは同時に、俺たちは自分たちの隣に、いつの間にか女性の影があったことに気が付いた。


 まず目に入るのは、当然ながら彼女の外観。

 パッと見た感じ、夏だというのにウインドブレーカーを身に着けた、かなり長身の女性だ。

 グラジオラスで言うと、酒井さんくらいの背丈があるだろうか。


 飾りっ気のないスマートフォンを片手に、彼女はふらりとバスの通路に立っている。

 その姿には一切の気負いが無く、彼女がこういう場所に慣れていることを伺わせた。


 しかしそんな特徴よりも先に────俺は彼女の顔に、視線を集中させてしまう。

 失礼な行動かもしれなかったが、自然な行動でもあった。

 何せ、そこにある顔は、俺が珍しく前々から知っていた芸能人の顔────普段なら、画面の中でしか見ない顔なのだから。


 ──凛音……。


 呆気に取られて、俺はつい口を開けてしまう。

 そのまま俺は、現在の日本を代表するアイドルと、実に間抜けな顔で「初対面」を果たすのだった。

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