記憶
いつも通りの時間に起きる。目を覚ますと横にエルが気持ち良さそうに寝て居た。
昨日にあった事は、夢じゃないんだって安心した。でも、記憶が無くなるって、どういうことなんだろう。
今日は土曜日だから安心して二度寝をしようとしてもう一度目を閉じる。
「――ちゃん…お兄ちゃん…」と体を揺らされて僕は徐々に意識が覚醒していく。
「ふわぁーおはようエル。」僕はエルの頭を撫でる。
「えへへ、おはようお兄ちゃん。」そういってニコッと笑う。
まるで昨日あった事が夢みたいだ。これからどうしたらいいんだろう。エルの手伝いって何をしたらいいんだろうか?
――エルはすごく変わっていた。なぜ契約の記憶だけのはずなのにこんなにも性格が変わっているんだろう。
僕はエルと母さんと一緒に朝ご飯を食べて、1度僕は自分の部屋に戻る。
エルは母さんと話している。それに飾っている写真にはエルも映っていた。
本当の家族になっていた。エルだけ髪の毛の色が銀髪だから不自然なような気もするけど…
「これからどうしたら良いんだろうなー。」
「俺様に任せろ。」と言う声が突然聞こえる。そして目の前の何も無い空間から悪魔こぬいぐるみが出てくる。
「なんだ?この、ぬいぐるみ。」つんつんと触ってみる。
「俺様は畏怖、エルの使い魔だ。これからよろしくな。この世界では、飛良羅 絵琉の使い魔だ。」
そっか僕がイロウエルのこの世界?での名前を付けたんだった。
畏怖は僕に色々教えてくれた。
イロウエルは女神だった。でもある時イロウエルは女神を辞めて天使になる事にした。
天使として色んな天使と関わってきて仲良くなった。そんな親友と言える程の天使を庇って、堕天使に堕ちてしまった。
それでもイロウエルは元気そうにしている。などの話を聞いた。
畏怖はイロウエルの事を大切に思っていて、僕にはまだ信じられないからイロウエルの過去はあまり話さないそうだ。
まぁ畏怖からしたら僕なんてただの人間なんだから当たり前だろう。
僕は何をすればいい?イロウエルはどういう仕事をしていたのか?なんて聞いても話す気はまだ無いらしい。
ただの人間に堕天使の仕事が出来るのか?と思っているそうだ。
それでも言わないといけない話はあるらしい。例えば畏怖は普通の人間には見えないし聞こえないらしい。
僕は契約を結んだから畏怖の事が見えている。
畏怖がイロウエルの事について色々言っていた。まず今はイロウエルは居ないらしい。
最初は何を言っているのかが分からなかったけどわかるように教えてくれた。
イロウエルは、飛良羅 絵琉になっており、絵琉にはイロウエルの記憶はもちろん無いらしい。
絵琉はイロウエルがもし、普通の人間だったらって言うのを構成された人間らしい。(勿論普通の人間と変わらないそうだ。)
「まぁ、そういう事だ。藍斗にはこれからいっぱい働いてもらうからな。」畏怖は一回転をして飛んでいる。
「仕事の内容ってその時が来たら教えてくれるのか?」堕天使の仕事がどんなのか分からない僕には聞くことしか出来なかった。
「まーな。その時やっちまった方が藍斗からしても楽だと思うし。エルもそう望んで居るはずだ。」
「分かった。」まぁ今は仕事をせずに生きてればいいだろう。
「じゃあ俺様はする事があるから。」と言うと畏怖は目の前からパッと消えた。
「お兄ちゃん入るね〜」絵琉が部屋に入ってくる。
――絵琉と僕の部屋だろ?そんな言わないくて良いのに。僕がそんな事を言っている光景が見えた。
前に見た殺し狩るような光景と同じ感覚で、今回は絵琉と僕の光景が見えた。どういうことなんだ?偶然なのか?まるで僕じゃない僕の記憶が入ってきてるみたいだ。
「別に、絵琉と僕の部屋だから、そんな事言わなくてもいいのに。」光景と似た様な返し方をする。
「なんかした方が落ち着くの。それに…いや、何でもない」そう言って誤魔化したように笑う。
ただ、絵琉と喋ったり毎日の様に3人でご飯を食べたりした。
今日はそんな生活だった。何も無くて、畏怖は現れなかった。
妹が居るこんな楽しい生活がずっと続いたらいいと思った。
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