キス
唇と唇が触れ合いお互いの粘液が混ざる。
エルは僕の口に舌を入れようとしたから急いで離れる。
「ちょ、ちょっと何してるの!?」僕はエルの行動にびっくりした。
「もう、言わせないでよ。ディープキスだけど?」まるで外国の挨拶見たいに気軽にしてくる。
「な、なんで急にそ、そう言う事して来たの?」僕はエルにファーストキスを取られて恐る恐る聞く。
「契約を結ぶのにキスをしないといけないのよ。だからしたんだけどまだ足りないわ。」
エルの為に黙ってしといたらいいか。僕はそう思いもう一度目を閉じる。
あまり考えない様に目を閉じても考えてしまう。エルの唇の柔らかさを思い出して、体が熱くなる。
「大丈夫。私に任せて、優しくしてあげるから。」エルの温かい手が僕の頬に触れて、僕を捕まえる。
僕は目を開けてキスを待つ。
――また僕とエルの唇が触れ合う、エルはすぐに舌を入れてくる。
僕もエルのする通りに舌を入れようとすると、エルも舌を出し舌と舌が絡め合う。
「んっ…はぁ…はぁ…」エルは少し息を吸ってから舌を入れてくる。
僕はそれに合わせてエルと舌を絡め合う。そして1度離れて僕も息を吸うが、すぐにエルは舌を入れて来て濃厚なキスをする。
そんな行為が何回も続いた。数えきれないほどの濃厚なキスをいっぱいした。
――雨が降っていたみたいだ。キスに夢中になって雨の音も風の音も聞こえずに、エルの喘ぎ声や、体に夢中だった。
生まれて初めてキスをした。それもこんなに可愛い子と何回もした。契約を結んだからには、これからエルの為に、いっぱい頑張ろうと思えた。
お互い黙ってただ2人とも空を見ていた。
「藍斗、――これからよろしくね。」
「僕の方こそよろしくね。」
――僕たちは寝ることになった。母さんにエルって何処で寝るの?って聞いて見たけど、彼女なんでしょ、せっかくだから一緒に寝たら?
なんて言われたから一緒に寝る事になった。でもキスってあんなに凄いんだ。
「それじゃあ寝ようか。」僕はエルにそう言いお互い背を向けて寝る。
「ねぇ、契約の内容なんだけど、ちゃんと聞いてくれる?」真剣な声で僕に言ってくる。
「まだ眠くないから、今話してくれていいよ。」あやす様な優しい声で返事をする。
「私、本当に妹になるから、都合の悪い記憶は全部藍斗の中に入るけど良い?」震えた声で僕に聞いてきた。
「都合の悪い記憶ってどう言うのだ?」
「まず、今日の契約とか忘れちゃうと思う。それに普通の人間になるの。」嬉しそうに言う。
よく分かんないけどエルの事は大切にしよう。
「大丈夫。僕に任せて、もう今日は寝よう。」流石に大丈夫だろと思いながら、もう今日は疲れたから寝ようとエルに言う。
「うん、最後に1つ。私に名前を付けて欲しいの、もし私が私を見失いそうになった時に見失わなくなるように。」深刻そうに僕に言う。
「分かった。」僕はそう返事をする事しか出来なかった。でも名前なんて付けたことないし、ゲームとかの名前はいつも適当だ。
エルの名前か…イロウエルのイロをとって色とか、でも仲のいい人にエルって呼ばれてるんだからエルって使った方が喜ぶよな。
すごく考えた。今までで1番考えた。僕の妹になるかもしれない子の、人間として生きる事になるかもしれないから、考えた。
「じゃあさ、イロウエルのエルを取って絵琉ってどうだ?」そう言って紙に書いて見せる。
エルはその名前の書いた紙を取ってじっくり見る。
「うん。いいと思う。この絵琉って名前も漢字もすごく好き。」エルはいい笑顔をしていた。
「じゃあ僕は目を閉じるね」そう言って目を閉じる。
「うん、私はちょっとこの紙大事に閉まっとくから、先に寝といていいよ。」
今日は色で言うと、虹色みたいな日だった。そんな事を考えているとすぐに眠気がやって来た。
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