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玩具寵愛  作者: 海華
4/11

4


家の中は、怖かった。


洋館なのに床がフローリングではなく畳張り。それなのに男性は靴でズカズカとそこを歩く。壁の至る所には日本画の掛け軸がかけられて、壺とかも置いてある。


とにかくちぐはぐなのだ。洋物に、無理に和風を置いてるせいでとても合わない。


男性に連れてこられた部屋の入口は襖だったのに、襖に何故か提灯が飾られている。


部屋の中も畳が絨毯のように敷かれてその上にベッドが置かれている。ベッドサイドには盆栽。あと、何故か五月人形。


よく分からないチョイスは部屋のあちこちで見られたけれど、私はそのまま男性によってベッドに座らされた。


『とりあえず医者を手配するから少し待ってね真珠。君の心臓を治してしまおうね』


『ありがとうございます?あの、私はなんでここに…私が眠りについてから何年くらい経ってるんですか』


『ん?うーん。真珠、君が生きた時代は西暦何年だい?』


『2058年です』


『なんだって!真珠!その頃のニホンはどんなだったんだい!是非とも私に教えておくれ?』


『いえ、あの、今は何年なんですか』


『ああ、そうだね。今は西暦2714年。ニホンがフジヤマの噴火で海に沈んでからは500年ほどかな』


『………』



唖然と、した。

私が生きた時代から、そんな長い時が立っているなんて。

両親や、家族。それから友達も居なくなるかもと思っていたけれど。



それどころか、日本そのものが無くなっていた。


『私はニホンが大好きなんだ!特にエドやニンジャ、タタミも凄いよね!でも一番好きなのは…』


嫌だ。

知りたいと望んだのは私だったけれど。

もう嫌だ。知りたくない。知りたくないったら知りたくない。



でもどんなに拒んでも、青年はニコニコと語った。


『ニホン人だね!まさか純血種のニホン人に逢えるなんて思っても見なかったよ!』



日本どころか日本人すらいなかったようだ。


なんのために私は、治療受けたいと思ったのか。

胸が込上げる。吐き気がする。


気持ち悪いと、そう思った瞬間私は意識を飛ばした。


『し、真珠!?真珠!!』




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