20話 影(8)
「「「「クロ(たいちょー)!!!」」」」
うわお、勢揃いじゃん。
右からはシーク、左からはユキ、カラス、ヒハイルと同時に私の部屋にやってきた。
お腹に乗ったティアを撫でていると、シークが私に飛びついた。
「クロ?大丈夫かい?お腹は痛む? あ、いや、先におめでとうと言った方が良いのか。」
シークはどういうことなのかわかっているみたいだ。博識のシークだから当然か。
「お、王弟殿下!? ご機嫌麗しゅうございます。」
「ご機嫌よう。」
「こんにちは、王弟殿下! 王弟殿下もクロのお見舞い?」
「おい! お前ら王弟殿下に軽々しいぞ!」
シークの存在に気がついていなかった3人は慌てて頭を下げる。いや、カラス以外頭下げてないけど。
相変わらず凄いメンタルだな、ユキ。ヒハイルは挨拶の仕方が分からないんだろうね。カラスも苦労人様様だ。
「うんうん、気にしないでいいよ。クロの隊だから許す。」
これもし私の隊じゃなかったら、と考えると最悪の想像が浮かんできて恐ろしい。普通の王族なら即刻、不敬罪で死刑だろう。シークはそんなことはしないだろうけど。シークは優しいからね!
「皆揃って何しにきたの?」
「「「「お見舞いだよ。」」」」
わおー。見事に揃いましたね。
そこまで大したものではないんだけど、嬉しい。二度寝しただけだしね。毎回来られるわけにもいかないし、ここは元気に動いときますか。
「そこまで心配しなくても大丈夫なのに。ほら! もうどこも痛くないよ?」
「駄目だって! 寝ときなよ! 僕の不意打ちを防げるぐらい元気なら許してあげるけどー。」
ううっ!
それは回復していても難しくなっている気がする。最近腕が皆上がってきていて、私も負けられないと思っているところだ。早くこの生理から抜け出して訓練しなきゃ。
そう張り切っていると、シークにお腹を小突かれた。
うぐっ!!!
小突くどころのレベルじゃない。わざとでしょ! 痛いんだって!
「ほらほら、いい子だから言うこと聞きましょうね。」
目が怖い。笑ってるけど、目がね…。
周りの3人もそんなシークを見て若干引いている。
私は仕方がないので大人しくベットの上にいることにした。
3人が隊室からチェスやゲームを持ってきてくれて途中までシークも一緒に遊んだ。
チェスでは誰もシークには一回も勝てなかった。
本人は「兄上はもっと凄いよ。」と言うけど、どれだけバケモンなんだ、王族って…。
シーク、仕事ほったらかしていいの?
そこも気になったが、シークのことだ。溜めてもすぐに消化するのだろう。そこまで心配はなかった。
3人と今日一日ずっと私の部屋の中で過ごした。ご飯も運んできてくれて、本当に気の利く良い隊員たちである。恵まれているな、と嬉しく思った。
もう一話、今日中に投稿したいと思っています。




