突破口
次の投稿は明日の午前0時から4時の間です。
僕が自分の情報を他の奴等に伝えるに当たって問題点が一つある。
ーーーそれは、「本当の魔法の能力」を話すか否かだ。
僕の魔法は普通の属性魔法では無い…その事に気づいたのは幼稚園の頃からだ。
…明らかに他の子達とは違う能力。
その能力の所為で虐められたんだ、普通では無いと考えるのが妥当だろう。
そしてその頃の出来事がトラウマにでもなっていたのか、半端無意識に「属性魔法」の科目テストを受けてしまっていた。
我に返ったのは部屋の中だったが、まぁ魔法の能力を誤魔化すと同時にテストの点数を大幅に下げる事が出来て一石二鳥だと思い、そのままノリに任せてテストを乗り切ったのだ。
…さて、問題はここからだ。
少なくとも何人かはテスト中の僕が映し出されたスクリーンを見ている筈…それでもしこの中に該当者が居るとするならば、「属性魔法」の単語を口にしただけで突っ込みが入る可能性がある。
それはつまり「嘘を付いた」という事になり、仲間の信用をかなり落とす羽目になるだろう…そうなれば指示を出す事は愚か、作戦内容すら教えてくれない、なんて事になりかねない。
かと言って安易に全て話してしまうと、チーム戦の後に影響してくる。
さて、どうしたら良いものだろうか。
…この二つの問題を打破する方法は考えついている。
考えついてはいるのだが、実行するにはまだ早い。
時間が…時間が欲しい…!
「おい何やってんだ、あと自己紹介して無いのはお前だけだぞ」
僕一人だけが自己紹介せずに悶々と考え込んでいるこの状況に憤りを感じたのか、小島は威圧するかのような重低音で話しながら僕を睨みつけた。
僕は「悪い悪い」と軽く流し、また考え込んだ。
とにかく今は時間が欲しい。
…誰にも勘付かれない「嘘と誠の境目」を決める時間が。
「…まさかお前、嘘吐こうってんじゃないよな?」
「いや、そんな事は無いよ…ただ僕の魔法はちょっと特殊でね、説明しにくいんだ」
小島は一瞬僕を力強く睨みつけると、フンッと鼻を鳴らして視線を黒板の方に向けた。
…上手く誤魔化せたか?
「ーーーじゃあ魔法については端的に言え。それならスラスラ言えんだろ」
どうやら誤魔化す事には成功したようだが、小島の方が一枚上手だったらしい。
もう時間稼ぎは出来ない……お手上げだ、全て話そう。
そうした方が安全だ。
危険な橋を渡るよりかはマシだろう。
「…分かった」
その一言に続けて、僕は自己紹介を始めた。
「僕は今井 春斗。新入生のテストでは「属性魔法」の科目を受けたけど、実は僕の使える魔法は属性魔法じゃなくて死霊術だ。…扱えるのは黒い霧にスライム状の毒、後は風の盾ぐらいだ。まぁ使えないような技の寄せ集めみたいな物だけど宜しく」
僕が紹介を終えると、周りは揃いも揃って驚いたような顔をしていた…小島の奴は除くが。
「まぁ、そんな事だろうとは思ってたがな」
小島はそう言うと、身体をゆっくりと起こして椅子から立ち上がった。
「んじゃ、そろそろ始めるか。…マジの作戦会議ってのをな」
…その言葉のおかげか、周囲の関心の目が僕から小島の方に移ったようだった。




