少し変わる日常
うつろな足取りで俺は家に帰った
幸いにも誰も、俺が森に再度はいったことはばれなかった
でも、明らかに落ち込んでいる俺を見て、周りの人たちは俺を励ましてくれる
そんな時、普段は農作業があるため仕事が休みでも家にいる父が言った
「そうだ。遊園地にでも行かないか?」
俺を落ち込んでいるのを見越してのことだろう
母も「それはいいわね!」と賛同する
とても、そんな気分になれなかった俺だけど父の心遣いがうれしかった俺は行くと答えた
途端に二人は舞い上がり、すぐさま都内の遊園地に出かけた
都内までは電車で1時間ほどかかり、そこから徒歩で10分ほどの場所に遊園地の入り口がある
そこには魔法で作られた扉があり、中に入るととんでもなく広い遊園地がそこにはあった
「うーわー、すげー」
思わず見とれてしまい、声に出る
初めての遊園地はとても綺麗だった
「よし、フリーパス買ってきたから。なんでもいけるぞ」
そういって俺の腕に父がまいてくれた
まき終わると、スクリーンが映し出されて、上部にイベントと書かれていた
「全部回ると景品が出るそうだ。行くか」
「うん!」
父と母と手をつなぎ、俺は大いに楽しんだ
ジェットコースターがとても早くて楽しかった
フリーフォールは空中に浮く感じがすごかった
ドライブゲームは父が強く、一度も勝つことができなかった
シューティングゲームは母が強く、何度も父が挑んで負けていた
お昼ご飯は、お肉がとてもおいしかった
そんな、最高の一日を過ごし―――いつの間にか暗くなっていた
「最後に観覧車に乗らない?」
母に手を引かれて、一緒に乗り込む
遅れて父も乗り込み出発する
「すげー」
地上がどんどん離れていくのを俺は窓に張り付きながら見ていた
遠くの方でドーンドーンと音が鳴り響いた
よく見ると、花火が上がっていた
親子三人でそれを下に降りるまで見つめていた