若者の悩み~~~トラックゴーレムはプライドが必要~~~
あれから一年半が過ぎた
俺は何かすることもできず、クラスが変わりメリーとの接点がなくなった
ついでに言うとマナカともあまり遊ぶことがなくなった
「やっちまった!!」
俺は一人、部屋で叫んだ
何もすることができず、メリーと恋人になったときのことを妄想したり、新発売のマジックゲームや男友達と遊ぶのが楽しすぎて気がつかば、進路をどうするかの瀬戸際まで来た
ここで、どうにかメリーと一緒の高校に行くことができるならまだ希望がある
「だが、どうすればいいだよ!!?」
進路希望用紙を前に俺は頭を抱える
提出期限は明日だ
いや、手はまだ残っている
あれから、マナカがメリーと仲がいいみたいだ
もしかすると、マナカの進路先を知っているかもしれない
だが、待つんだ
客観的から見て、それは大丈夫なのか?
メリーのことが好きだけど、まだ話しかけたこともないあちらからすると俺は他人だ
そんな俺がマナカから進路先を聞くこと―――それは
「ストーカーじゃないのか?」
厳密的にはわからない
でも、この行為は正しいような気はしない
男らしく、メリー本人に聞きに行けば終わる話だ
勇気が出ない。疲れてきた
「はあ、何かいい手はないかな」
ゲームを起動しながら、考える
オンラインに繋ぎ、自分のキャラを自在に操り―――倒される
すぐに復活して、また敵を倒しに行く
そんな繰り返しが、俺の中で楽しい
1時間ぐらい遊び続けると、唐突にゲームの電源が落ちた
「はあああああ!?」
俺はゲーム機本体を見る
そこに本体はなかった。あったのは開いていた窓から植物のつるがゲーム機をつぶしていた
「・・・・・・」
口を開けて俺はぼんやりと眺めていた
一体何が起こっているんだ
今度は眺めているつるが勢いよく俺の方に伸びてきた
「うっ!!」
情けない悲鳴をあげて俺は部屋の壁にたたきつけられる
その衝撃で俺はようやく頭が動き始める
「に、にげなきゃ」
奇跡的に一度だけ、つるが俺にあてるのに失敗した
激しく痛む、右腕を左手でつかみ、体に鞭を打って玄関を出る
いま、家には誰もいない。全員、家の手伝いで、森の中に入っている
家族の誰でもいい。俺以外なら魔法が使える。
危険な目に合わせるかもしれないが、今の俺はそれにすがるしかなかった
死にたくない。それが俺を動かしていた