第23章 探偵に会う
私、江嶋由宇は、山形県警赤川署を訪れた。ここの留置所で理真と会うためだ。理真が残していった愛車、真っ赤なスバルR1を駐車スペースに入れた私は、受付で手続きを取って留置所へと案内される。特別な計らいで、警察官の付き添いは遠慮してもらえることになった。大事な話をするために。
どうしてこんなことが起きてしまったのか。私にはさっぱり分からない。その謎を解明するためにも、理真から話を聞かなければならなかった。
留置場に下りると、理真はすでに椅子に座って待っていた。私の分の椅子も用意されている。私はゆっくりと腰を下ろす。パイプ椅子の脚とコンクリートの床面が擦れ、乾いた音が鳴った。
私は何も心配はいらないだろうと思ったが、そこだけはさすがに警察も了承せず、彼女とは鉄格子を挟んでの対面となった。
「理真……」
私は声を掛ける。理真は私の目を見返して、深いため息をつく。
鉄格子の向こうでは、長い髪を今は後頭部で束ねた彼女が、何もかも諦めきったような厭世的な表情をしていた。
「理真」私はもう一度声を掛け、「どういうことなの、これ? どうして、こんな……」
そこから先の言葉を続けることが出来ない。まだ私の頭は混乱している。
「由宇」理真は肩に掛かった髪を払ってから、「全ての謎は解けたわ。今から全部説明する」
横を向き、私の顔を見て言った。そしてすぐに視線を正面、鉄格子の向こうに戻すと、
「彼女が、どうして私の名前を騙って絶命島に潜り込んだりしたのかをね。いいですね。志々村彩佳さん」
私の隣に並んで同じようにパイプ椅子に座る理真の声に、鉄格子の向こうにいる志々村彩佳なる女性は、黙ったまま頷いた。




