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運命に導かれ、出会う

私――雨音は何故か眠れなかった。

隣の部屋からは大きなルシッドいびきが聞こえる。眠れないときは散歩すると寝れるというのをどこかで聞いたことがあるので、私は町の中心にあるサウントパルト広場まで歩くことにした。今日は満月でもないのに、月の光が強い。その光が広場の噴水をキラキラと輝かせ、また、噴水は月光を乱反射させ、幻想的な世界を作り上げていた。

「綺麗…… 散歩にきたのは正解だったわ。」

私は広場の隅にある腰掛けに座り、ただぼんやりと水の流れる様子を見ていた。

暫くたって水の音に足音が混じってくる。

私は音のするほうに目を向けると、背の高い男がゆっくりと歩いてくる。

月の光のおかげで、はっきりと容貌がわかる。

黒を基調とした服装に、肩まである長い銀髪は月の光をうけて透き通っているように見える。鼻は高く、形のいい口ひげが凛々しい。こっちの視線に気付いたのか、こっちを向いた。目つきは鋭く、鷹のように光り、黒い眼差しが私を射抜く。こちらに近付いてくる。私は一応すぐに呪文の詠唱に入れるように、身構えた。

「こんばんは、お嬢さん。良い夜ですね。私もそこに座らせてもらってもいいですか?」

優しい声だ。私は肩の力を抜いた。

「あっはい。どうぞ。散歩ですか?」

「はい。眠れなくて。」

「奇遇ですね。私もそうなんです。」

「そうでしたか。見たところまだお若いようですが、学生さんですかな?」

「はい、王都の精霊魔法学校に通ってます。」

「驚いたな。それでは貴女はエリートなんですね。」

「いえいえ、全然ですよ。」

「そういえばまだ名前教えてないですよね。私の名前はラウ。これも何かの縁、教えてくれませんか?」

「ラウさんね。私は雨音、よろしく。」

「ラウでいいですよ。よろしくお願いします。」

「ラウは何のお仕事してるんですか?」

「私は旅人です。」

「へぇ〜、トレジャーハンター?」

「いえ、この世の真実を求めています。自分の理想のために。何故精霊は存在しているのか、何故精霊は人間に力を貸すのか………っとちょっとおしゃべりが過ぎたようです。夜も更けてきたことですし、私はこれで帰ります。」

「えっ?あっはい、おやすみなさい。」


私は急展開にあまりついていけなかったが、それでもなんとか挨拶した。私は何故だか、またラウに会える気がした。早く宿に帰って寝よっと……



幕開けは 終幕で

終幕は 幕開けで

止まらない 運命は

終わり そして始まる

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