J・R・R・トールキン 1
皆は「ゴブリン」を御存じだろうか?
ゴブリンはヨーロッパの民間伝承に登場する伝説の生き物である。
邪悪で悪意を持っているとか、ゾッとするような醜い幽霊だ。などが有る。
しかしこの伝承に登場するゴブリンはよくゲームに出てくるように緑で人よりも一回り小さい奴ではない。
初めて今の形として登場したのは第二次世界大戦中にJ・R・R・トールキンの書いた「ホビットの冒険」という作品だ。
そこでゴブリンは「ゴブリンは邪悪で狡猾な種族であった」と記されている。
それ以降のJ・R・R・トールキンの作品のゴブリンはオークと翻訳されたが、のちの世にここまで影響を及ぼした作品は少ないだろう。
他にもトールキンはエルフなども記したがそれはまた今度。
今回重要なのは、俺達が来た場所はトールキンの頭の中なのかと疑ってしまいそうになったという事だ。
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目の前に立つ真っ黒の猫耳に同じ色の髪色ですらりと伸びた美しい尻尾。
身長以外は非の打ち所がない美人が立っていた。
当然柚子島が持っていない女性的なモノも持っている大人びた人だ。
「ど~してニンゲンか降ってきたのかはわからないけど、今はそれどころじゃないんだにゃ」
「え?」
柚子島の腰にしがみつきながら(柚子島は目を回してる)当たりを見渡すと緑色で鼻が大きくて、獣の皮で作った物を身に付けている、ゲームに登場したら『ゴブリン』って表示されそうな奴らがたくさんいた。
「こっちで何とかするけど倒し漏らしがあったらそっちでにゃんとかしてにゃ」
と言ってゴブリン(仮)の軍団に突撃していく。
「え゛!?ちょっと柚子島起きて」
柚子島からどきつつ、ゆさゆさと柚子島を起こすと柚子島が頭を抱えつつ
「うぅぅ……ハッ落ちる!?」
「どこにだよ。いいからそこから動くなよ。」
「えっ!?わかった。」
困惑してる柚子島をよそに俺は背負っている茶色の袋から木刀を取り出して中段に構える。(木刀につばはつけない)
そして
「ほないくか」
【柚子島視点】
将が木刀を構える。
すると将の纏っている雰囲気が変わった。
「ほないくか」
えせ関西弁で一言発すると、ゴブリンの群れの中で暴れてる黒い人の攻撃をかいくぐったゴブリンが2体こちらに向かってきた。
ゴブリンの片方は刃こぼれが一切ない剣を、もう片方はぼろぼろで錆びた剣を持っている。
真正面から切りあえば、木刀である将の方が圧倒的に不利なので将は相手の出方を見る。
すると一足早く綺麗な剣を持ったゴブリンが将に上段から切りかかる。
将は『小手抜き面』の要領で相手の頭をかち割る。
当然型のように寸止めする必要もないし、剣道のように相手を叩くのではなく頭をかち割るために振り切る。
「ぐえぇ」
と不快な声とともに地に伏す。
もう一匹の方はその間に将の右側から肉薄して剣道の胴打ちのようにぼろぼろの剣を振るっていた。
それにきずいた将は特にあわてる様子もなく地面と平行になって腰を切断しようとしている剣の腹に木刀を叩き付けると、剣は簡単に折れてしまう。
空振りに終わったゴブリンに返す刀で首を折る。
「げえぇ」
という断末魔とともに地に沈めた。
「こんなもんかぁ」
将の発したえせ関西弁がやけに耳に残った。
テストがいろんな意味で終わった。
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