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バタフライ


バタフライ効果という物を知っているだろうか?

名前の由来は『予測可能性-ブラジルでの蝶の羽ばたきはテキサスでトルネードを引き起こすか』という演説だか、論文だったと記憶している。

見てわかる通りの意味合いだ。

他にも「北京で蝶が羽ばたくと、ニューヨークで嵐が起こる」とか、「アマゾンを舞う1匹の蝶の羽ばたきが、遠く離れたシカゴに大雨を降らせる」などが有る。

よく見るとアメリカが壊滅的だがこの際どうでもよい。


今回問題なのは些細な出来事で物語の結末まで変わってくるのでは無いか?という事だ

例えば「あの時石っころを蹴っていたらAさんは事故にあっていた」みたいな、いわば1種の運命論のような話だ。

今回はもっと身近な話。

部活動の試合みたいに「たら、れば」って奴だ。

俺は時々思う、物事ってのは結果論でしか見れないのかもしれない。そう今回のように……


~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・


ホームルーム直後の喧騒。

掃除が怠いだとか、一緒に帰ろうとか、そんな話声が聞こえる。

俺はさっき約束した通り柚子島と一緒に帰るために校門にて待つ。

なぜ校門なのかというと、お互いあらぬ誤解を受けないためだ。まあ俺の方は別に構わんのだが、柚子島の方が嫌だろう。

俺はあまり気さくな方ではないのであまり友達がいない。

自分で言うのもなんだが、俺の取柄は身長しかない。

故にこうして誰かを待つ間に他愛もない雑談をすることもない。

ほんとに何もない人間である。

なんて自分のことを自虐していると、柚子島が来た。

取り巻きをいっぱい連れて。

あいつは俺の正反対で、気さくなうえに聞き上手な性格だし、何よりルックスが良いから男女問わず人気がある。

唯一持って無いとしたら女性が持つふくよかな物だけだと思う。


しばらく柚子島の様子を見ていると、周りに軽い会釈をしてからこっちに走ってきた。


「相変わらず人気だな」


駅に向かいながら俺から話し出す


「そんな事ないよ」

「そんなことあるだろ、まだ入学してから二か月も経って無いのに男女問わずあの人気っぷり。全く羨ましいにも程が有るだろ。」

「そんなこと言って、将だってクラスの女子の何人かからカッコいいって話聞いたけど」

「からかうのはよしてくれ」

「からっかてないよ……私もそのうちの一人だし」

「えっなんて?」

「何でもないよ。こっちの話」

「あそう…」


最後の方はよく聞こえんかったけどまあいいか。

あ~あさっきのクラスの女子の何人かに柚子島が入ってればいいのになぁ。

としょうもないことを考えながら歩いてる。

少し裏路地に入ると、人が全然いなくなった

するとシーが


「どうしてぼくとーをもって来たの?」


と、俺の肩にかかる茶色の袋を指さしながら言った。

俺はありのままを話す


「家で型の練習をしようと思って」

「昇段試験って秋じゃなかった?」


と柚子島。


「いいんだよ。そんなの気分だ…」


よ。と続けようとするが声が出ない。

何故ならば柚子島の目の前の地面に巨大なが開いているからだ。

そして柚子島はこっちを向いたまま一歩を踏み出そうと…


「柚子島、危ない‼」


俺は叫びながら柚子島と肩で寝ているみっくんと一緒に穴の反対側に突き飛ばすつもりが、こけて柚子島の腰に抱き付いてしまい、そのまま穴の中に落っこちてしまった。


「「「うぎゃああああああああああああああ」」」

「アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ」


と、誰もいなくなった裏路地に2通りの声が響いていた。


~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・


俺はこの後何度も思う。

どうしてあの時あの場所あのタイミングでこけてしまったのかのかと。







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