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俺は死人

処女作になります

どうか見守ってください

俺はだめだ・・・



中一の頃からある自分への思い

決して軽い気持ちで口に出している訳ではない

文字通りだめなんだ


少年はビルの屋上の手すりに手を掛け

「俺なんて・・・」


少年はそっとつぶやいた








桜の花びらが体をかすめ

鶯の鳴き声が木霊した




「いやー、高い空、笑い声、初々しい制服っ!」

恰幅のいい中年男性がそういうと

「まさに春って感じですね」

白髪の混じった初老の男性が答える


「ええ、我高も今年で30周年、節目の日にはうってつけですな」

しばしの沈黙


「ところで校長、こんな噂ご存知ですか」

痩せた男が問う

「なんだね前澄教頭」

恰幅のいい男が聞く

「実は今年の入学生に・・・






「明美ちゃんも高校生だね~」

「うん!すぐに愛姉ちゃんの背、抜かしちゃうんだからー♪」

ご自慢の長い黒髪をひらひらさせ少し背伸びをした明美は言った

「お姉ちゃんもまけないぞー」

と言いつつ意外と不安だったりする


実際、高校二年の志野愛理はあと一センチ足らずで入学したての新垣明美に抜かされようとしている


「あたし・・・ちっさいかな~・・・」ウルウルした瞳を隠しながら志野愛理は小さな声でつぶやく・・・もちろん聞こえるように


「うっ」

(やっちゃった~っっ・・・話を変えないと愛姉ちゃん泣いちゃうよ~っ!)



「ね、ねえ愛姉ちゃん?好きな人とか・・・」

ちらと愛理の方を盗み見る

だがその必要はなかった

なぜなら志野愛理はこっちの話など聞いていなく


明美に対してそっぽを向いていたからだ


心配した明美は

「愛姉?大丈夫?」


と声をかけた

すると


はっとしたように

「うんっ、だいじょうぶだよ・・だけど・・・」




「・・・だけど?」

すると愛理は顔を近づけ、先ほど見ていたほうを指差してこういった

「明美、あの人知ってる?」



明美は指差したほうを愛理の影から見つめる

道路を挟んだ向こう側

そこには自分たちと同じく学校に向かって歩いている一人の男がいた


その男には見覚えが合った

先日少し話題になっていたからだ


「あー、あの人ね」


「明美しってるの!?」


「たしか緒方・・君だったと思うよ」

「へぇ~緒方くんっていうんだ~、なんか陰気臭いわね」と苦笑いした

「さっき一人で魂がどうのこうの言ってたし」と付け足して


「やっぱりそんな感じか・・・」とつぶやいた


「やっぱりってどゆこと?」


明美は少し考えて、愛理をできるだけ近づけ、答えた



「緒方君、死んでるんだって」



そのあとオカルト嫌いな愛理は10分動かなかった












いきたくない


かえりたい


学校に行きたくない


家に帰りたい


隆一は家を出てからそのことだけを考えてた


「クソッ!あんなことがなかったら・・・」

ついつい声に出てしまった

悪い癖だ


でもまてよ?


そもそも俺の噂を知ってるやつなんてここにはいないはずだ

そうだ

俺はあの噂から逃れたんだ!

涙ぐみ天にむけてガッツポーズをする俺に人々の奇異の目


いや正確には人じゃないか・・・


とにかく俺は解放された!!

こんなうれしいことはない

誰か俺のこの魂の叫びをきいてくれ~

リッスントゥミーーー!!!




だがその魂の叫びは、彼

緒方隆一の悪いくせにより二人の学友に聞かれ

入学式に遅刻者が出たことを


彼は知らない




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