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ジョブチェンジ!

作者: nago

すいません><

連載小説に載せるつもりが短編小説に…(汗

連載の方にも内容が同じものがありますので更新はそちらで行う事に致します。

ご迷惑おかけしてすいません(-_-;)

「レキ!死ぬな!」


--声が、聞こえる。

あれはレグラスの声だろうか。

最初に異世界ココに来た時に一番優しくしてくれた。

会った瞬間、こんな小娘が?といきなり皮肉をかましてきたリオンも、顔を歪ませている。

絶対魔王に勝とうね!と約束をした私の友達、アンナなんかもう涙と鼻水で顔がぐしゃぐしゃだ。

僕が貴方達を守ります、と真剣な声で言ったルースも懸命に私の傷を治そうとしてくれている。



でも、もう分かるんだ。私は--死ぬ、って。自分の体は自分が一番良く分かる。



いきなり「召喚」とやらをされて、女なのに勇者になって、訳も分からず血反吐吐くような修行させられて、魔王討伐に行かされて、大きな怪我もいっぱいした。

…それでも、狂いもせずめげもせず泣きもしないで歯を食いしばってこれたのは貴方達のお陰だよ。


折角魔王を倒したのに最後の一撃、くらっちゃうとは思わなかったけど、役目は果たした--よね?


相打ちでも、こんな平凡な私からしたら物凄い成果だよ。

残念なのは最後まで元の世界に戻れなかったこと、かな。


--あぁ、誰かが約束を破るのか!って言ってる。

怒ってるのかもしれないけど、そんな泣きそうな声で言われたら説得力無いよ…ごめんね。

皆とは色んな約束をしたのに、魔王を倒すまでも、倒した後もたくさん。たくさん。

ごめんね。ごめんね。ごめんね。ごめんね。約束、守れなくてごめんね。でも…



「今ま、で、た、のしかっ…たよ、あ、りが、とう。」


この一言だけは、言わせて下さい。



「レキ、レキ!?レキィィィィィ!」

「いや、嫌、死なないでよぉぉぉ」



誰かの悲鳴がこだまする。

温かい涙が、落ちてくる。


だんだんまぶたが重くなってきた。

視界が闇に包まれて、最後に一つだけ、思う。



--あぁ、もう少しだけ生きたかった、な。



そして鼓動が、止んだ。




ラウス暦568年。

異世界ーニホンより来たりし3人目の勇者。


    --塚原つがはら れき   魔王と相討たれ、死亡。

                      

 尚、この者の偉業は永遠に讃美し、永久とわたたえられるものとする。 










・・・あれ?

そう、私は死んだはず。

あんな劇的なお別れをして、実は死んでませんでした~なんてのは流石に無いと思う。


なのになんで私、こんな狭い所にいるんだろう。


いうならば体育座りの格好をして、狭いところに押し込められている。

動こうにもぎゅうぎゅうで動けない。


・・・これは辛い。そうとう辛い。


自慢じゃないが体の硬さには定評がある。

元の世界に居たときはスポーツテストで長座体前屈の評価だけが地をっていた。

「召喚」された後も体力パワーアップの儀式やらの後も相変わらず体は硬かった。

それはもう皆に不思議そうな顔をされる程。


でも、体の硬さなんて魔王を倒すためには関係ないし~と思い放って置いていた。

まさかこんなところで仇になるとは…!


いやでも普通は必要なんて思わないって!実際魔王を倒すときには必要無かったし!


そんなことを考えている間にも体は悲鳴をあげる。

もういっその事思い切り暴れてみようか、と考えて足を思い切り突き上げてみると



ーーガシャン



何かが割れるような音がしていきなり目の前が明るくなる。

眩しくて反射的に目を瞑るが何やら周りが騒がしい。

おそるおそる目を開けようとすると誰かが私を抱えあげた。

いきなりの事に抵抗しようとしてもがっしりと捕まえて放さない。



ええ?わ、私重いですよ!

勇者の装備とか結構しますしね!

最初の私の課題は装備したまま如何に自由に動き回れるか、でしたし!



慌てふためいて体をじたばたさせながら苦言をていしても「あーうー」という呻き声にしか聞こえない。

何か薬でも盛られて話せないのかと思い、混乱していると自分の手が見えた。


ーーあれ、小、さい…?


驚いて自分の体を見回すとどこもかしこも小さい。

まるで赤ん坊の体のようだ。



いや、違う。私赤ん坊の体になってるーー!?



呆然として体を動かすのを止めると、いつの間にか私を抱えあげた人物が扉を開けて何処かの部屋に入る。

中はとても広く豪華な家具がいくつか置いてあるがどこか薄暗い。

その部屋の真ん中にぽつん、と大きい寝台が置いてある。


私を抱えあげた誰か、は急いで寝台に近づくと豪奢な天蓋を跳ね上げて中にいる人物に声をかけた。



「エイダ様。起きて下さい。

御子が、御子が生まれましたよ!

元気な女の子です。さっきも私の腕の中でじたばたと暴れて…

さぁ御覧になって下さい。あなたが命をかけてお生みになった御子ですよ。」



そういってどこか必死さをにじませる声で呼びかける。

話の内容からして私を生んだ人のようだが、「命をかけた」とはどういう意味だろう。


「生まれた、のか?

そうかーーもっと、よく見せてくれアルセーヌ」


そう言って耳に届いた密やかなアルト声。

あまり声を出していないはずなのによく通る綺麗な声。

見上げると、夜露に濡れたような黒い髪が目の前に広がる。

でもそれは肩までで、その下は色が抜けたような白髪。

顔は血色が悪く青白い顔をしているが相当な美人だった。


ーーでも、どこかで見たような気がする。


その人は私をゆっくりと抱きあげるととても嬉しそうに顔を綻ばせた。



「髪はーーもう、色が移り始めてるか。

瞳は黒…いや僅かに紫が入っているんだな。綺麗な色だ。

この子は私に似ず健康そうだし…良かった」



「…えぇ、きっと健康に育つでしょうね。

そして、役目を果たしてくれるでしょう。

けれど私はその役目は、あなたが果たしてくれるものだと思っていたんですよ。

あの日初めて会った日からずっと…その思いは、変わらないハズだったんですがね。」



「…仕方ないさ。

私の体はもう、持たない。

この子の先を見届けられない私に変わって見守ってやってくれ…頼む」



「…っ貴方はずるい、ですよ」



そう言っては苦しそうにあえぐ。

貴方、と呼ばれた彼女は私の母親なのだろう。

話はあまり理解できていない。


が、その体はーーもう、もたないらしい。


そしてその原因は恐らく、私を産んだ、から。

彼女は苦々しげに笑って私の首に何かをかける。

そうして私を天高く抱えあげた。



「そう、なのかもしれないな。けれどもう決まったことだ。

私はこの子に未来さきを託す。


 私ーー代41代目魔王エイダ=レイバン=ルシュファンは今をもち、

  この子ーレキア=レイバン=ルシュファンに代位を譲るものとする。

    証明は代々受け継がれしこの「魔石」と、

      私の第一の配下アルセーヌ=ヴァン=エリオットが示すものとする。


                     この子が、代42代目の魔王だーー!」



そう言うと奇妙な文様が浮かび上がり私と、私の母親である人を包み込んだ。

私の母親は残っていた髪の色が残らず白くなっている。


そしてこちらを見てーー最後ににこり、と微笑んだ。


その手からするりといとも容易く私が落ちる。

このまま地面にぶつかるのかと思ったがアルセーヌさん、とやらがキャッチする。

そうしてアルセーヌさんは彼女を見やるが、


その体にもうーー生気は感じられない。


頬に何か生暖かいものが落ちても私の思考回路は停止していた。

たぶん今の行為でこの人は死んでしまった、という事は分かる。分かってしまう。

が、それに胸を痛める余裕は私には無い。


それほどまでにあの人が言い放った言葉に私は混乱していた。



…い、ま、あの人、何て言った?



レキア=レイバン=ルシュファン、とは私のことだろう。

私を抱え上げ、私を見て言い放ったのだから。

けれど、その後がおかしい。



ーー代42代目の魔王、と言わなかったか?



…いやいやいやそんなハズはない。

ちょっと待て。私の思考回路ちょっと待て。

生まれ変わったっぽいけど私前世勇者だし。平凡だし。それに一応魔王も殺っちゃったし。

そんな私が、魔、王?

んなわけない。全っっ力で拒否したい。のしつけて丁重にお断りしたい。

確かにもう少し生きたかったな~…とかは最後に思ったけども!

けど、それって今にも死にそうな人の大半が思うことでしょう!?

こんな魔王なんてハードル高い人生送りたいなんて言ってないってぇぇぇ!



嘘でしょう冗談でしょうお願い否定して!という目でアルセーヌさんを見ると、



「…さぁ、行きましょうか。姫様。

いや、もう魔王様、か?」



い、嫌ぁぁぁぁぁぁぁ!



彼は涙を拭い私の望みを粉っ々に打ち砕いてくれた。



「あなたには辛い運命さだめを送らせるかもしれないが…あなたは私が命をかけてでも守ります。

あの人に変わってーー。

私が、あなたに忠誠を誓いましょう。」



アルセーヌさんが言った言葉は私にはもう聞こえていなかった。


今起きた、恐らく数十分程の事に思考が考えるのをやめた。

まぁ=気絶という方程式が私には成り立つわけだが。

でも今の事態を受け止められる程のキャパシティは私の頭には存在していない。

これからの事を考えるとこれ位で気絶するような目には何度もうことになるのだがこの時の私はまだそんな事は知らない。


というかそんな事、幾ら教えてくれるっていわれても絶っ対に知りたいとは思わないけどね!






  私、塚原暦、勇者になって死んだと思ったら今度は魔王に生まれ変わりました。

  誰かジョブチェンジお願いします。いや切実にぃぃぃ! 







こちらは作者の息抜き小説になるかもです…

ふらっと更新しますので続きは気長にお待ちくださいませ。

誤字・脱字ありましたらスルーなさるか教えて下さると有難いです<(_ _)>    

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― 新着の感想 ―
[良い点] すぐ数人が登場して、それでもそれぞれの抱える感情と今までの旅路の苦労が感じられました。 ファンタジーはあまり、読まなくなったんですが、面白かったです。 [一言] 個人的余談です。これで『…
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