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金尾/ゴーレム、カンテラと激突!?

〈ヤマノイモ使ふ拷問鬼六著 涙次〉



【ⅰ】


金尾、やうやく謹慎明けと云ふ事で、カンテラ一燈齋事務所に顔を出した。「この度は多大なご迷惑をお掛けし...」カンテラ、笑顔を作り、「いゝんだ。お詫びの言葉なら、始末書でもう貰つてゐるぢやないか。それより溜まつた仕事片付けておくれよ」-「分かりました」

カンテラ、本音を云へば、苦い顔、なのである。金尾には破顔一笑して仕事に戻つて貰ひたかつた。だうにも彼は、堅苦し過ぎる。この儘行けば、また「ゲーマー」に足を掬はれてしまひ兼ねない。



【ⅱ】


で、その「ゲーマー」。彼はやつぱり、金尾に目を付けてゐた。カンテラ事務所のメンバーとして、あの小心さで勤まるのか、だうか- そこに着目してゐたのである。


彼は、この「ポイント奪取」シリーズの掉尾を飾る【魔】を、用意してゐた。それは、云つて見れば、金尾自身であつた。たゞ、後押し一つで、金尾はカンテラの宿敵になり得る- 「ゲーマー」はさう信じて已まなかつた。後押し、つて云ふのは、例へばこんな事...


「引つ付き蟲」。そんな【魔】がゐた。白虎がその持てる力をカンテラと合力出來るやうに、「引つ付き蟲」は容易に金尾の内面に影響を及ぼす事が出來た。



【ⅲ】


「引つ付き蟲」は、【魔】として特別格の髙い方ではなかつた。たゞ金尾に彼が憑依した時、カンテラ一味は今までにない危険狀態に晒される。尠なくとも「ゲーマー」はさう信じ、彼に25ポイント、この「ポイント奪取」シリーズの最後を飾るポイント、を付與したのだつた。寧ろ、25とは、金尾=ゴーレムに付けたポイント數なのである。


「引つ付き蟲」は、人と合體した時、その最大の威力を發揮する。例へば、「ニュータイプ【魔】」特有の、*「結界を物ともせぬ」特徴などを、合體相手に齎す事が出來る。



* 当該シリーズ第109話參照。



※※※※


〈うはゞみの如く食ひけるスパゲティ辛くして食ふスパゲティかな 平手みき〉



【ⅳ】


で、「ゲーマー」自ら金尾を誘惑する譯であるが、その際人相を大幅に變へる為、彼は整形手術を受けた。それくらゐ、今回の攻撃には、入れ込んでゐたのである。服装も大幅に改め、金尾の夢に出た。「眠れるゴーレムよ...汝の力が必要とされてゐる...目醒めるのだ」


はつと目醒めた金尾。彼は泥の塊の狀態で眠る。ふと「俺を、俺を表に運んでくれ」。「ゲーマー」、「やつた! 引つ掛かつたぞ!」。金尾は泥からゴーレムへと變貌を遂げた。今夜のところは、これで充分だつた。金尾、少年時代に次ぎ、2回目の魔道墜ちとなつたのだ。



【ⅴ】


だが... カンテラは臭いと思つてゐたのだ。そして、金尾のマンションの部屋に、「シュー・シャイン」を忍び込ませてゐた。そして、全てが赤裸になつた。「ゲーマー」がその人相を一變させてゐた事も、金尾が2度目の魔界墜ちを果たした事も、そして「引つ付き蟲」のトリックの事も。明日金尾は何氣ない顔で、事務所に出所するだらう。魔道に墜ちた彼だが、「引つ付き蟲」のトリックで、タロウも吠えず、結界もその効力を失ふ。後は、夜まで何処かに隠れでもして、ゴーレムに變身出來る時を待つのだ。だが...



【ⅵ】


カンテラは* ゴーレムを瓦解させる法は知つてゐた。額にユダヤの魔導士が書いたemeth(=眞理・ヘブライ語)と云ふ「マーク」がある。それの頭のeを消し、meth(死)に變へれば、ゴーレムは砂の蓄積である本性を現し、瓦解する。



* 前シリーズ第89回參照。



【ⅶ】


さて、次回、もはやカンテラ一味の敵である金尾と、カンテラが激突する。そして、見事この「内なる」敵を片付ける事が出來たなら、「ゲーマー」は魔界盟主の坐を退き、約束通り、再び君繪に成長のチャンスが巡つて來るだらう。



※※※※


〈お仕舞ひに法師身罷る蟬世界 涙次〉



讀者よ、そして改めてカンテラを、應援して慾しい。金尾については、貴方は運が惡かつたゞけ、と笑つて彼・金尾を黄泉の國に(いざな)ふやう、お願ひしたい。それでは、次回、解決篇となるやう、天に祈らう。ぢやまた。


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