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新たな地へ⑧

「今後の予定だが、周辺の調査が一段落した後、本格的に森の調査を開始しようと思う」


改めて、表情を引き締めたスタン様は本題に入る。


「魔物については以前、話したとおり、地元の人間から見ても、昔より増えているという話だった」


スタン様はわずかに眉を寄せ、表情を曇らせた。


「魔物の増加傾向から、瘴気の影響によるものだと私は考えている」

「瘴気……」


スタン様が語る、その事実が重くのしかかる。

魔物が湧き出ている原因は瘴気だ。

瘴気は、俺たち天使が生み出してしまったもの。

なら、それを浄化するのも、俺たち天使の役目だと思った。

この地域一帯の瘴気を浄化するために、できる限りのことをしていかないと。


「……ただ、ここ最近は、領都周辺の魔物が減ってきたという話がある。何故なのかは分からないがな」


その理由は分かっている。

領都に、瘴気を祓う加護を持ったローゼンさんがいるからだ。

以前、ローゼンさんに瘴気を祓う加護を付与したけれど、思っていたよりも効果を発揮しているみたいだ。

恐らく、ローゼンさんがこの地にいるだけで、瘴気は少しずつ浄化されているはず。

あとは浄化魔法を使って、瘴気を一気に祓うだけだ。

神聖魔法の一つ、浄化魔法。

瘴気を祓うことができる魔法だ。

でも、それを使えるのは、俺たち天使と一部の限られた人間だけだ。

しかし今、この地には俺がいる。

森の調査が行われている間に、浄化魔法を使えば、すべての瘴気を祓うことができるはずだ。


「よし、頑張らないとな」

「問題は、森に出る魔物の強さだ」


俺が意気込んでいると、スタン様は再度、森の調査について触れた。

表情から判断するに先程、言い淀んだ言葉なのかもしれない。


「森にはドラゴンを始め、手強い魔物が出るそうだ。慎重に事に当たるつもりだが、遭遇すれば、怪我人が多く出る可能性がある」


そこで、スタン様は不安を募らせるように言葉を止めた。


「実際に、森に向かった冒険者たちの何人かが、撤退に追い込まれたらしい」

「だから、私たちの演奏の力を借りようと思ったのですね」


その言葉に、母さんが状況を察したように頷いた。

公爵家の護衛騎士の人たちは選りすぐられたエリート、そして、冒険者さんたちは凄腕の人たちばかりで強い人が多い。

だが、相手はドラゴンを始めとした、恐ろしい魔物たちだ。

増加する怪我人を、回復魔法とポーションだけで治療するのにも限度がある。

そこで特別な力がある、俺たちの演奏に目をつけたのだろう。


「……すまない。君たちの身の安全は保証する。安全な場所で、私たちのために演奏をしてくれるだけでいい」


俺たちの不安を解消するように、スタン様は言い足した。

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