表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
39/90

新たな地へ③

『ライルせんせい、アイリスさま。おでかけしてもかならず、もどってきてください』


俺はあの日、約束したルリア様の姿に思いを馳せる。


「……はい、もちろんです。俺たちの帰る場所はここですから」


俺は祈りに似た心境を胸に、天井を見上げた。


「ライルくん、いるかい?」

「はい」


部屋をノックするスタン様に、準備を整えた俺はそう返事した。

俺はゆっくりとドアを開ける。


「お待たせしました。遅くなってしまってすみません」

「いや、こちらが無理を言ったのだから、構わないでくれ」


ダナー商会が利用していた隠し通路には、早朝に出発することになっていた。

秘匿されていた隠し通路。

できるだけ、人目がないうちに移動したいみたいだ。

予め、ルリア様には早朝に出発することは伝えていた。

だけど、見送りの挨拶ができなくて、少しさびしそうにしていたな。

思いを馳せていると、スタン様は俺たちをじっと見つめて言った。


「ライルくん、アイリス様。出発前に、これからのことを少し話しておこう」

「は、はい」

「分かりました」


スタン様の後について、広間を通り過ぎ、奥の階段を上る。

二階には、スタン様が使っている執務室がある。

執務室の中には、執務机と応接セットが置かれていた。


「どうぞ、かけてくれ」

「はい」

「ありがとうございます」


促されて、俺と母さんは応接セットにスタン様と向かい合わせに座る。


「早速だが、本題に入りたい」


そう前置きすると、スタン様は話を切り出した。


「現在、グランジ家は、ダナー商会の逃亡先を割り出すため、冒険者ギルドと傭兵団の力を借りている。それぞれ東西南北に散らばり、ネーア王国周辺の調査にあたってもらっているんだが」


スタン様は少し考えるように呼吸をはさんだ。


「その調査の進みが悪い状況にある」

「えっ……?」


俺たちの驚きように、スタン様は念押しするように続ける。


「調査の際に、大きな森を通ることになるのだが、その森が瘴気に犯されていてな」


その話に、俺と母さんは思わず、顔を見合わせた。

その森って、もしかしてローゼンさんたちが依頼で向かった森のことなんじゃ!? 

俺たちが戸惑っている間にも、スタン様の話は進んでいく。


「魔物の数がかなり多い。しかも、厄介な魔物が、森の奥に生息しているらしくてな。迂闊に先に進めなくなっている」

「厄介な魔物……」


俺はスタン様が口にした言葉を反芻する。

冒険者ギルドで聞いた危険な魔物。

一体、どんな魔物がいるのだろうか。

冒険者ランクA以上の提示が必要になるような、恐ろしい魔物か……。

そこまで考えたところで、ある可能性に気づいてしまった。


「もしかして、森にいる厄介な魔物って……」

「……ドラゴンだ」


言いかけた俺の声を、スタン様の声が追い抜いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ