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恋のようなものじゃなく①

「ルリア様、とても素敵でした」

「素晴らしかったです」


母さんとジオさんも、相好を崩していた。

元気になられたルリア様は明るくて、やる気は人一倍。

ハープの練習を終えた後、ルリア様は俺の腕にぎゅっとしがみつく。


「ルリア様は、ライル様のことを大層、気に入られたみたいですね」


ジオさんの言葉に、手放しで喜べない。

何故なら、俺が付与した『天使の奇跡』の加護の影響で懐いている可能性が高かったからだ。

それでも、ルリア様との関係を、今はもう少し大事にしたい。

ルリア様のお父様は忙しく、屋敷にいないことが多い。

そして、ルリア様のお母様は病気で療養しているそうだ。


家族になかなか会うことができない。


もしかしたら、ひとりぼっちだと泣いた夜も、分かり合えないと落ち込んだ夜も、抱きしめてほしいと甘えた夜だってあったかもしれない。

だからこそ、ルリア様には幸せになってほしいと願った。


「ルリア様、そろそろ休憩しましょう」

「……うん!」


思いが伝わったのか、ルリア様は素直にうなずいてくれた。

その後は、庭園でスイーツを囲んでティータイム。

楽しい時間はあっという間だ。


「しかし、ルリア様は随分、お元気になられて……」


ジオさんは感極まったようにつぶやく。


「良かったです。ルリア様……アイリス様とライル様が来られてから、とても楽しそうで……それがとても嬉しいんです」


ジオさんの真意に、俺たちは初めて触れた気がした。


「アイリス様、ライル様。この屋敷に来てくださってありがとうございます。お会いできて光栄です」

「そんな……。俺たちの方が、とても良くしてもらっています」

「お礼を言うのはこちらの方です。ありがとうございます」


俺の戸惑いに相まって、母さんは丁重に頭を下げる。

ジオさんの話では、ルリア様は生まれたときからずっと、身体が弱かったそうだ。

ルリア様のお父様たちは、手を尽くして治療を試みたそうだが、どれも効果がなかったらしい。

そんな時、俺が演奏したハープの効果で、『天使の加護』持ちになった。

そのおかげで、ルリア様を蝕んでいた病は治り、こうして生き生きとした表情を浮かべている。

そう思うと、何だか感慨深いものがあった。


「……ん? 待てよ」


俺はそこで、ある懸念材料に気づく。


誰かが『鑑定』のスキルで、ルリア様のステータスを見たら、『天使ザナフェルの加護』を持っているって一目瞭然じゃないのか!?


今のところ、鑑定のスキルを持っている人は、屋敷にはいないみたいだ。

だが、もし気づかれたら、ルリア様が俺と――天使ザナフェルと接触があったと疑われてしまう。

最悪、俺の存在は国王陛下に知られ、ルリア様は重要参考人として、ミカエル兄様がいる王宮に連れていかれてしまうかもしれない。

ルリア様のステータスは一部、隠蔽魔法で隠すしかないだろう。

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