表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/50

小さな演奏会②

「ライルも、演奏会、楽しんでいたでしょう」


言われて見れば、確かにそうだ。

母さんと一緒に、めいいっぱい、演奏会を楽しんでいた気がする。

いつも新しいことが始まる時は嬉しかった。

新しい街に着いた時。

街の広場で、演奏会をする時。

見知らぬお店に訪れた時、わくわくドキドキした。

そんなふうに、グランジ家の人たちも、俺たちの演奏を楽しんでくれたらいいな。

そう思っていたけれど。

たどり着いた先に広がっていた景色に、俺は圧倒されていた。

何故なら、そこは公爵家という名にふさわしい大きな屋敷だったからだ。


「すごい……!」


目に映る光景、その全てが新鮮でつい、好奇心旺盛な反応をしてしまう。


「吟遊詩人様、ようこそおいでくださいました。私、グランジ家で執事を務めております、ジオと申します。ルリアお嬢様が、器楽室でお待ちかねです」


さらに執事のジオさんに招かれたのは、桁違いに広い器楽室だった。

今までいろいろな場所で演奏したけれど、こんなに広い器楽室を訪れたのは初めてだ。

きょろきょろと物珍しさから、俺は目を輝かせて周囲に視線を向けていたけれど。


「ライル」


母さんの声に、俺は改めて、ここに来た目的を思い出す。

目の前には、幼い少女と執事のジオさんが立っていた。


「初めまして、これからルリアお嬢様のために、演奏するために参りました。吟遊詩人のアイリス・フェインと申します」

「息子のライル・フェインです」


母さんの挨拶に相まって、俺はぺこりと頭を下げた。


「以後、お見知りおきを」

「……は、はじめまして、ルリア・グランジです。よ……よろしくおねがいいたします……」


母さんの言葉に、ルリア様はドレスの裾をつかんで丁重に一礼した。

可憐なルリア様は4歳。

綺麗に手入れされた真紅の髪と、ぱっちりとした大きな緑の瞳のご令嬢だ。

ただ、生まれつき病弱な体質らしい。

ジオさんに支えられながらも、ときおり、苦しそうにしている。


「ご丁寧にありがとうございます。こちらこそ、よろしくお願いしますね。ルリア様」


母さんは恭しく返事をした。

穏やかなひとときが流れたその時――。

ルリア様は俺の持っているハープを見て、ぱあっと目を輝かせる。


「ハープを……ひけるのですか? すごいです。ひいてみてほしいです」

「えっ?」


思わぬ催促に、俺は目をぱちくりと見開いた。

まさか、俺の持っているハープが着目されるとは思わなかったのだ。

母さんは、そんな俺たちのやり取りを見て微笑む。


「ライル、演奏はお願いね」

「あ……、うん」


俺と母さんは顔を見合わせて笑う。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ