瑛美と紗貴(11)
あらすじ:紗貴がゲームをクリアした1週間後、瑛美は短い生涯を終えた。
瑛美との別れから1ヶ月後、健斗は実家に帰っていた。
「母さん、紗貴は?」
「…部屋に籠ってる。仕事には行ってるみたいだけど…」
「そうか…ありがとう。ちょっと部屋に行ってみる。」
「健斗、あなたは大丈夫なの?」
「…一応、落ち着くことは出来たよ。」
「そう…紗貴の事、頼んだよ。」
「…任せて。」
健斗はそう言うと、紗貴の部屋の前に立った。
ノックをする。
「紗貴、入るぞ。」
「入らないで。」
健斗は構わず、扉を開けた。
「…入らないでって言ったでしょ。」
「入るに決まってんだろ。心配なんだよ。」
「…」
「おい、紗貴。」
「…んで」
「…?」
「…んで、何で健斗は平気なのよ!」
「…紗貴。俺が平気そうに見えるか?」
紗貴の叫びに、健斗は冷静に返す。
「…っ!」
紗貴は健斗の顔を見た。
「…ごめん。」
「良いよ。それより…瑛美から、手紙を預かった。紗貴がゲームを完全クリアする3日前だ。落ち着いた頃に渡してくれと頼まれたが、一生落ち着かないと思うから今渡す。」
「手紙…?」
「どうやら、彼女は自分の残り時間を察していたらしい。…とりあえず、それを読んで落ち着け。」
「…わかった。」
紗貴の言葉を聞くと、健斗は部屋から出ていった。
その日以降、紗貴は少しずつ元気を取り戻していったのだった…
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「…と、言うわけです。」
健斗…いや、ケンドリックは話を終えると、長いため息をつきながら椅子にもたれ掛かった。
「…」
部屋に沈黙が走る。
恐る恐ると紗貴…いや、リズはケンドリックに尋ねる。
「それで…手紙の内容は…?」
「知らないよ。紗貴の分は読んでないし。」
「…お父様、いえ、健斗、何で読んでないんですか。」
「何でって…読んだら怒るだろ?」
「そりゃあ、怒りますけど。」
「ほら。…というより、リズ。君は覚えていないのか?」
「…正直、今の話を聞いてもそんな記憶があったような…な感じなんですよね。」
「そうなのか…じゃあ思い出すためにはどうすれば良いんだろうな…?」
一同が考えていると、急に部屋の扉が開かれた。
「話は聞かせてもらったわ!」
エリーゼが部屋に突撃してきた。
ポカンとする一同を他所に、エリーゼはリズに話しかける。
「ねえ、リズ?少しの間待っててちょうだい。あの手紙の内容を書き移してくるから!」
「お、お母様…?」
「では、少しの間、私は部屋に引きこもるわよ!オーッホッホッホ!」
言うだけ言って、エリーゼは部屋から出ていった。
「あ、あの…」
困惑するリズを他所に、ケンドリックはつぶやいた。
「…これで確信したな。今のエリーゼは瑛美の生まれ変わりだ。…それに、さっきの発言を考えると、エリーゼも色々思い出したようだね。」
「…えっ。」
心底驚いたような表情をするリズに、ケンドリックは不思議そうに話しかけた。
「?どうしたんだ?リズ。」
「お母様って転生者でしたの!?」
「あっ!そういえば!言ってなかったね。エリーゼは転生者で、おそらく瑛美だと思っていたんだけど、さっきの発言で瑛美だと確信したよ。」
ただでさえ濃厚な話を聞いた一同には、さらに追加される情報に頭が追い付いていなかった。
そんな中、リズは冷静さを取り戻し、ケンドリックに尋ねる。
「お父様。」
「どうした?リズ。」
「お母様に会って少し記憶が安定してきたのですが…さっきのってもしかして感動シーンじゃなかったですか?」
「…まあ、エリーゼだし。」
「そうですわね。」
一連の流れを見てから、ようやく落ち着き出したグレント公爵は、部屋にいる全員に告げる。
「取り敢えず、今日は解散にしよう。エリーゼの準備が出来次第、ここにいる全員に集まってもらうようにするよ。」
グレント公爵の言葉を聞いて、一同は部屋を出るのであった…
次へ続く!
エリーゼさん…元気ですね…




