瑛美と紗貴(9)
あらすじ:私紗貴!瑛美と主治医の正井先生がお話をするみたい…
瑛美が入院してから2日目、診察室に瑛美と主治医の正井はいた。
瑛美は真剣な表情で正井を見る。正井は書類をトントンと揃えている。その表情は少し暗い。
正井は書類を机に置き、瑛美に向かってゆっくりと話し始める。
「瑛美ちゃん、君の余命は長くてあと2年だ。」
「あら、思ってたより長いのね。」
「えっ」
あまりにもあっけらかんと返す瑛美を見て、正井は驚きの表情を浮かべた。
「私、1年も無いと思っていたの。」
「…瑛美ちゃん。」
正井は少し悲しげな表情を見せた…が、気を取り直して再び瑛美に向かって話し始める。
「瑛美ちゃん、君の病気は世界でもほとんど例を見ないものだ。はっきり言って完治は厳しい。」
「小学校の時から聞いてるから流石に覚えているわよ。」
「そうだね…でもね。」
正井は真剣な眼で瑛美を見つめ、告げる。
「恐らく…どれだけ手を尽くしても3~4年まで伸ばすのが限界かもしれない…けど、僕は諦めないよ。君が長く、幸せに生きられるように…!だから、瑛美ちゃんも諦めないでいてほしい…!」
正井の言葉を聞いて、瑛美は少し俯きながらぽつりぽつりと話し始めた。
「先生…ごめんなさい。さっきのは強がり。私、少し気が弱くなっていたかも知れない。」
「気が弱くなるのは当然だよ。僕が同じ立場なら冷静になんてとてもなれないからね。」
「…そうなの?」
「ああ、聞いた瞬間に何も頭に入らなくなるよ。だから、例え強がりでも…前を向こうとする瑛美ちゃんは強い子だ。」
「…そう。だったら嬉しい。先生、私頑張るね。」
「うん。2人で…いや、君を支えてくれる両親や紗貴ちゃん、健斗くん達と一緒に頑張ろう。」
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診察室での話が終わり、2人は病室で話をしている。
「私…今一番恐いことがあるのよね。」
瑛美は溜め息をつきながら話し出す。
「え?それは何だい?」
「…この事実を…紗貴に告げること…!」
「あ、うん。それは確かに恐いね。」
「絶対に泣きながら怒るわよ…!」
「怒るだろうねぇ。『なんでもっと早く言わないのよ!』って。しかも今日は健斗くんも来るんでしょ?カオスになりそうだねぇ…頑張れ!」
「先生…一緒にいてよね。」
「まあ、説明をしなくちゃいけないから当然いるけど…その後は流石にどうしようもないよ。」
「先生は主治医なんだから頑張ってよ!」
「仲裁は主治医の仕事じゃ無いなあ…」
「ぶー…」
2人が軽口を叩きあっていたその時、扉が開かれた。
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「…ズッ…グスッ…」
「…ふー…」
「あ、あの…2人とも?」
瑛美はアワアワとしながら2人を見る。紗貴は先ほどから瑛美にしがみついて離れないし、健斗はずっと頭を抱えている。
(いやー…凄かった…)
正井は先ほどまでの光景を回想した。
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「瑛美!大丈夫!?本当に心配したんだからね!」
「え、ええ…大丈夫よ…」
「ああ、良かった。無理しないでよね!」
「…肝に命じておくわ。」
瑛美の言葉に、紗貴はほっとした表情を浮かべる。
ふと、紗貴は後ろにいる健斗に話しかけた。
「…ねえ健斗。さっきから何で黙ってるの?」
「…瑛美。なにか隠しているだろ。」
「えっ!?」
瑛美は健斗の言葉に驚愕した。
「ど、どうして…?」
「瑛美は嘘やごまかしが苦手だからな。」
「…」
瑛美は沈黙している。
その時、正井が2人に話しかけた。
「健斗くん、紗貴ちゃん。僕が説明しよう。」
正井は2人を座らせ、説明を始める。
「…瑛美ちゃんの病気がじわじわと進行している。僕の治療で何とかしたいところだけれども、それでも…長くてあと3、4年だ。」
「ええっ!?」
「…嘘…だろ…?あんなに元気そうなのに…?」
「本当だよ。…君たち2人には、これまでと…これからの話をしよう。」
次へ続く!
次は…どうなるのか…




