瑛美と紗貴(7)
あらすじ:私紗貴!瑛美が健斗と付き合い始めたとか言うから、健斗を問い詰めるよ!
「んん…ふぁあああ…ねむ。」
ゆっくりと起き上がったのは須藤 健斗、紗貴の兄である。
「あ、そう言えば、今日は瑛美が泊まってるんだよな。…【瑛美】か…ふふ。」
健斗は舞い上がっていた。数年前から密かに抱いていた恋心がついに実ったからだ。しかも、実は両想いであったと知って、余計に嬉しさを感じていた。
「おはよう、母さん。」
「おそよう。もう10時だよ。」
のそのそと階段を降りる健斗に、母である幸美は答える。
健斗はもそもそと朝食を食べる。いつもの朝食だが、今の浮かれまくっている健斗にとっては、幸せな朝食であった。
「あ、健斗。朝食食べ終わったら紗貴の部屋に行きな。瑛美ちゃんが呼んでたって。」
「えっ、瑛美が?あっ。」
「ふーん、【瑛美】ねえ…まあ、詳しいことは聞かないであげるわ。」
「…助かります。」
そう言って手を合わせる健斗を見て、幸美は微笑みを浮かべた。
(健斗からは聞かないでおいてあげる♪)
幸美がそう考えているのを知らずに、健斗はるんるん気分で階段を上っていくのであった…
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「…あ、あの…」
「何?」
「何で俺は正座させられてるの?」
「自分の胸に聞いてみたら?」
健斗は首をかしげる。
(全く心当たりがないぞ…あ!)
「冷蔵庫のプリンを勝手に食べたこと?」
「違う。後で買ってきて。」
「はい。…あ!漫画借りパクしたこと!?」
「違う!早く返してよ!…じゃなくて!瑛美とのこと!」
「…ああ!瑛美と付き合うことになったよ!昨日!」
「報告が遅い…っていうか、もっとちゃんとした状況で知りたかったよ!」
「あ、うん。それは申し訳ない。」
「まあ、良いよ。…それで?」
「そ、それでって?」
「どういう経緯で付き合うことになったの?ちゃんと教えて。」
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「…というわけ。」
「なるほどね。簡単に言うと、瑛美が健斗と一緒に歩いている同級生の女性を彼女と勘違い。誤解は解けたものの、焦った瑛美が公衆の面前で告白…と。瑛美が喋りたがらない訳がわかったわ…」
紗貴の言葉を聞いて、健斗はベッドを見る。
恐らく瑛美であろう生き物がベッドの上で布団にくるまっている。
(可愛いな…)
そう健斗が思っていると、健斗は瑛美と目が合った。
照れ臭そうに笑う瑛美を見て、健斗も釣られて笑う。
「私を挟んでイチャつかないでよ!」
「あ、いやー…悪い悪い。」
そう言う健斗に、紗貴は呆れながらも口を開く。
「全く…健斗、長年の片想いが実って良かったね。ちゃんと瑛美のこと、大切にしてよね。ただでさえ昨日は血を吐いて大変だったし…」
「もちろん、瑛美のことは幸せにするよ。…ん?血?」
「あっ。」
「…紗貴、瑛美。」
健斗は2人をじっと見つめる。
瑛美は観念したように、ポツポツと話し始めた…
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「つまり、1ヶ月前から体調が良くない、と…」
「う、うん...」
「…瑛美。」
健斗が瑛美を見つめると、瑛美はビクッと反応した。
健斗はゆっくりと瑛美に話す。
「瑛美、俺達を心配させないために黙っていたんだろうけど…逆効果だからな。」
「えっ…」
「むしろ、急に倒れたりしたら…俺は耐えられないよ。紗貴も一緒。」
瑛美は健斗の話にしっかり耳を傾ける。健斗は話を続ける。
「俺…いや、俺達にとって、君は本当に大切な存在なんだ。だから…自分を大切にしてほしい。俺達のために。」
「…うん。ごめんね。」
「謝らなくて良いよ。」
そう言って、健斗は瑛美をそっと抱き締めた。
「…私もっ!」
紗貴も一緒になって瑛美に抱き付く。
部屋に沈黙が走る中、瑛美は思う。
(紗貴、健斗、私のこと、大切って言ってくれてありがとう。)
(…私、頑張って生きるね。)
瑛美は、2人をそっと抱き返した。
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そして数年後、紗貴と瑛美は大学生として、日々を過ごしていた…
ゲームはまだ、攻略できていない。
次へ続く!
前世編、あと数話で終わります…多分…




