瑛美と紗貴
あらすじ:私紗貴!瑛美ちゃんと一緒に家で遊ぶよ!
「さ、紗貴ちゃん…これって…?」
「えっ?テレビゲームだけど…あっ!ボードゲームの方が良かった?カードゲームもあるよ?あっ、でもそこにあるのはお兄ちゃんのだから触らないでね?汚したらすっごい怒られるから。」
「あっ…いや…そうじゃなくて…今まで、ゲームってしたこと無かったから…そうなんだ、これがテレビゲームなんだね。」
「えっ!?」
紗貴は驚愕した。テレビゲームを見たことがない同級生に会ったことが無かったからだ。
「じゃ、じゃあ瑛美ちゃん。普段は何して遊んでいるの?」
「ええっと…公園に行ってたよ。」
「激しい運動が出来ないのに!?」
「う、うん。だから、砂場で皆を眺めてたんだ。たまに誘われるけど、沢山動けないってわかると皆離れていっちゃうし…」
「あ…雨の日は?」
「?雨の日は皆勉強する日だよね?」
「…」
「さ、紗貴ちゃん…?」
「瑛美ちゃん!!!」
突然大きな声を出した紗貴に瑛美が驚いていると、紗貴は瑛美を抱き締めた。
「これからは一緒に遊ぼうね…!瑛美ちゃん!」
「う、うん…」
「じゃあまずは…」
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「またね!瑛美ちゃん!」
「う、うん…!またね!」
紗貴と別れた瑛美は、帰り道で1人、さっきまでのことを思い返す。
(家の中でも、あんなに楽しく遊べるんだ…)
瑛美はふと、立ち止まる。
(…帰りたく…ないな…)
家では常に勉強ばかりだった。外でなら遊んでも良いと言われていたが、身体が弱い瑛美にとっては外は遊べる場所ではなかった。
瑛美は気が付いたら紗貴の家に来ていた。
ピンポーン
扉を開けたのは紗貴の兄、健斗だった。
「えっ?何で?さっきまで妹と遊んでたよね?」
「…」
「…あー…取り敢えず入りな。母さんには言っておくから。」
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「取り敢えず、今日はうちに泊まりなさい。ご両親には伝えておくからね。」
「あ、ありがとうございます…」
瑛美は紗貴と健斗の母である幸美にお礼を言った。幸美はニコリと微笑み、瑛美に話し掛ける。
「良いの。…ねえ、瑛美ちゃん。」
「な、何ですか…?」
「瑛美ちゃんって、勉強は好き?」
「う、うん…わかることが増えるのって楽しい。」
「…うちの子達に聞かせてやりたいわ…じゃなくて!…お外で遊ぶのは?」
「…」
瑛美は黙った。昔は好きだった外遊び、しかし、身体が弱くなってから、楽しいという気持ちが段々薄れていくのを、彼女は感じていた。
「…瑛美ちゃん、お父さんやお母さんとお外で遊んだことある?」
「…ううん。お父さんもお母さんも、お仕事頑張ってるから…」
瑛美の言葉を聞いた幸美は少し考え始めた。
何かを思い付いた幸美は、瑛美に話す。
「…瑛美ちゃん、今度、お父さんかお母さんとお外で遊んでみない?」
「えっ?」
「…多分だけど、瑛美ちゃんのお父さんとお母さん、瑛美ちゃんがあまり動けないのは知っていても、どれくらい動けないのかが分からないのかもしれないの。」
瑛美は幸美の話を黙って聞いている。
幸美は話を続ける。
「瑛美ちゃん、あなたはもっとわがままを言って良いのよ。あなたのお父さんとお母さんは、それで怒るような人じゃないわ。…うちの子達なんて、わがまま放題だしね。」
そう言って笑う幸美に、紗貴が反論する。
「そんなことないよー。」
「あるだろ。紗貴、この前ゲームが欲しいって駄々こねてたじゃん。」
「そ、それだったらお兄ちゃんだって、カードゲーム欲しがってたじゃん!」
幸美は後ろで騒ぐ紗貴と健斗を見て、少し微笑んだ。
それを見た瑛美は、幸美に話し掛ける。
「あ、あの…!紗貴ちゃんのお母さん…!」
「?なあに?瑛美ちゃん。」
「私、お父さんとお母さんに話してみる…!お外で一緒に遊ぼうって…!」
そう言う瑛美を見て、幸美は微笑んだ。
次へ続く!
瑛美ちゃん…!頑張れ…!




