カイルの後悔
あらすじ:私リズ!私のお祖父様の曾お祖父様のお話よ!
カイルはエイミーに前世の話をした。日本という国に住んでいたこと、親をなくし親戚に預けられたが、今後迷惑をかけないために兄弟で生きていこうと決意をした直後、事故にあって命を落としたこと…そして、弟の安否が気になるがゆえに、その事故の記憶を夢に見ることを…
エイミーは話を聞いた後、ぽつりと呟く。
「そんなことが…」
「ああ、とても信じられないとは思うが…」
「いいえ、信じるわ。」
「えっ!?」
カイルは驚いた。前世の話なんて到底信じてもらえないと思っていたからだ。
カイルはエイミーに尋ねる。
「ど、どうして…?」
「私の故郷、フシーン王国にはある言い伝えがあるの。」
そういったエイミーは、言い伝えを語りだした。
後に、その言い伝えは大陸中に広がり、リズ達の耳に入ることとなる。
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「そ、そんな言い伝えが...!」
「ええ、でも私があなたの話を信じるのはそれだけではないの。」
「ど、どういうことだい?」
「あなたは私の病気のことは知っているわよね?」
「あ、ああ、もちろん。」
エイミーは昔、不治の病にかかっていたが、ある医者により救われている。
その話は、後に多少脚色され、絵本になるのだが、2人はまだ知らない。
「実は、そのお医者様には前世の記憶があったのよ。しかも、言い伝え通り、後悔を抱えたまま転生をしてきたみたい。」
「えっ!?」
カイルは心底驚いた。自分以外にも前世の記憶を持った人物がいたとは信じられなかったからだ。
エイミーは話を続ける。
「お医者様は前世で、私と似たような病にかかっていた少女を救えなかったと後悔していたわ。でも、私を救えたことで、完全ではないけど後悔が晴れたみたい。」
「そうなのか…私の後悔も晴れる時が来るのかな?」
「ええ、来るわ。どれ程時間が経っても、絶対に。」
「…ありがとう。少し気持ちが楽になったよ。君が私の妻で本当に良かった。」
「ふふっ。その言葉、今後の人生でもっと言わせてみせますわ!」
2人は笑いあった。問題は解決していないが、カイルの気持ちは晴れた。カイルにとっては前世の記憶という異質なものを受け入れてくれる存在が必要だったのだ。
その時、部屋の扉が勢いよく開かれた。屋敷の侍女が、焦った表情で2人に話す。
「旦那様!奥様!無礼をお許しください!お坊っちゃまが…!お坊っちゃまが…!急に意識を失われました!!!」
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カイルとエイミーは息子であるフレッドの部屋へ向かった。フレッドは穏やかに眠っている。…が、時折うなされているようだった。
「フレッド…」
「大丈夫だ、エイミー。お医者様は体に異常はないとおっしゃっていた。」
「ええ、でも…」
「…私達には、見守ることしかできない。2人で支えよう。」
「…ええ、そうね。」
2人はフレッドの手を握る。
その時、フレッドがうなされながら言葉を発した。
「うう…兄さん…俺はいいから…兄さんだけでも…」
2人は目を見合わせる。この家にはフレッドしか子供がいない。
「嫌だ…!兄さん…!いなくならないで…!また…!家族を失いたくないよ…!」
存在しない兄の話をするフレッドを見て、エイミーは震えだした。
「ど、どういうことなの…?フレッド、あなたはいったいどのような夢を見ているの...?」
一方、カイルは別の考えをしていた。
そして、カイルの考えは確信へと変わる。
「兄さん…!実兄さん…!」
「…まさか…本当に…佳雄なのか…?」
その瞬間、フレッドは飛び起きた。
「はあっ、はあっ…あれ…?僕は…?そうだ、お父様とお母様の話を聞いて…!」
フレッドは横を見る。ホッとした表情の母、エイミーと今にも泣きそうな表情の父、カイルが視界に入った。
「フレッド!本当に良かった!」
エイミーがフレッドに抱き付く。
「ありがとう、お母様、僕は大丈夫です。」
フレッドはカイルに話し掛ける。
「…久し振り、会いたかったよ。兄さん。」
次へ続く!
過去編、(多分)次回で終わりです。




