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転生令嬢がゆるゆる頑張る話  作者: 和和
第二章 転生令嬢、リズ
28/28

実(みのる)と佳雄(よしお)

あらすじ:私リズ!私のお祖父様のお祖父様と曾お祖父様の前世のお話よ!


(少しキツい描写があります。ご注意ください。)

実と佳雄は兄弟である。


両親は2人が小学生の時に他界しており、中学生となった今では叔父夫婦と暮らしている。


叔父夫婦も従兄も優しく接してくれているが、その優しさが逆に2人には辛く感じてしまっていた。


そのため、2人はいつも一緒だった。年子ということもあり、余計に2人は固まって行動していた。


その日も、そうだった。


中学からの帰り道、兄である実は弟の佳雄に話し掛ける。


「俺、高校に入ったらバイトするんだ。少しでも叔父さん達の負担を減らしたくて。」


「実兄さん…よし、決めた!」


「?どうしたんだ?」


「俺もバイトするよ!兄さんだけに無理はさせない!叔父さん達は凄くいい人だけど...いや、だからこそ!俺達だけで生きていけるように頑張りたいんだ!」


「佳雄…ありがとう!俺達で頑張ろう!」


実が感謝を伝えると、佳雄はニカッと笑って駆け出した。


その時、実は信じられないものを見た。


(おい!あのトラック…!信号無視じゃねえか…!)


一つ向こうの信号を無視してきたトラックが、今佳雄が渡っている横断歩道に突っ込もうとしていた。


実の身体は勝手に動いていた。


(間に合え…!)


実が佳雄を突き飛ばした瞬間、実の身体は大きな衝撃と共に宙を舞った。


べちゃり、と音が鳴る。


薄れゆく意識のなかで実は思った。


(良かった…佳雄が無事で...)


もう身体の感覚は無い。もう間に合わないと実は自覚していた。


(後悔はある。もっとやりたいことはいっぱいあった。…でも、佳雄を助けることが出来た。それで十分だ。)


実の意識が完全に途切れる…



瞬間



周囲は炎に包まれた。


おそらくトラックか、事故に巻き込まれた車の燃料が漏れたのだろう。


実は最期の力を振り絞り佳雄を見る。


佳雄に炎が襲いかかる。


(止めろ!止めてくれ!神様…佳雄を、佳雄を助けてくれ!)


実の意識はそこで途絶えた。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~



「…はっ!…はあっ!はあっ!…ゆ、夢か…?またなのか…」


グレント公爵家当主であるカイル・ラ・グレントは夜中に目を覚ました。


彼にはいわゆる「前世」の記憶がある。その事は誰にも言っていない。


「…誰にも言えない。というより、信じてもらえないだろう。」


カイルには妻と子がいたが、常に孤独を感じていた。


「佳雄…」


カイルは前世の記憶を取り戻してから、あの日の光景がずっと思い起こされていた。


「あの後は…どうなったんだ…佳雄、頼む…助かっていてくれ…!」


カイル、いや、実の後悔は佳雄の安否、それだけだった。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~



「あなた、何を隠しているの?」


カイルはある日、妻であるエイミーに尋ねられた。


「か、隠しているって…そんなことはないよ。」


「嘘。最近、毎日うなされているじゃない。」


エイミーはカイルの目を見て尋ねる。


「『ヨシオ』って誰?」


カイルの心臓がドキリと音を立てた。カイルはエイミーに尋ねる。


「な、何故その名前を…!」


「あなたが苦しそうにその言葉を発していたのよ。内容から察するに、名前だとは思ったけど、この国では一度も聞いたことがないのよ。…!あ、あなた!?大丈夫なの!?」


「えっ?」


「こんなに青い顔をしているじゃない!」


「そ、そんなこと無いよ?」


「あるわよ!鏡を見なさい!」


カイルはエイミーと屋敷の衛兵に介抱されながら、自室へと戻った。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~



「ごめんなさい...私があんなことを聞いたから...誰にだって触れられたくないものはありますのに…」


エイミーはカイルに謝る。


カイルは少しおどおどしながらエイミーに答える。


「も、問題ないよ!…触れられたくない訳じゃないんだ。ただ、信じてもらえないんじゃないかと思って…」


「信じてもらえない…ですか?」


「ああ、今から言う話は私にとって本当の話なんだが、普通では到底信じられない話なんだ。…でも、話すよ。」


カイルは一息付いて、再び話し始める。


「私の前世の弟、佳雄(よしお)について。」



次へ続く!

過去編、多分もう1、2話くらい続きます。

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