タイラーの過去
あらすじ:私リズ!タイラー様に急にデ、デートに誘われましたわ!い、一体どういう考えなのでしょう…
タイラー・ラ・イーヒルト、ゲームにおける彼は学園入学時点ではワリッツァ公爵家の次男であった。
伝染病の情報を操作して周辺国を混乱させる父に言われるまま、『良い人』として他の学生達と付き合い、警戒を緩めさせて父に情報を流す。
自分に自信が無く、次男であるがゆえに家を継ぐことが出来ない、良縁も結べない(と父に思い込まされていた)彼は父の言いなりになるしかなかった…
彼のルートでは良心の呵責に苛まれる彼をリズが救うストーリーとなっている。
このルート、このゲームでは珍しくグッドエンドへの道のりが難しい。更にリズが命を落とすバッドエンドは彼のルートでしか現れない。
そのため、このゲームの支持層と微妙にずれていたこのルートはそこまで人気は無かった…が、【彼女】は別だった。
紗貴はハマった。難しいルート、かつゲームの中では特別美形ではない彼の容姿がドンピシャだった彼女は何度もこのルートを繰り返し、グッドエンドも何回も見た。ある事情とはこの事である。
しかし、『今、この世界の』彼は、跡継ぎがいなかったイーヒルト公爵の養子として学園生活を過ごしている。そのためリズが彼を救うストーリーは起こらないのだが…
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ーーー学生寮ーーー
「…良し!…やっと誘えたぞ…!」
タイラーは部屋で1人、何度もガッツポーズをしている。
「私はあの時から待ち望んでいたんだ…リズ嬢と再び会い、親交を深める機会を得ることを…!」
タイラーの幼少期は家族に疎まれながら生きているという、原作とほぼ同じ状況であったが、原作とは違う出会いがあるパーティーであったのだった…
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ーーー数年前ーーー
「タイラー!さっさとどっかに行け!今日は俺の婚約者を探しに来たんだ!」
「は、はい…兄上…」
ブリーク王国の王城にある渡り廊下で2人の子供が話をしている…といっても、片方がもう片方を一方的に罵っているのだが…
幼少期のタイラーとその兄、ザパーチが別れたあと、タイラーの元に1人の少女が現れた。
「ねえあなた、今暇かしら?暇だったら、中庭に行かない?」
「え?な、何をしに…というより、あなたは…?」
「もちろん、身体を動かしによ!会場で食べ過ぎちゃって、お腹が苦しいのよ!」
タイラーは困惑した。
(な、何を言っているんだ?)
「…あっ!?名乗っていなかったわよね?私、リズ!リズ・ラ・マイメリーよ!あなたは?」
「えっええと…タイラー・ラ・ワリッツァです…」
「タイラーね!ねえタイラー?あそこの木!登りやすそうじゃない?じゃあ競争ね!」
リズはそう言うと、真っ直ぐ大きな木に向かって走っていった。そして、するすると登っていったのだ。
(な、なんて令嬢だ…!…って、マイメリー!?トレンス王国の国王陛下の姪ってことじゃないか!)
タイラーは驚愕した。そして思った。ここまでお転婆な令嬢だと、中々相手が見付からないのではないか…でも、その自由さが少し羨ましいと…
その後、タイラーはリズと会うことはなかったが、ある時、彼に転機が訪れる。
ーーーボックシール帝国皇帝宮ーーー
「陛下!何故私の爵位が剥奪されなければならないのですか!?」
そう叫ぶのはタイラーの父であるグレソン・ラ・ワリッツァ公爵。
公爵の発言に皇帝は答える。
「その質問の答えは貴様自身が充分承知しているだろう?」
その言葉に公爵はビクッと肩を震わす。
〔ま、まさか…しかし何故…私の隠蔽は完璧だったはず…〕
「ワリッツァ公爵…いや、『元』公爵。使用人の管理は徹底すべきだったな。」
証拠を次々と出されたグレソンは膝から崩れ落ちた。
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タイラーとザパーチの前に1人の男が近づき、話し掛ける。
「君達はグレソン・ワリッツァの息子達だね。私はトレンス王国の公爵、ケンドリック・ラ・マイメリーだ。」
2人はピクリと反応した。他国の公爵が皇帝宮にいる理由を何となく察したからだ。
ケンドリックは何枚かの紙を2人の前に差し出し、話を続ける。
「君達をそれぞれ別の公爵家の養子にすることが決まった。候補はいくつかある。」
次へ続く!
リズの異名に木登り令嬢が追加されました。




