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転生令嬢がゆるゆる頑張る話  作者: 和和
第二章 転生令嬢、リズ
18/29

リズの前世

あらすじ:私リズ!ついにお父様の前世を突き止めてやりましたわ!…何故わかったかって?秘密ですわ!

リズの言葉に動揺するケンドリックを見て、リズは思った。

(私の推理は完璧だったみたいね!)

実際のところ、エリーゼに前世の記憶があることは突き止めていないので、ギリギリ完璧ではないが、それでもかなりの推理力ではあると言える。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~


リズは前世の記憶を完全には思い出しておらず、ゲームの内容とその周辺の記憶のみ保持している。

リズは前世を90歳まで生きていたが、ゲームを完全クリアしてからの記憶は彼女にはない。

彼女は、中学生の時にこのゲームを始めたが、完全クリアをしたのは大学を卒業した後であった…

つまり、彼女には中学から大学までの記憶しか無い。

リズの前世は元々乙女ゲームにはそこまで興味がなかった。しかし、ふとしたきっかけで始めたのがこのゲームである。

彼女はハマりにハマった。ストーリー自体はいたってシンプル、しかしそれを補うかのように大量のストーリーとスチルが隠されていた。

その隠し要素が彼女を燃え上がらせた。

ゲーマー気質だった彼女は学生時代をこのゲームに捧げた。途中、ある事情(・・・・)により出来ないときもあったが、ひたすらルート攻略とスチル集めに勤しんだ。

数年かけて、全てのストーリーとスチルを獲得した彼女は喜びに打ちひしがれた。リズの前世の記憶はそこで止まっている。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「なぜ…なぜ分かったんだい?」

「その質問をするということは、私の質問に対する返答は『はい』と言うことですわね。」

ケンドリックは頷く。

リズは、ケンドリックの反応を見て微笑んだ。

リズは少し誇らしげな様子で話し出す。

「まず、転生者である根拠は先ほど話しましたね?実を言いますと、『あなた』を特定できたのはお父様が転生者であると確定してからですわ。」

「…あの僅かな時間で突き止めたのかい?」

「ええ、確定した瞬間、私の記憶にあったお父様に対する出来事をつなぎ合わせることで、特定いたしました。」

リズは指を突き立てて話し始める。

「まず1つ目はお父様の寝言ですわ!」

「ね、寝言!?」

「ええ、マキシーが産まれた後、お父様はたまにうなされるようになりましたの。その時に『サキ』、『エイミ』という寝言を聞くようになりました。」

ケンドリックは冷や汗を垂らした。その言葉に心当たりがあるからだ。

リズは続ける。

「当時は何も思いませんでしたが、今思えば、あれは人の名前…しかも日本人の名前を発していたのですね。そして私、その内の1人に心当たりがありますの。」

ケンドリックは驚愕した。

(私の中ではリズの前世が何者なのかはある程度絞れた…が…1人(・・)?リズは間違いなく1人と言った…つまり…!)

(リズは前世を完全には思い出していない…?)

ケンドリックはリズを見た。姿はリズのままだが、身振り手振りがいつもと違う。

(…わかった。彼女が『誰』なのか…!)

リズは突き立てた指を2本にして話をする。

「2つ目、これで私は確信しました。」

リズはケンドリックを指差し、話す。

「お父様のその癖、何か考え事をするときに右手の人差し指と中指で唇を挟む癖…!これをする人間は前世を含めて1人しか見たことありませんの。」

「…じゃあ、私が2人目って訳だね。」

ケンドリックはしらばっくれた。無駄だとは彼自身も理解している。

リズは笑った。いつものリズでは絶対にしないような、いたずらっ子のような笑みで。

リズの姿をした彼女(・・・・・・・・・)が口を開く。

「その、無駄なしらばっくれも変わってないね。」

『彼女』の言葉にケンドリックは溜め息をつく。

「まさか…こんな形で再会するとはな…」

「私も、会えるとは思っていなかったよ。」


彼女はニヤリと笑った。

「久し振りだね。お兄ちゃん♪」

須藤(すどう) 紗貴(さき)

これがリズの前世の名前である。


次へ続く!

次回は会話が多めになります。

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