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転生令嬢がゆるゆる頑張る話  作者: 和和
第二章 転生令嬢、リズ
16/29

リズの推理

あらすじ:私リズ!お父様はもしかすると転生者かもしれないわ!これから私の名推理を披露するわね!

「それで、リズのお父さんが転生?ってやつをした根拠はあるの?」

「もちろんあるわ!…とはいえ、その根拠は私にしか分からないけれども…」

「つまり、リズの前世に関係があるのですね?」

「そういうことよ!リュミー(あなた)には簡単に伝えているけど、おさらいするわね!」

リズはそう言い、お茶菓子を用意した。それに合わせてリュミーはお茶を入れる。

リズは話を始める。

「まず、私の前世では、この世界は物語の中であったことを前提に話すわね。信じられないとは思うけど、取り敢えず一旦信じてちょうだい。」

2人は頷く。それを見てリズは再び口を開く。

「この物語は普通の物とは少し違って、私の行動によって結末が変わってくるの。例えば、王子と仲を深めれば王子と婚約する。どこぞの公爵令息と仲を深めれば将来の公爵夫人になる…というものなの。」

「へー…中々複雑なストーリーだな…」

「ええ、そうね。本当に…本当に複雑だったわ…」

リズは遠い目をした。全てのストーリーを攻略するのに数年かかったからだ。

〔な、なんだあの表情?修羅場を思い出したかのような顔をしてるぞ…〕

〔リズは前世を思い出すときにたまにあの表情をするのです。何故かは分かりませんが…〕

メイルとリュミーがヒソヒソ話をしていると、我に帰ったリズが再び話し始める。

「まあ、それは良いとして…この物語には色々なルートがあるのだけれども...全てが良いルートとは限らないわよね?」

「なるほど、悪い結果になる可能性もあるのか…そうか!それでリズはへこんでいたのか!」

「…ああ!なるほど!誰とも結ばれないルートもあるということですね!」

「そうよ!攻略対象…つまり、お相手候補ね!その方々と関わり合えていない今の私は誰とも結ばれない可能性があるの!自分で言ってて少し悲しいわ!…でもね、正直、結ばれないだけならまだマシなのよね…」

「マシって…何かもっと悪い可能性でもあるの?」

「ええ、あるわ。学生の間に私が命を落としてしまう可能性がね!」

「「ええっ!!!」」

「あくまで可能性よ。絶対そうなるわけではないわ。…で、私が考える根拠はそこなのよ。」

「そこ、と言いますと?」

「そのルートにたどり着く要因がことごとく潰されているのよ。」

「潰されたって…どういうことなの?」

「まず、最悪のルートだと私は不治の病か政治上の争いで命を落とすの。その要因となったのがワリッツァ公爵と言う人物。その息子がこの学園に入学するの。」

「えっそれって…かなりまずいんじゃ…ってあれ?」

「そう、その人物はこの学園に入学していないの。名簿にも無かったわ。…さらに言うとね、私の命を奪うかもしれない不治の病、もう治療法が確立されているのよね。」

リュミーはハッとした。

「もしかして、以前旦那様が隣国に病気の研究を頼みに行った件って…」

「私がかかる予定だった病気よ!」

2人は押し黙った。転生と言う概念は中々信じられないが、そこに目を瞑れば納得はいくからだ。

メイルが口を開く。

「確かに、事前に分かっていたからこその行動にも思えてくるね…」

「しかも、ワリッツァ公爵は他国の貴族です。慎重に動いているでしょうから、余所者が簡単には動けないはず…でも動いたということは…!」

「根拠があったのでしょうね。私は根拠(それ)が前世の記憶だと推理したわ。…とはいえ、確信は持てないでしょう。なので、提案がありますわ。今週の休み、我が家に行きましょう。」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~


ーーーマイメリー公爵家ーーー


「やあ、いらっしゃい。メイルさんだね。私はリズの父のケンドリック・ラ・マイメリーだ。今日はゆっくりすると良い。」

「そして、私がリズの母のエリーゼ・ラ・マイメリーですわ!」

「おおおおお邪魔しますっ!!!」

「やあねぇメイルったら、慌てすぎよ。」

「お嬢様、これは普通の反応です。」

「分かってるわよ!…でも、折角友達が家に来てくれたのだから、リラックスしてほしいわ。」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~


リズの部屋でしばらく談笑していた3人は、しばらくするとケンドリックの執務室に向かった。真相を確かめるためだ。

リズは執務室に行く前、2人にこう告げた。

「私はお父様にある質問をするわ。その反応で私の推理が正解かどうかが分かるわ!」

3人は扉の前に立った。リズは扉をノックする。

「お父様、リズですわ。リュミーとメイルさんもおられます。入ってもよろしいでしょうか?」

「良いよ。入ってきなさい」

3人は扉を開け、ケンドリックと対面する。執務が終わったみたいで、かなりリラックスをしている。

「それで?何のようだい?」

「単刀直入に質問しますわ!」

ケンドリックの疑問にリズは答える。そして、2人より少し前に出て、質問をする。

「ねえお父様、【日本】と言う国はご存知かしら?」

「えっ!?どうしてそれを…誰から…?いや、まさか…!」

「やはり、そう(・・)だったのですね。」


リズの推理が的中した瞬間であった。


次へ続く!

執務室に入る前に許可をとるのはお父様譲りですかね…

次回からは物語が少し動きそうな予感…!

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