公爵夫人の衝撃
あらすじ:私リズ!前世を思い出したからバッドエンドを回避するために頑張りますわ!オーッホッホッホ!!!
(ま、まさか…あの娘は…!思い出しましたわ…!)
(この『乙女ゲーム』のことも…!『私』のことも…!)
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「お母様!私、学園に通いたいですわ!」
リズは自分の母、マイメリー公爵夫人であるエリーゼに直談判をしに行った。
「あら、良いわよ。」
エリーゼはあっけらかんと答える。
「ずいぶん簡単に許可を出しますね…」
リズは少し拍子抜けした。反対はされないにしても、ここまであっさり許可をもらうとは思っていなかったからだ。
「私の経験上、学園に通うことは人生にとってプラスになると思ったからよ。」
エリーゼは続ける。
「貴女は将来、他国の公爵家、もしくは王族に嫁ぐ可能性が非常に高い。ただ、そうなると低い爵位の方や平民とは簡単に関われなくなるわ。」
リズはエリーゼの言葉に頷く。
エリーゼは更に続ける。
「でも、国を引っ張る王族も、領地を運営する公爵も、民がいないと生きていけないのよね…そのような存在が民のことを理解していなければ、彼らは決して着いていかないわ。」
リズが口を開く。
「学園でなら…理解することが出来るということですか?」
「完璧にはさすがに無理だけれどね。でも、学園生活は貴女にとって糧になることは間違いないわね。それに…」
「それに…?」
「ケンドリックとの淡い恋物語を経験したのも学園ですもの…!」
リズは直感した。このままではお母様のスーパーのろけタイムが始まると…!
リズは慌てて口を開く。
「お、お母様!そう言うことですので!私は学園生活を楽しみたいと思いますわ!オーッホッホッホ!!!では!失礼いたしますわ!!!」
リズは優雅に素早くお辞儀をし、部屋を出ていった。
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(よし、よし!これで無事に学園生活を送れるわ…そして待ってなさい!私の未来の旦那様!!!)
リズは両親の母校であるブリーク国立学園中等部への入学を決意した。
因みに、ゲームの舞台はブリーク国立学園である。
何故バッドエンドを回避したい彼女が、わざわざ舞台の学園へ通うことになったのか、理由は2つある。
まず1つ、幅広い身分の生徒がおり、かつ規模が大きい学園が、トレンス王国やその周辺国を探してもそこくらいしか存在しないことである。
そしてもう1つ、なんとリズ、ゲームの舞台の学園の名前を覚えていなかった!!!ストーリー中、幾度となく名前が出ていたにも関わらず!
もう一度言おう!!!
リズは前世でこのゲームを遊び尽くしているのにも関わらず!
ストーリー中、幾度となく名前が出ていたにも関わらず!!
ゲームの舞台である学園の名前をまったく覚えていなかったのである!!!!!!
彼女は以下の言い訳をのべる。
「す、スチル集めに必死で...!ストーリーをたまに読み飛ばしていたので…すっかり頭から抜け落ちておりましたわ!」
そんなこんなで、リズは中等部に入学するのであった…
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「もう中等部か…大きくなったわね…」
リズが部屋を出たあと、エリーゼは一息つく。
「それにしても、私と同じ学園に通うことになるなんて…いい出会いがあると良いわね。ふふっ。」
そう呟くと、エリーゼの頭の中に、ある映像が流れた。
それは、成長したリズのような少女が、舞踏会で男性と踊っている姿だ。
(あれ…?どうして…?私は…この光景を知っている…)
エリーゼに衝撃が走った。
「お、思い出しましたわ…!『この世界』のことを…!これは…!『あの子』が遊んでいた…!」
エリーゼは近くにいた侍女に声をかける。
「あなた…!ルーチェを…!ルーチェを呼んでちょうだい!」
次へ続く!
リズ…!頑張れ…!
多分大丈夫だよ…多分。




