転生令嬢、叫ぶ
2作目です。
題名通り転生した令嬢がゆるゆる頑張る話です。
「これはどういうこと!?」
ある王国にある大きな館で、少女は叫んだ。
「お嬢様!何かありましたか!」
同じ部屋にいた侍女が慌てて駆け寄ってくる。
「い、いいえ。なんでもないの。気にしないでちょうだい。」
「いきなりお嬢様に叫ばれたら、誰だって気にしますよ!」
「ほ、本当になんでもないの!ほら!あっちで仕事してなさい!」
「は、はぁ…かしこまりました…」
再び業務に向かう侍女を尻目に、少女は思考を巡らせる。
(何で!?どうして!?急に前世を思い出すなんて…!)
(しかもこの世界は…この世界は…)
(どこの世界なのよおおおおお!!!!!)
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「…話をまとめますと、お嬢様はそのニホン?という国でジョシコウセイ?であったと。」
「そうよ!」
「…ちなみに、お嬢様のお名前は言えますか?もちろん、今のですよ。」
「当然よ!私こそ!このブリーク王国が誇るグレント公爵家が長女!!エリーゼ・ラ・グレントよ!!!
オーッホッホッホ!!!!!」
「良かった、頭がおかしくなったわけではないですね。まあ一旦は信じますね。お嬢様が読んでらした物語にもない国の名前ですし。」
「あなた私が今まで読んでた本を覚えているの!?ちょっと怖いわよ!」
「何年一緒にいると思ってるんですか。」
「それもそうね。」
「それで、前世の記憶を思い出したお嬢様はどうするのですか?…まさか、この前読んでらした『ラブラブ学園』のヒロインみたいに逆ハーレムでも作るつもりですか?」
「タイトルを声に出さないでちょうだい!それに逆ハーレムを作る気なんて無いわよ!面倒くさい!!」
「やらない理由がそれなのはお嬢様らしいですね。安心しました。」
「どういう意味よ!」
「言葉の通りです。」
「…とにかく!私はこれまで通り過ごしていくわ!前世の記憶なんてクソの役にも立たないわね!!」
「お嬢様、さすがにクソはだめです。」
「言いたくもなるわよ!こういうのって物語だと乙女ゲームだとか小説の世界に入って悲劇の運命を変える!みたいな展開になるじゃない!」
「オトメゲエムとやらはわかりませんが、確かにお嬢様が読む本にはそういう物語が多いですね。」
「そうなのよ!でも私の前世にはこの国の名前や《私》の名前に覚えはないし…婚約破棄の予定はないし、戦争も今は起こらなさそうだし、魔王や魔物なんていないし…だったら普通にこの世界で生きるしかないじゃない!」
「過去に戻った物語のように、その世界にしかない技術とかあるんじゃないですか?」
「あるにはあるけど…作れないわよ。構造とか知らないし。食べ物も美味しかったけど別に今の世界で十分満足してるし。」
「そう言われるとそうですね。物語の主人公はそういうのを理解できてすごいですね。」
「まったくよ。もっと勉強すれば良かったわ。」
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「そういえばお嬢様。先ほど旦那様が呼んでおられましたよ。執務室に来るようにと。」
「それを早く言いなさいよ!…それにしても、何の用かしら。」
「もしかすると婚約の話かもしれませんよ。お嬢様も良い年ですし。」
「それはお互い様でしょ。…でも、貴族の宿命とはいえ、結婚は嫌ね。何が嫌って相手の位が嫌だわ。ほぼ確定で他国の王族じゃない。」
「公爵令嬢ですからね。それに我が国の王子様は従兄弟ですしね。」
「従兄弟同士の婚姻はこの国ではほとんど無いもの。血が濃くなりすぎると良くないし。」
「まあ、どこに嫁いでも私はお嬢様に着いていきますよ。」
「嫁ぐ前提で話を進めないでよ。もしかするとお父様が事業に失敗して没落する話かもしれないじゃない。」
「没落でしたら周りがもっと慌ててますよ。…はい、準備が終わりました。では、行ってらっしゃいませ。」
「一緒に来てくれないの?」
「私は仕事がありますので。」
「あなたは侍女なのだから着いてきなさいよ。」
「着いてきて欲しいのでしたら、もっと部屋を綺麗に使ってください。それに、部屋の外で屋敷の護衛がずっと待っておられるので、一緒に行ってください。」
「何時からいるのよ。」
「お嬢様が叫び始める少し前ですかね。」
「だったらもっと早く言いなさいよ!!!」
エリーゼは父が待つ執務室へ駆け出すのであった…
短編のつもりが連載になってしまった…
ゆるゆる更新していきます。