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3.アドミラ・チェレーブロという狂人

颯爽と受付までやって来たのは、女優のような装いの女性だった。


つばひろの帽子から覗く青い瞳。

うっすらと汗ばんだ額をハンカチで拭う。その腕は、日の光を知らないかのように真っ白で。


「……ぁ」


俺は言葉を失った。

清楚ここに極まれり。まさに体現している。

そして清楚の概念を打ち砕く、たわわな実り。


ああ、最高だ。


何が最高って、ハレンチに感じないのがいい!

誰かを誘惑するような、エロい服じゃないのがいいんだなあ。

あのウサ耳シェリスとは違ってな!


チラリとソファに目を向けると、シェリスはこの女性に釘付けだった。

うんうん。分かるぞ。お前とは違って、陽の側の住人だからな、

お前はどっちかって言うと陰の側。まあ、それが悪いわけではないけども。

人間誰しも、光を求めてしまうじゃない。

実りを求めてしまうじゃない。


「あのぉ」


「……サトウジュンイチ!ジュンと呼んでください!王に召喚されし伝説の勇者で、なんと独身!訳あって今は、このギルドのバイトリーダーです!よろしくお願いします!」


「はあい。私はアドミラ・チェレーブロですぅ。よろしくねジュンさん」


「ジュンでいいですよー。僕はアドミラって――」


「それよりもぉ!私、冒険者になれますぅ?」


「……うんなれるよー!」


冒険者登録証を取り出し、受付に叩きつけた。

余裕だなこの仕事。


あっ!とその前に。

ちゃんと()調()()()をしないとな。


「登録にあたって、少し調べる必要があるんだけど――」


「ジューンちゃん!それ、私に任せてくれるぴょん?」


しゃしゃり出てきたのは、シェリスだった。


「え?いや、これはギルド職員の――」


「ジューンちゃーん?いいよね?ぴょん」


ええ?すげぇ圧。

なんでや!なんでアンタがしゃしゃるんだ!

意味が……はっ!


「アドミラちゃん?帽子を取るぴょんね」


「はぁい」


ファサッとなびく髪は、瞳と同じ青だった。

肩にかかるぐらいの長さで、耳にかけるとまた違った表情が見れて最高!なんだけどさ……。


「はあ。すごく可愛いねアドミラたん。こっち見て私の目を見てぴょん。はあ、はあ」


「はぁい。ねえ、お姉さんどうしたの?ハアハアしてるう」


「シェリスって呼んでぴょん。はあ、はあ」


コイツは完全に女好きだ。

顔を赤らめて、はあはあ言いながら、人の髪をなぞる真性の変態だ。


これ止めるべきか?

いやでも、これはこれで見たい。

そうだろ?息子。うん、息子も頷いてらあ。


「それじゃアドミラたん?危ない物持ってないか調べるぴょん」


「はっ。ええ?胸まで触るんですう?」


「はあ、はあ。これが凶器な……凶悪な毒を仕込んでる可能性も捨てきれないぴょん」


……こ、これは見てていいんだろうか。

ちょっと、アレだな。

刺激が強すぎて、ノーハンドでフィニッシュを迎えそうなんですけど。


「そ、それじゃアドミラたん?スカートの中、見させてもらうね?はあ、はあ」


「ええ?それは恥ずかしいですぅ」


「ああ、あのド変態の男に見られるのとどっちがいいの?ほら、私のほうがいいでしょう?同性なんだし、ぴょん。はあ、はあ」


なんでい!人をド変態だ?

おめえも大概でしょうがバカちんがあ!

トレードマークのぴょんも忘れてるしよ。

ハアハアって、興奮しすぎだろ。顔が火照りすぎて、目も潤んでらあ。


……ヤダ。それも可愛い。


ずっとこの光景を見てたいな。

日本なら確実に金が発生してたはず。

ありがたや異世界。最高だぜ主人公補正。


と思っていたら、アドミラが思いがけない行動を取った。


「うーん。ていっ!」


「ふげっ」


アドミラの掌底が、シェリスのみぞおちに深くめり込んだのだ。


「っっっひぃ、っっっっひぃ」


「だ、大丈夫かシェリス」


「ひぃっ!ひぃっ!だ、だぁぁいじゃぉぶ」


いや大丈夫ではないのは明白だ。

アレは、一時的に呼吸できないやつだ。

可哀想に。


うずくまるシェリスを見ても、表情ひとつ変えないアドミラ。

そう、ニコニコ笑ったままなのだ。


「ひぃ、はあ、はあ。アドミラたん?ど、どうしたぴょん?」


シェリスは掌底を受けたことにより、自身のキャラという自我を思い出したようだ。


「はぁいどうぞ」


ファサッ――。


「……ア、アド、アドミラたんの、中に」


一瞬だけ、本当に一瞬だが間違いなく見た。

ファサッっとスカートの裾を持ち上げて、うずくまるシェリスを食べる前に、俺は脳に焼き付けた。


彼女のパンティーは水色だった。


「はぁいどうぞ。シェリスは変態ですねぇ」


「ええ?い、いや違うのよ。これは、そのギルドの……」


「うんうん。そうねぇ。はい終わりぃ」


ファサッ――。


あっ、また……。

ありがとうアドミラさん。

そして勇気ある行動をしてくれたシェリス、君を讃える。

俺は思わず拍手をしてしまった。


パチパチ――。


本当に見事だ。

今後死ぬまで、オカズに困ることはないだろう。


「ジュンさん?シェリスさんて冒険者さんですかぇ?」


「あ、はいそうです。コイツは冒険者。俺はギルド職員です。したがって、俺がスカートの中を――」


「キモいんで黙っててくれますぅ?」


「ぇぇえ」


辛辣すぎる一言で、俺は撃沈した。

なぜシェリスはよくて、俺はだめなのか。

まさかアドミラも、そちら側の人間なのか!?


「シェリスちゃん?可愛いからさっきのは許すけどぉ、今度からは、無理やりはダメだよぁ?分かったひとー?」


「はーい!無理やりじゃなかったらいいぴょん?」


「うんいいよぉ。それと、ぴょんは可愛いから続けてねぇ?」


「はーいぴょん」


「よーしよし」


なんて奴だ。

あの、恐ろしい女シェリスを手懐けただと!?

見かけはぼんやりしてる、常識も知らなそうな女だが、やりおる。


そしてなぜ俺はキモイと言われたのか。

なんかしたっけ?いやしてないぞ。

まだなにもしてないのに……ああ。


顔ですか。はいそうですかぁぁぁぁぁ。


「ジュンさん?」


「はい喜んで!」


「この辺にお茶できるところはありますかぁ?」


「お茶?はっ、まさか俺を――」


「違いますよぉ?シェリスちゃんと行くんですぅ」


ちぇぇぇぇっっっっっ!

女同士でイチャコラですか?ここに童貞が一匹余ってますよぉおおおお!

興味もないっすか。はいはいそうですか。

お茶できるところ?適当に答えてやるか。


「お茶っすか。その辺に草が草生えてるんでそれをすりつぶして飲んでください苦い場合は近くに肥溜めがあるんでその真横で飲んでください。ういっす以上サイナラ」


「……早口なのにすごぉぉい」


「すごぉぉい。ういっすどうもさいなぁぁぁら」


「うーむ、なんだか怒ってますねぇ。でもありがとうございましたぁ。また来ますねぇ」


ガラガラ――。


「もう来なくていいぞー。俺の顔はキモいからなあ!死ねっ!」


このぐらいの文句は言わせてくれ。


確かに俺はキモかったかもしれん。

もしもあの場で、黄金の右手を発動していたならば、キモい!

だがしかし!

激エロゆりシーンを目撃して、息子起き上がるのは罪なのか!?

俺に非があると!?ただの生理現象なんだよ!


終わってるよまったく。

キモイと言われて、傷つかない人類がいるわけ無いだろう。

俺は傷ついてるよ。息子はどうだい?

ああそうか。むしろ最高ってか。


……はあ。キモッ。


キレ散らかし、自虐していたら、ドタドタと走る音がして乱暴に扉が開け放たれた。


ガラガラッ――。


「お願い、助けてぴょん!」


「シェリス?なんだよ、二人で貝あ――」


「マジでやろうとしてるぴょん!」


シェリスの異常な剣幕に、俺もふざけるのを止めた。


「どゆこと?」


「そのへんの雑草を摘み始めてるぴょん!これを飲むんですぅって!」


「……いやアレは、冗談ていうか。普通に分かるでしょ」


「分かるけど、あの子には通じてないぴょん!」


「あそ。で?」


「ネタバラシしてぴょん!」


「はあ?なんで?イチャコラする仲なんだから、シェリスが説得しろよ。俺はヤだね」


「……くっ」


はーん。

分かったぞ?

俺ひとりを悪者にして、アドミラとの距離をもっと縮めようって魂胆だな?

だが俺には、な~んにもメリットがねえや。


やる気が起きまへんなあ。


「あー。やる気がねえや。鼻くそでもほじっとこー」


鼻くそを丸めてピンッ!

ちょーどシェリスの前に落下したわ。


いやーヒヤヒヤするね。

あの怪力で、タマごともぎられてケツの穴にぶち込まれるかもと思うと、ヒヤヒヤするねー。


どうせできねえんだろ?

少なくとも今はよお!?


ピンッ――。


「分かった。望みは?」


「ヤラせてください」


「お前を殺す。それからアドミラを拐って調教するって手もあるぴょん」


「……尻尾!尻尾もふもふ」


「お前、尻尾が弱いって知ってて言ってるぴょん?」


「弱いって……まさか!ソッチの意味?マジで?じゃあなおさらお願いします!」


「だからこそダメなんだよ!早くしろって、アドミラが雑草汁を飲むかもしれない」


んだよ。コイツわがままだなあ。

でも殺されたくもないし。

あー、いいや。アレができればいいや。


「じゃあオカズにします。めちゃくちゃオカズにして二次利用も三次利用もして、無限に利用し続けます!これ以上は譲れません!」


「……ちっ」


そんな目で見られても怖くないもんねー。

むしろそれすらもオカズにしてやるわボケ!

俺そっちのけでイチャコラした罰じゃい!


「分かった。一生マスかいてろ童貞」


「は、はあ?童貞ちゃうし」


こうして、オカズにする許可を得ることに成功した。

それと同時に、大切な何かを失った気がした。

童貞を看破され、微妙に傷つき、アドミラに冗談だと伝えたら、もっと嫌われ……。


本当にクソだわ!


俺は主人公だぞ、ヒロイン寄越さんかいッ!


ガラガッシャーーン!


「は?」


扉が開いたと思ったら、枠から外れて倒れただけだった。

まあ見事な風邪通しで。


「も、申し訳ない。ち、力加減が下手なものでな。えーと、冒険者登録――」


「いらっしゃいませい!」


とうとうヒロイン登場か。

あざっす神!

最後までお読みいただき、ありがとうごさいます。

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お手数だとは思いますが、よろしくお願いします!


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