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陰キャな僕は義妹を寝取ることに決めた。  作者: リンゴと蜂ミッツ
第1章 陰キャな兄とギャルな妹
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第2話 スカート短くないか?

 カレー大好き『リンゴと蜂ミッツ』と申します。いつも読んでくださっている方は、大変ありがとうございます。

 10万字を目指して(完結目指して)頑張ります。モチベーション維持のために感想を頂けると大変嬉しいです。

 帰りの電車の中で妹にしれっとメッセージを送ってみようかと考えてみたけど、結局はスマホの画面とにらめっこをしたままだった。


 おぼつかない足取りで帰宅する。両親は共働きのため家には僕1人だ。

 モヤモヤする気持ちを抱えたまま、2階の自室と1階のリビングの間を何度も往復した。


 夕方をとっくに過ぎて、外は段々と暗くなってきたというのに妹は一向に帰ってこない。

 そんなに遅い時間ではないけれど、陽が落ちて女の子が1人で外を歩くのは兄として心配である。もちろんシスコンだと思われたくないので、妹の前では心配しているところを絶対に見せたりしない。


「遅すぎる‥‥‥」


 何も手につかない僕は、気を紛らわすためにリビングのソファーに座ってテレビをつけた。

 ニュース番組をぼーっと眺めながら、妹と一緒にいた男子生徒のことを考えていた。


 高身長でブレザーがよく似合っていたし、超絶美少女である妹の隣に立っていてもまったく引けを取っていなかった。同じ学年なんだろうか‥‥‥。

 兄として認めたくはないけれど、あれはお似合いのカップルだ。


 ―――もし付き合っているんなら、どうして僕には報告がないんだろう? 


 まだ付き合ってなくて、その直前の関係とか‥‥‥ただのクラスメイトという線も捨てきれない。カラオケ店で他の同級生たちと合流した可能性だってある。きっと2人っきりなんかじゃなかったんだ‥‥‥兄としてそう思いたい。


 頭の中がとりとめのない考えで一杯になった頃、僕のスマホから短い通知音が聞こえた。

 妹からのメッセージだと思った僕は、画面を確認して大きな溜息を吐いた。


 送信者は母さんで、『冷蔵庫にカレーがあるから温めて食べて。(れん)に送ったけど既読が付かないの。早くお風呂に入りなさいって言っといて』と、仕事で帰りが遅くなる時のいつもの連絡だった。


 再婚同士の両親は基本、仕事人間だ。

 そのことが離婚の一因になったとか、そういう込み入った話が聞こえてこなかった訳じゃない。

 両親はもともと自分たちの仕事にプライドを持っていた。だからといって今の家庭を全く顧みないということもない。

 

 父さんと母さんは再婚して手に入れた今の家庭を守るため、子供たちのためにと一生懸命仕事をしてくれている。

 そんな背中を見て育った僕と妹は、寂しがったり、駄々をこねたり、今までそういう子供らしいことはしてこなかった。両親がいないことで生まれる様々な問題は兄妹2人で解決してきたんだ。だから彼氏ができたのなら、やっぱり一番に報告して欲しかった。


 時計を見ると7時をとっくに回っていた。

 自宅から最寄り駅まで歩いて15分程。そんなに都会じゃないので、途中にはひと気がない場所を通る必要がある。

 

 いても立ってもいられない僕はソファーから腰を上げ、「アイスでも買いに行くか」と言い訳のような言葉を呟いて制服のまま靴を履いた。


 外に出ると日は沈んでいて辺りはほぼ真っ暗になっていた。

 それでも遅い時間帯ではないので、駅方向から帰宅してくる人たちとすれ違いながら妹の姿を探して歩いた。


 そして自宅と駅の中間地点にある児童公園の前を通りかかった時、薄闇の中ブランコに座っている人影を認めた。


「こんなところに‥‥‥」


 妹だと直感した。

 ここは小学生の頃、兄妹でよく遊んだ場所の1つだった。ゆっくり近づくと、下を向いていた人影がこっちを向く。


「‥‥‥兄貴」


 公園内のぼんやりとした外灯の光に照らされた妹の顔は、どこか沈んでいるように見えて思い詰めた様子が窺えた。


「遅いじゃないか」


「‥‥‥‥‥‥」


「何かあったのか」


「別に、ない」


「じゃあ、こんな所で何してるんだよ」


「ちょっと考え事。兄貴の方こそどうしたんだよ」


「僕は‥‥‥ちょっとアイスを買いに駅前まで」


「クーリッ〇ュのバニラ」


 現金な妹の言葉に少しだけ安心した。


「一緒に買いに行くか?」


 近くのコンビニは駅前だ。妹からすれば引き返すことになる。だけど1人で帰らせたくはなかった。


「戻るの面倒くさい。1人で帰る」


 妹は見るからに不貞腐れた態度をとった。それでも可愛い。

 整った顔に薄く化粧をしている。そのせいで年下の妹は僕より大人っぽく見えた。


 普通、妹の容姿を「可愛い」と表現する兄は少数なのかもしれない。

 だけど、そう思ってしまうのは、僕ら兄妹の間に血の繋がりがないから‥‥‥。


 1つ年下の彼女と初めて出会ったのは、僕が小学5年生の時だった。

 きっかけは父さんの再婚。今の母さんの連れ子だった彼女は、義妹ということになる。

 

 出会った頃とは違って、今の性格は僕と正反対。容姿はパッとしない見た目の兄と比較にならないレベルで優れていた。

 高校生になった今では陰キャな兄とギャルな妹というところ。


 家族の成り立ちを知らない人は僕たち兄妹を見て、「あんまり似てないね」って口をそろえて言う。

 親の再婚後、実の兄妹みたいにはいかないけれど、それなりに仲良くやってきたつもりだった。


「じゃあ、僕も帰るかな」


「なんで? アイス買いに行くんじゃないのかよ」


 暗い夜道は危険なんだ。こういう時、少しは兄の気持ちを察して欲しいと思う。


「よく考えたら財布を忘れてた」


「ほら、これ」

 

 僕がポケットを探る仕草をすると、ブランコから立ち上がった妹は自分の財布を取り出した。


「いや、その‥‥‥あれっ!? スマホがない! 家に忘れたのかも。やっぱり帰るよ」


「ふ~ん」


 訝しんだ表情の妹。自分のスマホを取り出してジト目を向けてくる。そして画面をタップしようとした。―――僕の手が咄嗟に伸びる。


「や、止めろよ」


「うわぁ!? 兄貴がキモイ!」


 妹がひょいと身を躱し、僕の手は空を切った。


(れん)、やめろって」


「なに焦ってんだよ、兄貴」


「焦ってないから―――ほらスマホはいいから」


 スマホを掴んだ妹の手が後ろの方へ流れた。焦った僕は両手を前に伸ばして体を強引に寄せ―――結果、妹に抱き着くような格好になってしまう。


「―――ひゃぁ!?」


「うぁあああ~~~! ご、ゴメン!」


 妹の短い悲鳴が公園内に響き渡った。

 それを聞いた僕は慌てて距離を取る。今の状況を他の誰かに見られていたら、確実に痴漢と間違われていただろう。

 

 それにしても、なんなんだ!? 妹の反応が過剰すぎる。小学生の頃は妹のほうからじゃれついてきて、これぐらいの接触はよくあったのに‥‥‥。


「ちょ、わかったから。私もコンビニ行くって。ほんと兄貴はシスコンだな」


「し、シスコン!? ち、違うぞ! ぼ、僕は別に‥‥‥」


「私もう高校生だから。あんま心配すんなって」


 僕は昔から極度の人見知りだった。

 出会った頃の妹も大人しい性格だったように思う。 

 それでも兄妹として打ち解け合うことができたのは、不思議だ。

 

 中学の途中までは、「お兄ちゃん」って呼ばれていて―――妹はいつも後ろをついてきた。それが気がつくと、「兄貴」って呼ばれるようになって‥‥‥。


「べ、別に心配してない。ただ遅くなった理由は気になる」


 キモイ兄だと思われるだろう。

 だけどモヤモヤする気持ちを晴らしたい一心で思いきって核心部分に切り込んだ。

 

 と、ここで僕たちの前を、帰宅中と思われるスーツ姿の中年男性が足早に通り過ぎた。

 児童公園の中を通ることでショートカットができるんだろう。こちらにチラリと視線を寄こして、微笑ましいものを見た、という感じの表情を浮かべた。


 ―――いえ、誤解です。僕たちは青春を謳歌するカップルではありません。ただの兄妹です


 一応、心の中で訂正した。

 家路を急ぐサラリーマンの背中が見えなくなると、妹が口を開いた。


「麻莉奈の家でゲームしてた」


 感情の読み取れない平坦(フラット)な言い方だった。

 妹が言った名前の人物なら僕もよく知っていた。長谷川麻莉奈(はせがわまりな)は、僕たち兄妹と同じ高校に通う1年生で、妹の小学校からの友達だ。


 でも、妹が言った内容には明らかな嘘があり‥‥‥ゲームをして遊んでいたんなら、さっき見せた思い詰めた様子とはどうしてもイコールで結べない。


「遅くなるんなら連絡くらいしろ。母さん既読が付かないって心配してたぞ」


「‥‥‥ごめん」


 妹の言ったことを嘘だと指摘すれば、放課後のシスコン兄の行動(ストーカー行為)がバレてしまう。だから兄っぽい理由を告げることしかできなかった。

 元気なく肩を落とす妹は、小さな声で謝った。


「母さんに返信したら一緒に買いに行こう」


「‥‥‥わかった。なんかムカつくから兄貴のおごりな」


「いや、なんで僕が―――!?」


「じゃあ、帰る」


「わ、わかったよ。財布がないんだ、立て替えてくれ」


 僕たち兄妹は公園を出て、家とは反対方向へと歩き出した。そして兄としてどうしても気になっていたもう1つの事に触れる。


(れん)、えっと~、なんというか‥‥‥スカート短くないか?」


「―――キモイ! 妹のどこ見てんだよ兄貴!」


「み、みみ、見て、ないし! 違うんだ! 聞いてくれ―――」


「うぁ~変態アニキだ。妹の生足に興奮してんのか!?」


「言い方!! 妹だからって言い過ぎだぞ! や、やめろ!」


 なんだかんだで、妹の機嫌が元に戻った。口の端を持ち上げてニッっと笑う僕を揶揄う時の小悪魔的な表情も可愛い。

 

 兄に嘘をついた妹。そういう年頃なんだと言われれば、それまでのことだ。もしかしたら、嘘をつかなければいけなかったそれなりの理由があるのかも知れない。

 でも、元気を取り戻した妹を見ていたら何も聞けなくなってしまった。

 読んで頂きありがとうございました。

 平日は最低でも2話以上(毎日が理想(無理です))の更新ができるようにと考えています。

 もしよかったらリンゴと蜂ミッツを推してくださいね。ブクマ、評価をよろしくお願いします。


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