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陰キャな僕は義妹を寝取ることに決めた。  作者: リンゴと蜂ミッツ
第1章 陰キャな兄とギャルな妹
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第11話 魔王の過去は

 カレー大好き『リンゴと蜂ミッツ』と申します。いつも読んでくださっている方は、大変ありがとうございます。

 10万字を目指して(完結目指して)頑張ります。モチベーション維持のために感想を頂けると大変嬉しいです。

「―――気になる人がいる!? 本当にそう言ったのか」


 陰キャ仲間の宗助(そうすけ)は、腕組みをしたまま右手の指先で鼻を触った。

 ぽっちゃりした体型なんだけど、なんていうのか今日の宗助は雰囲気だけがイケメンだ。


「意味深ね。普通に考えたら気になる相手は王子様のことだけど」


 そう言ったのは宗助の()()()()()である満月(まんげつ)さん。僕の話を聞くために昼休みの貴重な時間を割いてくれていた。


「妹は真剣だった」


「美音、計画を早めるか」


 週が明けた月曜日。僕たちが今いる場所は、北校舎の端にあるいつもの退避場所(非常階段の踊り場)だった。

 教室から遠いこの場所に放課後以外で近づく生徒はほとんどいない。昼休みの時間で人目を気にせず相談するにはもってこいの場所だ。


「‥‥‥そうね。でもその前に新しくわかったことを共有するわ」


 背筋をピンと伸ばして足を揃えたモデル立ちの満月さんが、僕と宗助の顔を交互に見た。


「王子様―――武波陽太の中学時代の話になるけれど、彼相当荒れてたみたいね。同じ中学出身者からの確かな情報よ。もともと剣道で鍛えていたから喧嘩も強かったって。どこで更生したのかはわからないけど、今の王子様と呼ばれている彼からは想像もできないわ」


 満月さんによってもたらされた新情報は、僕にとってあまり良い話じゃなかった。

 魔王―――武波という男子の印象は最悪だ。けれど可愛い僕の妹がその笑顔を向けている男子でもある。

 だから兄としては心のどこかで彼のことを信じたいという気持ちも少なからずあったんだ。

 荒んでいた過去の話を聞いてしまえば、僕が感じた彼の悪い部分を裏付けてしまう。


「人は成長するし、前にも進む。変わったのかもしれないぜ」


「人には表の顔と、裏の顔があるわ」


 二枚目キャラを怪演している宗助の言ったことを否定する気はない。

 でも魔王とオートバイ男子の会話を直接聞いた僕は、満月さんの発言に絶対的な説得力があるように思えた。

  

「僕は信用できない。ほかに何かわかったらすぐに教えてほしい。それから色々ありがとう」

 

 魔王の過去の話を聞いてから、言いようのない不安がこみ上げていた。

 協力してくれる2人へ頭を下げる。

 頭を上げると正面の2人は顔を見合わせていた。そしてこっちへ向き直ると2人でサムズアップで応えてくれた。


「陰キャのくせに水くさいぜ」


「計画を次の段階へ移行するわ」


 こんな僕にも頼れる仲間がいる。

 満月さんという得体の知れない情報網を形成する頭脳(ブレーン)も味方だ。

 楽観はできないけれど、それでも何とかなりそうな気がしてきた。

 昼休みを利用した作戦会議の終わりに、満月さんから小さな紙袋を渡された。



 図書委員の活動を終えて帰宅すると、2階から妹が下りてきた。


「ただいま」


「遅くない?」


「図書委員‥‥‥」


「嘘。今日ない日じゃん」


 確かに今日は当番日ではなかった。

 帰り際になって急に代打を頼まれた。

 いつも不思議に思うのは、妹が図書委員の活動日程を把握していること‥‥‥。


「用事があるからって頼まれたんだよ」


「ふ~ん、ま、いいけど。で、井上さんとは話したん」


「井上さん‥‥‥? あっ、同じクラスの井上さん‥‥‥別になにも」


「あやしい」


 ジト目を向けられても困る。井上さんとは彼女のバイト先でたまたま顔を合せただけで、新しいクラスになって1度も話したことがなかった間柄だ。いきなり仲良くなる訳がない。

 井上さんの方から話しかけられるということはなく、今日もいつもと変わらず教室ではボッチで過ごしていた。


「お父さんとお母さん2人とも遅いって。たまには私が作るから、兄貴は先にお風呂入って」


 妹の様子に変わったところはなかった。

 朝は友達の長谷川さんと一緒に登校していたし、放課後は真っ直ぐに帰宅したみたいだ。


 「じゃあ、そうするか」

 

 僕が答えるといつもの部屋着に着替えていた妹は、その上からエプロンを着けてキッチンに立った。

 しばらくしたらキッチンの方から楽しそうな鼻歌が聞こえてきた。

 

 2階の自室で着替えの準備をする。

 と、今日の昼休みに満月さんから渡された小さな紙袋が目に止まった。


 念のためにドアを開け廊下に妹の姿がないことを確認してから中身の小瓶を取り出す。

 その小瓶をしげしげと眺めながら昼休みのやり取りを思い返すと大きな溜息が漏れた。


「―――それじゃあ『寝取り計画』の第3段階よ」


「えっ、第2段階は?」


「すでに実行しているわ。第1段階は現状の自分を知ること。第2段階は百崎くんの魅力を高めるために外見を整えること。妹さんと服を買いに行ったんなら、あとは髪型ね。それと毎日の筋トレメニューを渡すから、サボらないように」


「わかった‥‥‥じゃあ、計画の3段階っていうのは?」


「性フェロモン分泌作戦」


「せいふぇろ、もん!? 分、泌‥‥‥!?」


「イントネーションがおかしいけれど、まあいいわ。今夜からこれを使いなさい」


 そう言って満月さんから渡された紙袋の中身は、透明な小瓶に入った香水だった―――。

 読んで頂きありがとうございました。

 平日は最低でも2話以上(毎日が理想(無理です))の更新ができるようにと考えています。

 もしよかったらリンゴと蜂ミッツを推してくださいね。ブクマ、評価をよろしくお願いします。


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