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陰キャな僕は義妹を寝取ることに決めた。  作者: リンゴと蜂ミッツ
第1章 陰キャな兄とギャルな妹
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第9話 内緒のデート!? 

 カレー大好き『リンゴと蜂ミッツ』と申します。いつも読んでくださっている方は、大変ありがとうございます。

 10万字を目指して(完結目指して)頑張ります。モチベーション維持のために感想を頂けると大変嬉しいです。

 朝起きると妹は1人で先に家を出ていた。

 今日は隣町にある大型ショッピングモールへ一緒に買い物へ行く約束をしている。

 スマホを確認してみると待ち合わせの時間と場所を知らせるメッセージが届いていた。


「あら? 郁人も出掛けるの」


「う、うん。ちょっと買い物」


 歯を磨いていると洗濯物を抱えて脱衣所に入ってきた母さんが訊いてきた。

 べつに含みのある言い方ではなかった。それでも心臓が小さく跳ねる。


(れん)はデートかしらね」


「な、なんで」


「だって珍しいじゃない。朝早く起きたと思ったらあんなに準備に時間をかけて―――あれは絶対に男よ」


 確信めいた言い方をする母さん。

 残念ながら今日の相手は僕なんだ。

 バリバリのキャリアウーマンで仕事は出来るみたいだけど、推理力は低い。それにしても娘に彼氏ができたとして、親として心配にはならないのだろうか? なんなら少し嬉しそうに見える。


 両親は僕ら兄妹が一緒に買い物へ行くことを知らない。

 今日のことは別に隠している訳ではないし、そんな理由もない。

 ただ伝えるタイミングがなかったというか、そもそもそういう話の流れにならなかっただけのこと。

 

 さっきの母さんの発言からわかるとおり、妹は今日の予定を伝えないまま外出したみたいだ。

 だから僕も、あえて母さんに伝えず家を出た。

 

 

 妹から指定された場所はベンチが並ぶ最寄り駅の広場だった。

 待ち合わせ時間より少し早めに到着し、空いているベンチに腰を下ろす。

 座った勢いのままに背もたれに体を預けて空を見上げれば、気持ちのいい青空が広がっていた。

 

 ―――2人で出掛けるのは久しぶりだな‥‥‥

  

 一緒に登校しなくなった頃から、私生活でも2人だけで出掛ける機会はだんだんと減っていった。

 最近は家族みんなで出掛けることはあっても、兄妹2人だけでどこかへ行くということは全くなかった。


 約束の時間を過ぎても妹は姿を現さなかった。

 スマホの画面を確認しても新しい通知はなし。

 少し待てばやってくるだろうと思い、駅前通りを行き交う人や車の流れをぼーっと眺めていた。

 

 しばらくして駅に向かって歩いてくるまん丸いレンズのサングラスを掛けた綺麗な女性が目に止まった。

 その女性は黒いぴちっとしたシャツの上に裾が長い水色のカーディガンを羽織って、下はダボっとした真っ白いズボンを履いていた。

 

 いつも着古した服でお洒落には無縁の僕でもセンスの良さが窺える。

 颯爽と歩く姿はファッションモデルみたいで、男女問わずすれ違った多くの人が二度見する程だ。


 駅舎を目指しているのか、どんどんとこっちに近づいてくる。

 と、サングラス越しに目が合った気がした。

 慌てて視線を外す。


 ―――やばい、ガン見しすぎた。キモがられているんだろうな‥‥‥


 不躾な態度を反省していると座っているベンチの前に影が落ちた。


「‥‥‥!?」


 誰かの気配と鼻をくすぐる花のよう(フローラル)ないい香り。思わず顔を上げると、そこにはついさっきまで見ていたサングラスのお洒落な女性が立っていた。

 まさか、「ジロジロ見てた」なんて苦情でも言われるんだろうか? 少し身構える。


「お待たせ」 


 新手の詐欺とか美人局的な!? まったく良い事が浮かんでこなかった。こういう時は下手に反応するとマズいんだ。

 

「‥‥‥‥‥‥」

 

 明後日の方を向いて何も聞こえなかったふりをした。

 目の前の女性が一歩詰め寄る。


「おい! 無視すんな」


「えっ‥‥‥!? れ、(れん)なのか?」


 聞きなれた声だった。

 もう一度正面に立つ女性の顔を見れば確かに妹で―――でも普段のギャルな見た目は完全に影を潜め、一目では誰だかわからないくらいに変貌を遂げていた。

 

「そだよ。兄貴、感想は?」


 目の前に立っていたのは清楚系で年上の綺麗なお姉さんといったところ。

 驚いた僕を見て楽しそうにくるりと回転してみせ、羽織っている水色のカーディガン―――後でロングカーディガンと教えてもらったんだけど、その長い裾がひらりと舞って、その瞬間、思わず見惚れてしまった。

 

「どう、可愛い?」 


「すごく綺麗だ」


「‥‥‥‥‥‥」


 自然と漏れ出た言葉にハッとした。

 それは1つしか年の違わない妹に聞かせるには、あまりにも恥ずかしいセリフで‥‥‥。

 陰キャな僕の言い方も相当キモかったに違いない。

 現に妹はサングラス越しでもわかるくらいに顔を真っ赤にしてプルプルと体を震わせていた。


「いや、その‥‥‥服が、な」


「―――言い直すな!」


 機嫌を損ねた妹は僕をベンチに置き去りにしたまま駅舎の方へすたすたと歩きだした。



 隣町の大型ショッピングモールへ到着。

 その頃には、なんとか妹の機嫌は直っていた。

 

 電車の中で、交渉人(ネゴシエーター)となった僕は、ランチを奢ることに加えゲーセン代を全額負担することに同意させられた。

 妹が機嫌を損ねると後々厄介なんだ。だから彼女の機嫌と引き換えなら安いもの。僕はプロの交渉。不当な要求を飲まされたなんてことは絶対に、ない。


 妹の足取りは軽やかだった。

 その後を追いかけて服や小物が売っているショップをはしごする。

 前を歩く彼女はヒールのあるサンダルを履いていて、目の位置が僕とあまり違わない。モデルみたいな装いで一緒に歩いていると引け目を感じてしまう。

 

 気づいたらやたらと周りの視線を集めていた。そういえば行きの電車の中でもじろじろ見られていたし、だから身内のフィルター越しであったとしても僕の感覚は間違っていない。

 

 ―――今日の妹はもの凄く綺麗で、超絶に可愛い!


「兄貴どした?」


「な、なんでもない」


 見惚れてたなんて言えるわけがない。兄としては完全に失格だ。妹に向ける眼差しとしては歪すぎる。

 寝取ると決意したはずなのに、兄妹であるという事実が大きくのしかかる。


「こんどはあれとこれ―――あと、それも。ほら試着室」

 

 兄の葛藤をよそに妹はいつになく楽しそうだった。

 

「わ、わかったから‥‥‥ちょっと休憩しませんか?」


 普段から着るものに関心がないので初めて入る店の雰囲気にのまれて疲れてしまった。

 小休止を申し出るとぴしゃりと叱られる。


「服選び舐めんな!」


 背中を強引に押されて試着室に放り込まれた。

 もはや妹の着せ替え人形だった。

 

 彼女が選んだ服におずおずと袖を通すと、タイミングよくカーテンの隙間からスマホが差し入れられ、何枚も写真を撮られる。


「と、撮りすぎじゃないか‥‥‥」


「―――う、うっさい。減るもんじゃないし。今後の参考! 大人しく撮らせろ」


 同じ屋の下で暮らす見飽きたはずの陰キャ。そんな兄の写真をいくら撮ってもストレージを圧迫するだけで‥‥‥もしかしたらSNSでさらされるのでは!? 最近の妹はどこかおかしい。


 そんなこんなで午前中の内に、妹いわく「清潔感があって無難な服」とやらを何着か選んで購入できた。

 そして、混雑を避けるために早めのランチへ―――。


 

 飲食店が並ぶフロアに向かって歩いていると、僕ら兄妹と同年代に見えるカップルの多さに驚いた。皆一様に手を繋いだり腕を組んだりしてデートを楽しんでいる。


 ―――みんな彼女や彼氏がいるんだな‥‥‥


 そんなことを思っていたら、隣を歩いていた妹の腕が僕の腕に絡みついてきた。


(れん)さん?」


「なん」


「何って‥‥‥」


 何事もないように平然とした態度の妹。

 だから絡みつかれた片腕を持ち上げるようにしてアピールしてみれば‥‥‥自分の肘がとても柔らかな感触を捉えてしまう。


「‥‥‥う、ん!?」


 確かめるようにもう一度肘を動かすと感情の読み取れない声で妹がポツリと零した。


「エッチ」


「うぉお―――!」


 咄嗟に体を捩って腕を振りほどこうとした。

 それなのに妹が逃がさないとばかりにしがみつく。


「ふ、不可抗力なんだ。離れてくれ」


「イヤ」


「嫌じゃな! 頼むから離れてくれ」


「なんで? 兄妹なんだから別にいいじゃん」


 密着された片腕はあれよあれよという間に柔らかいものの間に完全に挟まってしまった。

 最近の妹はこういう際どい場面になると免罪符のよにやたらと兄妹を主張する。

 

 兄妹だからダメなことがある訳で‥‥‥。

 それに僕たちは血の繋がらない義理の兄妹なんだ。保たなくてはいけない適切な距離ってものがある。


 妹のおすすめの店ということでハンバーグ専門店を目指していた。

 抵抗むなしく妹の腕は絡みついたまま。

 すれ違うカップルと同じように2人寄り添って歩くことになった。

 読んで頂きありがとうございました。

 平日は最低でも2話以上(毎日が理想(無理です))の更新ができるようにと考えています。

 もしよかったらリンゴと蜂ミッツを推してくださいね。ブクマ、評価をよろしくお願いします。


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