第二十三話 エッチなアンデッドとアウトローネクロマンサー 前編
『アンデッドって後天的にモデル体型にできるのっ!?』
『ショーの後に打ち上げエッチしまくりとかマジか!?』
『妊娠しない? 枕強姦プレイ嫌がらない? 日常的にお触り出来てエッチしまくり?』
『男向けだけかと思ったら女性向けもあるのね……え? 元親衛騎士のイケメン逆ハーレムも可能? しかも老化しない?』
『調達、製造、メンテナンス部門が人員不足か……職人にもモデルにも伝手を当たってみよう。魔術学園都市の死霊術科が窓口で良いのか?』
「いやぁ、助かった助かった。やっぱり持つべきものは横の繋がりだね。新入りと素材が豊作で、学園都市だけなら安定しそうだよ」
ファッションショー打ち上げ後の2次会に、レアルの店に来てスパークリングワインの輝きを眺める。
細かな泡が一筋昇り、テーブルキャンドルの灯りで薄く影付ける。グラスの中の陰影とテーブルの上の陰影と、意図的に暗めにした店内は夜の芸術を僕達に見せた。見ているだけで楽しめるのに、口に入れればシュワッ!と爽やかに香り駆け抜ける。
個人的に、普通のワインよりこちらの方が好き。
濃厚ゆえの重厚感は、料理と合わせると両手に華の幸せだ。しかし、僕は元々そんなに飲める方ではない。あくまで脇役でありアフターであり、軽めの後味にこそ魅力を感じる。
――――うん。だからね。
調達と貸し出しに関しては窓口になるけど、ファッション方面は他のメンバーに全部投げた。
「イゼンナちゃんは怒りながら喜んでたけど、どうしたの?」
「尊敬する職人さんに弟子入り出来たんだって。元々はファッションデザイナー崩れだったからねぇ。『服のデザインが過激すぎて誰も着てくれない』から死霊術師になったってくらい」
「外では見せられないのばっかりだよね。わざと乳輪透けさせたり、正面はエッチだけど後ろから見るとドスケベとか」
「ま、良いチャンスに巡り合えたってことかな。アンデッドのメンテナンスだけなら死霊術師でなくてもいいし、他のお弟子さんやお師匠さんが手伝ってくれれば――――うん? ファッション向けアンデッドの部門を、新しく作る必要が出てくる?」
「エッチなアンデッドと取り合いになりそうかな?」
「あらかじめ話して調整しないとだね」
グラスを置いて指を離し、隣の皿に手を伸ばす。
レーズン入りの薄切りスポンジケーキを1枚取って、ふわっ、じゅくっのあま~い食感。
スパークリングワインですっきりした舌に、干して濃縮されたブドウが乗って染みた。一噛みごとに果汁が広がり、甘さ控えめのスポンジと濃淡の変化を楽しませる。濃い甘みと淡い甘みが対比して、逆に際立たせ一品を逸品に引き上げ昇華。
時として、減算の思考も良いモノだ。
加算ばかりする僕には、絶対に真似できない。
「また忙しくなりそうだね」
「うん。ショーの打ち上げでボスと話したけど、死霊術科内で幾つかグループを作ることになりそう。僕が風俗、イゼンナが服飾、ドレトスが医療、アンゼルナが冒険業。情報共有が面倒になるのは、何とか避けたいけど無理だろうなぁ……」
「ドレトスは人見知り激しいし、アンゼルナちゃんなんて魔物討伐で普段いないしね。ギルドマスターはサラの方を頼ってくるんじゃない? アンゼルナちゃん、この前S級に昇格したから近隣都市にも派遣されるよ」
「鼻が高いんだか、たまにしか帰ってこないのを薄情とみるか」
「頑張ってるんだから応援してあげてよ。いっそ、サラも冒険者登録したらどう?」
2枚目のスポンジケーキを胃に収め、透明な爽やかさで舌と喉の感度を戻す。
クイッといくらでもいける所、飲み過ぎないよう意識してセーブをかける。今夜は既に結構飲んだ後で、帰れば元娼婦の淫魔術師3人が襲ってくる。きちんと避妊ができるよう、最低限の理性は残したい。
――――あれ? 僕、女の子と付き合うのが面倒だからエッチなアンデッドが欲しいんだよね?
なんでセフレ以上嫁未満と3人も同棲してるんだろ?
「…………それも良いかもね」
「お? 推薦状書く? サラの実力ならA級からかな? S級にもすぐ上がれるよね」
「使いたくないけどね、戦闘用のキメラタイラントスケルトン。あくまで護身用なんだよ? 対軍仕様だけど」
「私でも2体同時がやっとなのを、10体同時運用で護身用は無いよ? それだけの実力があって、なんで富も名声も求めずエッチなのかな? 前から思ってたけど、ちょっと歪んでるよね」
「『理性に行き詰まると本能に辿り着く』。僕の先生の言葉だよ。今も元気にアンデッド化レイプやってるのかな……?」
「アンデッド『化』……? 『化』って何……?」
「言葉通りの意味だよ。広義の意味ではパブリックエネミー」




