エピローグ
それから。
次の日の事情聴取で、警察に言われたことは、何とも驚くべきことだった。
碧を刺そうとした男。
それは、奈々など計5人を刺し殺した犯人だったのだ。
そして、その男は別に被害者たちになんの因縁や恨みがあるわけでもなく、殺人をして快楽を得たいだけだった。
それを聞いた碧は耳を疑った。
(姉さんが恨まれるようなことしたならまあともかく、ただ快楽を得るために殺されたなんて……ふざけんなっ!!姉さん……姉さん……会いたいよ……)
碧は怒りと悲しみで涙を流した。
事情聴取後、話を聞いた美琴に慰めの言葉をかけられながら、優のいる病院に向かった。
優は碧から聞いた話に怒りをあらわにした。
そして碧に無茶苦茶なことを言う。
「そいつのとこ、殴りこみに行こ!」
「バーカ。私たちが捕まるわ。第一、腹を怪我した奴が何言ってんのよ」
「もう元気だから! やばい回復力で、2週間後には退院できそーって言われたし」
「そうやって調子乗るから怪我しまくるんだっつーの!」
優と美琴のやり取りに、泣いていた碧はクスっと笑った。
約2週間後。
優が退院した。
高校とも話して、碧と優はしばらく2人で別で授業を受けることにした。
今回の事件でいじめが起きないようにするためと、入院によって優の勉強が遅れているため……という理由でだ。
「あーー! 勉強嫌だあーーーっ!!!」
優が叫びながら自転車で坂を下る。
「まあまあ。明日からその授業が行われるんだし、今日は日曜日。楽しいことしようよ」
そうなだめながら、碧も美琴の自転車に乗り、優の後に続く。
坂道を下ってすぐにキュッとブレーキをかけて前方を見ると、碧い海が広がっていた。
以前にも来た堤防だ。
2人は前の時と同じように『立ち入り禁止』の看板とチェーンをこっそりまたぎ、堤防の上に座る。
「ホントにここでよかったの? もっといろんなお店とかあるのに」
優が尋ねる。
「うん、ここでいい。ここがいい。ここは私にとって素敵な場所なの。悲しい思い出も大切なものになって、私の嫌な気持ちを浄化してくれるの」
「そっか」
「うん」
2人はしばらく黙った。
碧い碧い海は碧の怒りを鎮め、先が見えない地平線は、碧にとってこの先に奈々がいるのではと思えた。
ただただ沈黙が続き、波の「ザザーン」という音しか聞こえなかった。
碧にとってはそれがとても心地よかった。
数分後、優が切り出した。
「あーあ、もっと遠くに遊びに行きたいなあ。ここもいいけどさっ。そだ、結がいる東京に冬休みにでも行ってみよーよっ!」
(結か……2週間前にあの男の報道があった瞬間、すぐ連絡くれたもんなあ。あと遥おばさんも。……そういえば姉さんが殺されて私が自殺しようとしたときに助けてくれたのも結だったっけ……。あのとめてくれなかったら、優や美琴さんとも会えなかったもんなあ……)
「ねえちょっとー。聞いてますかー?」
碧が結の事を考えていると、優が話しかけてきた。
「なんか考え事?」
「……まあねっ! 私の周りには良い人が多くて良かったなーって!!」
そういって、碧はこれ以上ないくらいの満面の笑みで笑った。
「瑠璃色涙」はこれで完結となります。読んでくださった方々ありがとうございました!感想などを書いてくださると嬉しいです。
次の作品はまだ執筆途中のため、少しの間、投稿しない予定です……。ですが、次の作品も投稿したらぜひ読んでください<(_ _)>




