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白銀を駆る者1 "ボグダン大雄公"

作者: 水饅頭

 北天の守護神ドン・クルステン・ボグダン!……いや神なんぞを語るような詐欺師と一緒にしちゃあいけないな。我らが最も偉大な大雄公の本当の名前をお前さんは知っているか?


 いいや!お前さんのような若造が知ってるはずもなかろう!


 何せ先のマグダレナ王の母君セラフィナ王の、そのまた母君リューダ『王子王』のご健在であられた頃の話だからな!


 まぁ流石にそのころのボグダン大雄公はまだ分からず屋のガキに過ぎなかったんだがな。だが大雄公はそんなガキの頃から(えら)い目に遭ってきたという話だ。


 ボグダン大雄公は昔、ツェヴェリシュ・ハーヤという名前だった。……ボグダン大雄公には決して聞かれないようにな。これも知らないだろうが、大雄公は心底『ツェヴェリシュ』という名前を嫌っているからな。


 そのワケもガキの頃にある。


 ハーヤ少年はカガラ・ハーヤとかいう老いぼれた騎士に育てられたそうだ。なんでも、ハーヤ翁が遠縁で親のないツェヴェリシュという名の赤子を預けられたのだとか。

 魔軍との戦いで奥方を早くして亡くしたために、継子の居なかったハーヤ翁はハーヤ少年を養子としてたいそう可愛がったそうだ。

 だが寄る年波には敵わず、ハーヤ少年を自らの主、セレントゥル雄公サザラヤに託して死んじまった。


 新たな後見人となったセレントゥル雄公サザラヤ・セラトゥナ・ポロフツカヤは冷徹な主だった。

 ガキではないにせよ成人もしていないハーヤ少年に、一人前の騎士としての務めを果たすようを求めた。

 頼りにできたのはハーヤ翁ぐらいにしかおらず、貧しくもあったハーヤ家ではまともな騎士訓練など受けられていない。どだい、無理な話だった。


 だがサザラヤは、冷徹ではあれども残酷ではなかった。

 ハーヤ翁の葬儀を安上がりに済ませると、翁の遺産と未払いの俸禄、そしてセレントゥル雄公の名を以ってハーヤ少年をレヴォノン王立大学へと入学させた。……おそらくだが、ハーヤ翁の遺産だけじゃあ足りなかっただろうな。




 さて、既にとんだ(えら)い目に遭いながら幸運にも人の巡り合わせに救われてきたハーヤ少年だったが、今度はそうはいかなかった。


 レヴォノン王立大学は今でこそ、雄公領の騎士であれば居ても不思議じゃなくなったが、ハーヤ少年が居た頃は、ユストラン、あるいはそれに名を連ねるセラトゥーンのための場だった。

 ユーリエ・セラトゥナ、マノカ・ユストラン、年も立場も様々なお偉い連中様方が、こぞってハーヤ少年を『串刺しの(ツェヴェル)』と呼んでいびった。


 どこまでが真実かは知らないが、ハーヤ少年の親はユスルで反乱を起こしたが失敗し、串刺しになったのだ、という噂が流れたからだ……それが本当だっていうならレヴォノンとかいう国王のお膝元で生き延びられるとも考えられないがな!


 だがレヴォノンにも、こんなお宮様のお遊びを面白いと思わないドン臭い田舎者が居た。カトヴィア・ポロフツカヤ、セレントゥル雄公の長女でハーヤ少年と共にレヴォノンに来た、ハーヤ少年との一番の『悪友』だ。ハーヤ少年をドン・クルステン・ボグダンと名付けたのも彼女だ。


 これが、ボグダン大雄公が昔の名前を嫌う理由だろう。ツェヴェルと言われる事が嫌だったのか、もっと他の理由があったのかまでは知らないがな。



 ここまで話してわかっただろうが、本当のところ、ボグダン大雄公の生みの親がつけた本当の本名ってのは誰も知らなかったってこった。大雄公も、育ての親のハーヤ翁も、その主セレントゥル雄公サザラヤも……


 まぁ、世に知れたらきっとろくでもない事になるんだろうなぁとは思わんでもないがな!

 ボグダン大雄公は分からず屋のツァーリの子分どもを乗り越えて、魔軍との戦いで最も巨大な盾となった。

 そんなサクセスストーリーを持つ我らが最も偉大な大雄公。むしろそれこそが俺の養父(ちち)、ボグダン大雄公を表す名にふさわしいのだろうな!


 オーレンの酒場にて。この男が饒舌になったゼルム・セラトゥーンだと知るのは、この後のことである。


ストーリーの雰囲気の一つとして、デタラメな気分で書き上げた作品、設定資料の拡張みたいな感じです。

そもボグダン大雄公って誰だ、とかゼルムも誰だって事ですけど……リハビリで書いたら描けたってだけなので気にしなーいキニシナーイ。

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