6賢人
コゼットは炎に乗って狐系の族長が指定した場所に向かっている。キングストン王国の南西に位置する小島である。
今日も快晴で飛んでいると気持ちいい、魔物さえ寄ってこなければ。
「夏に燈に寄ってくる虫じゃないんだから、湧いて来るんじゃないわよ」
コゼットが炎の背中から氷の槍の魔法を魔物に向けて連射する。
面倒だが障害物にすらなっていない。炎はスピードを落とさず進んで行く。
しばらくすると島が見えてきた。森に覆われた緑の島の中央に大きな木が見える。
森に着いたコゼットはバイオレットから聞いていたとおり、木々の合間から見える中央の巨木を目指して歩いていく。
歩いていると魔石がたまに落ちている。見つけたら、ありがたく頂いて行く。ラッキーだ。
魔物が1匹も出ずに中央の巨木にたどり着いた。
木の周りに鮮やかな魔法陣がたくさん描かれていて、階段でそれぞれの魔法陣が繋がっている。その上に亜人がいるのがいくつか見える。なんか不思議な光景だ。
ボーっと木を見てたら、狐系の亜人の子供が迎えに来てくれた。
地面にある黄色の魔法陣に入ると浮き上がり、1番高い場所にある緑色の魔法陣にふわりとたどり着く。
緑色の魔法陣に乗ると景色が変わり、部屋のなかにいる。向かいには6種族の年配の亜人がテーブルを挟んで椅子に座っている。
「ようこそお越しくださいました」
狐系の亜人が話かけてくる。
「こちらこそ面談の機会をいただきありがとうございます。コゼットです」
狐系だけじゃなくて6種族いる。囲まれてるようで圧倒される気分だ。
まずは族長の自己紹介が始まる。
受けた印象はこんな感じだ。
狐系 ルナール 狐色が綺麗な女性
犬系 ペルロ 白黒のぶちが可愛い男性
猫系 シャシャ 流れる髪が優雅な女性
兎系 コネッホ グレーで引き締まった男性
猿系 モーノ 優しい顔の女性
馬系 マー 白色の理知的な印象を与える男性
「我ら6種族はそれぞれが対等な関係にあります。族長会議をする際の議長は、近年競走会の王妃杯を制した騎手がいる族長の役割になっています」
「競走会による安定した雇用、人間界での地位向上などを我ら一同喜んでおります。何より皆、競走会を楽しみにしております」
狐系の族長が代表して挨拶してくれる。
「皆さんに受け入れていただいて感謝しています。いまの競走会は皆さんと一緒に作り上げてきたものなので私1人の功績ではありません。これからも協力してより良いものになるよう取り組みたいです」
コゼットは思っていることを素直に伝える。
「聞いていたとおりの人物ですね。これからが楽しみです」
猿系の族長が優しく受け入れてくれる。
世間話を一通りして、話題が終わろうとしていた。
「実は今日は挨拶以外に最近の魔族の活発化についても話をしたいのですが」
今日のメインテーマだ。
「そうだな、我らも問題意識はある。勇者アンジェリカに今こそ出動要請すべきと考えるが皆はどうだ?」
馬系の族長が提案してくれる。色々な意見が出たが最終的に狐系の族長が採決を取ると満場一致で承認された。
「アンジェリカはいま任務でこの里にいない。戻り次第、コゼット様の元に行くよう伝えよう。魔族との戦いが落ち着くまで一緒に行動して貰おう」
犬系の族長ペルロさんが説明してくれる。
「あと我らから友好の証として飛翔のイヤリングを送らせて貰う。良かったら使って欲しい」
狐系の族長ルナールさんが翡翠のイヤリングを差し出してくれる。
鑑定眼によると単独で空が飛べるみたいだ。
すごいなこれ!
ありがたく頂いて退出した。皆さん友好的で本当に良かった。競走会も当初狙った亜人の地位向上に貢献しているようで嬉しかった。
アンジェリカさんがどんな人か気になったが、仲良くやっていきたい。会うのが楽しみだ!




