戦場
コゼットはキングストン王国の中部での紛争に参戦することにした。これ以上の魔族の活性化は抑える必要があると考えたからだ。
フル装備になったコゼットは転移でハザドに移動する。城内に着いたコゼットが見たのは、疲労困憊の中部軍だった。
「戦況はどうなってるの?」
近くにいた兵士の傷を賢者の指輪で治しながら話す。
「ありがとうございます、随分楽になりました。現在、我が軍は劣勢にあります。当初は野戦で互角の戦いでしたが、現在は押し込まれて城での籠城戦になっています」
そうであれば、負傷兵の回復にまずは注力しよう。
「ここに新たに救護室を作ります。私は治療にあたるので、あなたは回復した兵士と協力して救護室の設営をお願いします」
先程、治療した兵士に指示を出して負傷兵を治療していく。
救護室が新たに出来たのが伝わったのか、どんどん重傷患者が運び込まれて来る。大きな傷や火傷など様々だ。
さすがに続けて重症患者を治療していると疲労感が積み重なる。患者には悪いと思うが休憩しようとしたところで、イザヤ国王が運び込まれて来た。
ああ、酷い。どれだけ攻撃を受けたのか見るのも辛い状況だ。
「国王様を助けてください。最前線で戦い続けて皆を守ってくれたのです。何度も下がるよう進言したのですが頑として戦い続けられて、倒れられました」
涙を流す兵士たちに担ぎ込まれた。
「これより国王様の治療に専念します。重傷患者は他の救護室に回してください」
そう言うとコゼットはすぐに治療に入る。
ダメージが深いのか他の患者のようにすぐに治療の反応が返ってこない。
困ったら呼べって言っておいたのに、これじゃ死んじゃうじゃないか。欠損した腕は治るのか?
コゼットは全力で治療する。少しずつ回復しているが自分の力も枯渇してきていることが分かっている。
とりあえず、命の危険が無くなるレベルまではもってほしい。
「前線が崩壊しそうです。国王様を逃しましょう」
救護室に飛び込んで来た兵士が最悪の事態を告げる。
「国王様はいま動かせません。最悪、私が転移でお連れすることは可能です。前線はなんとかなりませんか?」
「国王様が抜けた影響で城門が破られるのは時間の問題です」
仕方ない。嫌だけど他に手が無い。
「炎お願い!少しの間でいいから助けて」
広場に出たコゼットは空に向かって叫ぶ。
すると、空から炎を纏った鳥が現れた。
コゼットは急いで国王の治療に戻る。
外からは魔物の声と炎の声が聞こえてくる。怪獣大戦争といったかんじだ。
しばらく治療を続けると、国王の顔色が随分良くなった。これなら動かせるかなと思ったら。
腕が生えた!
ビックリした!ズルリと生えてきた。直ったのは嬉しいが気持ち悪かった。。
「撤退するわよ、国王様を運ぶからしんがり戦に参加する兵士以外は1箇所に集まっといて、いいわね」
コゼットはそう言うと国王を連れて王都オベリスクに転移する。
王城の謁見の間に飛んだコゼットは、大声で助けを呼ぶ。駆けつけた兵士に簡単に事情を説明してすぐに治療するよう指示を出して戦場に戻る。
集まった兵士を一つの輪にして同じところに転移する。
初めての転移に兵士がどよめく。
魔力の枯渇で気を失いそうになるが気力でコゼットは再び転移する。
「しんがり兵はどのくらいいるんだ?」
戦場に戻ったコゼットだが兵士は数えるくらいしかいない。
「炎ありがとう!撤退して頂戴。力がまだあれば一発デカいのを放ってくれると助かるわ」
炎はそれを聞くと、敵に向けて火線で一帯を薙ぎ払って退却した。
敵が怯んだすきに最後の転移を実行した。
その後の記憶はない。
王国軍は負けたのだ。




