森の町インシア
コゼットは炎の背に乗り、森の町インシアに向かっている。以前の約束を果たすためだ。夕陽がとても綺麗に見える。
見えてきたインシアの町は黄色の屋根で統一された町で、開拓が進んでいるのか規模は大きく感じた。
コゼットは目立たないところで炎から降りて町に入る。ジャンにはいきなり会わず、いつもどおり酒場に行くことにした。まず町のことを幅広く知りたい。
仕事帰りなのか建築系の人が目につく。町が拡張してる証なのだろう。焼き鳥屋が見えたので釣られて入る。ヴェクス王国以来だ。エスクバードにも欲しくなった。
なんか前に入った店にそっくりだ。店内の感じも、メニューも同じに感じた。あそこの支店かな?
味は許容範囲ギリギリだ。レモン酒の味が薄いことが不満だったが値段は安いから相応なのかもしれない。
「賃金はなかなか上がらないがここなら食いっぱぐれることはないな」
やっぱり仕事はたくさんありそうだ。
「キングストンやヴェクスにあるものがここにはあるから便利な町だよな」
やっぱりそうなんだ。意図的に真似してるのかな?
「最近、木材の伐採が進んで職場までが遠くなったよ。ゴムの木も随分減ったなあ」
植林したりしないのかな?あまり刈りすぎると後でシッペ返しに合わないか心配になる。
この町の人の関心が大体分かったところで、町をぶらぶらする。さっき飲んだお酒が薄くて飲み足りない。今度はバーに入ってしっかり飲むことにした。
地ビールはなかなか美味しい。数はたくさん飲めないが満足感は急回復した。
酔った勢いで聞いてみる。
「マスターは、この町のジャンって人知ってますか?」
なんか今、ちょっと嫌な顔した?
「この町で彼を知らない者はいませんよ。町が発展したのは彼の商才のおかげですから」
やっぱり凄い人なんだ。
「ゴムの仕事をしてると聞きましたが」
「ゴムで財産を築いた後、手広くやってるよ。この町で1番評価されてる人物だ。誰に聞いても絶賛するだろう。でも、言いたかないけど黒い噂が付きまとう人物でもある」
「姉さんみたいな人が見かけに騙されて半端な気持ちで関わっていい相手では無いな」
マスターの話をそのまま信用する訳にいかないが、気になる話が聞けた。新しく事業を起こすと人には分からない苦労もあるだろう。
自分の目を信用することにした。
今晩はマスターに紹介された宿屋で休むことにした。
ゴムを原材料に新しい事業が出来ればいいなと思ってコゼットは休んだ。




