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原土

 王妃様と会ってからしばらくしたある日。

 コゼットがエスクバードに戻ったらやりたいことリストの1つに陶芸があった。良い土を探しに今日は出かけることにしていた。


 「勇者様、表に約束はないけど会いたいって言ってる男が来てます。ジャンと名乗ってますが始末しときましょうか?」

 ウェイドが物騒なことを言ってるが怪しい奴は確かに多い。


 「大丈夫だと思う。会うからすぐ行くわ」

 着替えてコゼットは階段を降りていく。


 「お待たせしました。どうかされましたか?」

 今日も爽やかな感じだ。


 「明日にはインシアには戻る予定で、よかったら今日は1日休みなのでコゼット様もお時間空いてないかと思いまして」

 おお!なかなか強引だな。


 「今日は確かに時間は空いてますが、これからやりたいことがありまして」

 ここはやんわりお断りして、レッツ土探しの一択だ。


 「ご一緒しても大丈夫ですか?」


 「へ?」

 思わず変な声が出た。遠慮すると思っていた。


 「実は陶芸をエスクバードでもしたくて、良質な土を探しに行きたいと思ってたんです。

 期待してる土に出会えないかもしれないので、すごく退屈ですよ」

 

 「奇遇ですね。私も以前から陶芸はやってみたかったんですよ。よかったらご一緒させてください」

 さすがやり手の商人、ぐいぐいくるな。すぐに飽きて帰りたがるだろうけど。


 「分かりました。このまま行きますね」

 城外に出て炎に乗る。空に飛び立つと目を輝かせて景色を見ている。楽しそうだ。


 「どこに行こうとしてるんですか?」


 「以前、陶芸を教わった場所に似た環境が無いか探そうと思いまして」


 「原土って言うんですよね。粘土質の土が出土しそうな岩石が多い山を探してるんですか?」


 「ご存知でしたか。エスクバードを南北に流れる大河をまずは王都から南に飛んでいます」


 「あそこはどうですか?」

 ジャンが指差しているところは確かに良さそうだ。


 「大河の水を使って原土を成形してみる。焼いてみないと分からないので持ち帰る」


 「次ですね、行きましょう」

 なんか私より楽しんでない?つまらなそうにされるよりは全然いいんだけど。


 この後、全部で5箇所から土を取ることができたので、王都に戻った。


 「お昼すぎてしまいましたね。よかったらこのまま料理屋に行きませんか?」

 ジャンが誘ってくれるので一緒に行くことにした。


 「どこかおすすめの料理屋はありますか?」

 アルバートの店を言いたいがあそこは会員制で誰でもは行けない。


 「行ったことはないのですが知り合いがお薦めしていた店でもいいですか?」

 マイファ村のパンチさんの紹介なので美味しいはずだ。


 目当ての店の前まで来て思った。

 ああ、パンチさんはよく私のことが分かっている。おしゃれ系ではなく、いぶし銀系の店だ。


 「鮮度が良さそうな海鮮の店ですね。私も魚は好きですよ」


 そこからは陶芸の話で盛り上がり、気がついたら今度インシアを訪れる約束をしていた。

 やばい、これが商談相手だったら完敗だ。コゼットは危機感を持った。


 ジャンさんのことは見かけで判断してはいけないことをコゼットは学んだのだった。

 

 


 


 



 


 


 


 

 



 


 

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