マイファ村
朝からお城に呼び出されてようやく開放された。
危機感を共有できて良かった。
他国に入るときは早く入れて欲しかったけど、こういうことが起きると規制を厳しくして欲しくなるのでバランスが難しいと感じた。
朝ごはんを食べ損ねたので目についた料理屋に入る。冷たいおしぼりが気持ちいい。キングエスクバードでは結構な割合で料理屋におしぼりの導入が進んだんだよね。
今では、ここから南に1kmくらい行った川沿いの村に製品製造管理、宅配回収まで全部任せたのでリンク商会ではおしぼり事業に関わっていない。
コゼットはこの村に行ったことが無いので、見てみたくなった。おしぼり事業を譲渡したのはコゼットが旅に出てからだった。
近いこともあって歩いてみる。天気がいいので遠足みたいな感じだ。
見えてきた村は聞いていたより大きい。
パッチワークのカラフルなおしぼりが干してあるのが見える。鯉のぼりみたいだ。これだけで観光が来そうだけど。
名前を名乗ると村長のところに案内された。
「コゼット様、初めまして。マイファ村の村長をしておりますパンチと申します」
パンチさんは若い。やり手な匂いがする青年実業家って感じがする黒髪のイケメンだ。いい意味で農村の匂いはしない。
「コゼットと申します。突然すみません」
事業譲渡した後、どうなったか気になって来た説明をした。
「この町は農作物の育成が中心でしたが、おかげ様で新しい事業の柱に育ちました」
「負担になってなくて良かったです」
「農作物はどうしても天候の影響を受けるので不作になる年があるのですが、おしぼり事業は安定した事業収益を出してくれるので助かっています。また、料理屋とパイプが出来たのでうちの野菜を買って貰えてシナジーも出ています」
「喜んで貰えているようで良かったです」
「最近は人が移住してくれているので農業との兼業から専業化しつつあります」
村ごと発展してるんだ。
「良かったら糸に関する事業もされませんか?」
もう地下4階の事業を全部任せて、うちは違う新しいことをするのが正しいのかもしれない。
「ありがとうございます。期待に応えられるよう前向きに検討させて頂きます」
後日、うちに来てもらうことにした。
◆
パンチさんとの打ち合わせの日だ。
事前にドワーフのトーマスと協議して事業譲渡に賛成して貰えた。今日は同席してくれる。
カランカラン
パンチさんと3人の部下が来た。
2階の会議室に案内する。
トーマスから糸事業の概要、具体的にはどんな作業をしているかひととおり説明してもらってから、地下の現場に向かった。
「これならマイファ村でも出来そうです」
現場を見たパンチさんは技術的な質問をトーマスに熱心にした後、引き継ぐ決意をしたようだ。
あとは譲渡に伴う契約条件の調整だけだがそんなに難しくはない。
良かった。これを成功ケースとして確立した事業は今後はどんどん外部にお願いしていこう。
アシュリーさんからの宿題が一つ片付いた。
スッキリだ!




