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フクツノヒナタ

 昨日の競走会での敗戦が頭に残り、夜はあまり寝られなかったのだ。

 朝起きてすぐにほむらに乗ってエスクバード東部の砂漠に向かった。


 「上空から探したらキングホーンの群れを見つけやすいかな?」

 コゼットは砂漠に入ってからは高度を下げて注意深く辺りを見渡す。

 それにしても暑い。。


 「いた!」


 10頭の群れを見つけた。先頭を走る体の大きいキングホーンを注視する。

 気配をあえて伝えて逃げる際の能力を見る。


 「優秀だけど飛び抜けた感はないな」


 後ろを追うのをやめて別の群れを探す。お騒がせしました、ごめんね。

 この後もいくつか群れを見つけたが、コゼットの目を惹きつける個体はいなかった。


 「だいたい良い個体は狩られたのかな?」


 以前に地龍を討伐したエリア近くまで砂漠地帯を深く横断していた。

 そろそろ炎も疲れただろうし、帰ろうかなと思った時に群れではなく1頭でいるキングホーンが視界に入った。


 「はぐれたのかな?さっき見た群れに誘導してあげようかな」


 他でやったみたいに後ろから気配を伝えて、逃げるよう追い込むが無視された。

 なんか鼻で笑われた気分だ。

 

 「なんだあのキングホーンは?変わってるな」

 コゼットはあのキングホーンに興味を持った。


 仕方ないからコゼットが砂漠に降り立ち、走ってキングホーンを追い込もうとしたら相手はすごいスピードでコゼットに向かってきた。


 「は?逃げないの?」


 咄嗟に正義の剣が出てきてキングホーンの角での攻撃を防ぐ。

 コゼットはバックステップをして距離を取る。


 「向かって来るなんて最高じゃない。私が飼い慣らしてあげる」

 コゼットの闘志に火がついて笑みを浮かべる。なんだか相手も笑ってるように見える、上等じゃないか。


 キングホーンと結構な数打ち合ったが、相手の闘志は旺盛なままだ。

 パワーもスピードも他の個体と比べて段違いだが、何よりこの闘志が気に入った。


 コゼットは集中して正義の剣に全てを委ねる。最大限に力を発揮して次で決めてやる。

 

 鋭い剣筋で両方の角を切り落として、睨みつけるとキングホーンは大人しくなった。

 その場にしゃがみ込んで従う姿勢を示した。よし!


 すぐに賢者の指輪で切り落とした角を復元してあげた。


 炎とキングホーンに触れてキングエスクバードに転移する。

 そのまま、城外にあるコゼットの厩舎に捕まえたキングホーンを連れて行った。


 「この子の名前はフクツノヒナタ。他のキングホーンと同様に目をかけてあげてね」

 

 そういうと捕まえた経緯などを伝えて、係員に登録手続きなどをお願いした。

 これで王様も目じゃない。この間のレースに出てればぶっちぎりで優勝だったはずだ。


 そう思っていると、王様の厩舎長がコゼットの厩舎に来た。

 普段から情報交換は結構していると聞いている。野生のキングホーンを飼い慣らすのは大変だし、

 まだまだ知らない習性もあるようだ。


 「コゼット様、ご無沙汰しております」

 

 「ノーム厩舎長久しぶりね。昨日はやられたわ」


 ノームは亜人の兎系だ。白いふわふわの毛並みに赤いつぶらな瞳が超かわいい。

 競走会の運営全般で随分と亜人に助けられている。


 「いえ、昨日のはどっちに転んでいてもおかしくありませんでした」


 「見て、今日うちの仲間になったフクツノヒナタよ」


 「これは!まだこんな逸材がいるんですか。冒険者ギルドがいい金になるって一時期乱獲したのでもうこんな逸材はいないと思ってました。規制はしたんですが、その後は少し小ぶりなキングホーンばかりになってしまって」

 冒険者ギルド長のジェイクを後で絞めてやらないと。


 握手をして互いの健闘を誓って別れた。ちなみにうちの厩舎長は狐系のバイオレットに任せている。

 紫の毛並みに妖艶な色気がある。今日はたまたま外出してたみたい。


 フクツノヒナタのデビュー戦が楽しみだ!


 


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