旅の終わり
コゼットは港町グランベルンで優雅にお茶をしていた。工業都市テクニークは今朝、相棒の馬と出た。
「そんな大騒動になったんですか?」
ディーンさんが可笑しそうに笑う。ディーンさんはプライベートジェットを買った商会長の名前だ。
「そうなんですよ。再戦しろって周りが勝手に盛り上がって宿屋が取り囲まれて困りました」
「それだけ良い勝負だったんでしょう」
ディーンさんは満足げだ。
「助けていただきありがとうございました。おかげでレースになりました。いや、焦りましたよ」
「あれも英雄王らしくしていればいいのに。今年はドラゴンボートが中止でストレスが溜まってたんでしょう」
「ところでディーンさんはガングリッドさんの師匠なんですか?」
「バレましたか、昔の話です。いまの"グランベルンの悪魔"はコゼット様ですから」
ディーンさんは楽しそうに微笑んでいる。
「まだグランベルンに噂が届いてませんが、広まるとコゼット様はテクニーク以上の人気者になりますよ」
ディーンさんには揶揄われっぱなしだ。
次は購入したプライベートジェットの定期検査で会う約束をして別れた。
長い旅をしてきたが、これでエスクバードに戻ることにした。この1年超の旅は大変だったけど、すごく良い経験になった。
港町グランベルンからキングエスクバードに向けて購入したプライベートジェットで海を進んでいる。
波の影響は受けないし、多少なら目を離しても大丈夫なので観光気分だ。
◆
懐かしの故郷が見えて来た。
仲間の顔が思い浮かぶ。
入国審査官に勇者の印をみせると大騒ぎになった。
「コゼット様がお戻りになられたぞ」
審査官が叫ぶと辺りはざわめき、口々にみんなから声がかけられた。
「おかえりなさい」
私は「ただいま」と答えて破顔した。
みんなに早く会いたいな!
第3章END




