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グランベルンの悪魔


 コゼットは宿屋で朝食を取っている。

 昨日食べ過ぎたので軽めの内容にした。


 「そうなの、ドラゴンボートをやってるところ見たかったんだけどね」

 コゼットは給仕係の女性とたわいもない話をしていた。


 「テクニークに来てドラゴンボートを知らずに帰すのは英雄王ガングリッドの名が廃る。姉さん、俺の相棒に乗せてやる。行くぞ!」

 タンクトップのマッチョなおじさまが何か言ってきた。


 「え?え?」

 給仕係の女性に助けを求めると説明された。

 毎年のレースで優勝した者は英雄と呼ばれ、優勝回数最多の者が英雄王と呼ばれることを。


 ここの宿屋のオーナーはその英雄王だったのだが知らなかったよ。焼き鳥屋さん先に教えといてよ!


 ガングリッドさんについていくと、羨望の眼差しを道にいる人から感じる。芸能人みたいなものかな?


 港に着くとドラゴンボートを保管しているガレージがずらりと並んでいて、1番手前が英雄王専用のガレージであることを教えて貰った。


 なかは、真ん中にジェットがあった。流線形のシルバーのフォルムに赤のラインが入った、めちゃくちゃカッコいいマシンがあった。機体の横には王冠を被った男の絵がマークされている。英雄王のマークだと思う。


 工具は整備がきちんとされていて、大きさの違う作業台がある。


 「これがジェットだ。5人1組で競い、テクニークから外洋に浮かぶポールを回って、ここまで戻って来てゴールする競技だ。途中、障害物を避けながら体力を上手く温存出来るよう駆け引きしながらゴールを目指すんだ」


 「なんだ思ったより簡単そうね。私のジェットでも簡単にやれそうだわ」

 他意は無かったのだ。ただの感想だったんだよ。


 「ほう、俺に挑戦する奴はもうこの町にはいないと諦めていたんだ。久々に血がたぎって来たぞ」


 「え?」


 横にいたガングリッドさんの目が光ってるよ。

 失敗したことにコゼットは気づいたがもう遅かった。


 「ガングリッドさんが走るぞ!我らが英雄王によそ者が楯突いたぞ!!」


 外にいた若者が叫ぶと割れんばかりの地響きが聞こえた。完全アウェーだ。どうしよう!


 空いているガレージを与えられたが何をしたらいいか分からない。ガレージの前の扉を閉じてコゼットは港町グランベルンのジェットを買った商会に転移した。


 「助けてください!」

コゼットは商会長に飛び込み事情を説明した。


 「ほう?そんな幼稚なことをガングリッドが」

 なんか商会長もテンションがおかしい。


 「分かりました。コゼット様が保有しているジェットはレジャー用です。とてもガングリッドには敵いません」


 「よろしいでしょう。ジェットの中心がいつまでもテクニークで無いことを教えてやるとしましょう。

 見るがいい、グランベルンの悪魔の性能を!」

 やばい!完全に商会長の目がいってる。


 商会長が厳選したメカニック5名とジェットを触って、テクニークのガレージに戻った。


 ガレージの中央にはジェットがある。漆黒のジェットに金色の綺麗なラインが入っている。メカニックがワンポイントを横に描いている。翼の生えた髑髏マークだ。


 操作は車のオートマみたいなものだった。安易に簡単って言うのは控えよう。


 川で試乗して感覚を掴んでいく、ゲーセンの車ゲームと思うようにしよう。


 2台でスタートラインで待機している。旗が振られてたらスタートだ。今更、ドキドキしてきた。

 周りは大観衆になっている。お祭りはダメなんだよね?


 そういや商会長に乗り込む時に言われたな。

 "始まったらアクセルはベタ踏み、ブレーキはゴール後"だっけ。途中にアクセルを緩めたら、波に乗る場所によっては吹き飛ぶから絶対ダメ?だっけ。


 旗が振られた、スタートだ。


 ガングリッドが先行して、コゼットは後ろにつく。

 それにしても凄いスピードだ。これで障害物があって避けるんだよね。


 最初の障害だけど、あれなら避けなくて大丈夫。

 ガングリッドの動きに追随する。


 次は左右どっちかに避けないと。

 ガングリッドに追随する。


 S字?

 ガングリッドがスピードを落としたので、後ろから抜いてしまった。壁まであとセンチだったよ。危ない。


 右と左が少し開いている。

 その先が分からないから勘に頼る。左!


 またSだ。危ないってーー!

 懸命にハンドルを操作して体重移動する。


 外洋近くになって波のせいで上下にバインバインしている。大丈夫かな?


 フラッグが見えた。え?ブレーキ踏まないであれ回るの?機体を滑らせながら名いっぱいハンドルを切る。ガングリッドが内側をターンして行くのが見える。


 ターンできたんだってばよーーっ!

 心のなかでガッツポーズだ。


 機体が並んだ。こっからはコース取りの頭脳戦だ。行きはコースが分からなかったけど、帰りは分かる。


 幅寄せはズルい!負けずに押し返す。


 途中抜きつ抜かれつデットヒートを繰り返して

 最終の障害を抜けた。


 完全に横並びだ。


 機体を軽くするのはもう息を止めるくらいしか思いつかない。前傾姿勢でゴールに突っ込む。


 どっちだ?



 あ、ブレーキ!めいいっぱいブレーキを踏む。

 Uターンしてガレージに戻る。


 ジェットから降りると大歓声だった。

 メカニックからはバシバシ叩かれる。

 痛いって、もう!


 結果は同着だった。

 なんか身体に力入れ過ぎたせいで、あちこち痛い。


 ガングリッドさんがガレージに来た。怒られる?


 「ナイスファイト!楽しかったぞ。名前は?」


 「グランベルンの悪魔です」


 「なんでお前が俺の師匠の機体に・・・」


 その後はなんやかんや片付けて宿屋に帰った。

 商会長さん結果報告したら大爆笑してたな。

 まあ、いいか。


 後に伝説になる戦いを終えたコゼットは休むのであった。


 


 


 


 

 


 


 

 



 

 

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