救出
お昼はオムレツとスープだった。この宿屋のなかは平和である。そういや、お米はまだ見たことがないな。
「勇者様が捕らえられました。お逃げ下さい」
宿屋に若者が飛び込んできた。
宿屋の主人に当分店を閉めるよう伝えて若者について行くと、地下道から城外に出た。
「ご無事で何よりです」
さっきの農民たちだった。
「代表のクリフです。先程は助けていただきありがとうございました。私たちはここから北にあるサボン村の者です」
改めて事情を聞くが事前に知ってた情報の通りだった。さてどうするか。
どう考えても手が足りない。デメちゃん救出作戦しかないか。
「勇者様の居場所は分かる?」
「仲間の情報では地下牢に入れられていると思われます」
「夜にこっそり忍び込むしかないかな?」
「忍び込むなら、牢番の交代の時間である夕方がよろしいかと。夕食を出したりバタバタする時間ですし、明るさもまだあります」
なるほど、理に叶っている。相談した結果、3人で侵入することになった。
少し仮眠をとって夕方に備えることにした。
◆
3人で来た道を戻る。
城内は昨日と何も変わらず落ち着いていた。
人目につきにくい道を選んで、とある店に入った。
城内の下級役人・囚人向けに食事を提供する商会である。
クリフたちはこの商会に農作物を卸していて、農作業のオフシーズンには出稼ぎで作業員もしている。
作業員を変わって貰って城内に紛れ込むことにした。この商会の作業服である白いつなぎを服の上から着る。
地下牢は湿っぽい嫌な匂いのする場所だった。
食事を配りながらデメちゃんを探すがなかなか見当たらない。
しばらく探すが見当たらないので、同行者に相談すると、もう一階降りた場所に拷問用の隠し独房があると言う。
いた!拘束されている。
「大丈夫ですか?」
コゼットがデメトリアスに声をかける。
「骨が折れてて動けない」
よく見ると酷い傷だらけだった。掠れた声が返ってきた、よく生きてる。
コゼットが賢者の指輪で治療すると、みるみるうちに外見にあった傷が治っていく。
「これで大丈夫だよね」
コゼットは正義の剣で邪魔な障害物を切り裂いて中に入っていく。
「凄いな、あんた」
デメトリアスは自由になった身体をほぐして状態を確認している。
「装備はどこにあるか分かる?」
「大丈夫だ、呼べば来る」
そう言うと、片手剣と鎧に盾が飛んで来た。
勇者っぽいじゃないの!
「黒幕に心当たりはあるかしら?」
コゼットはデメトリアスが正気か探りながら質問する。
「マクスウェル宰相だ、間違いない」
コゼットたちはデメトリアスの仲間を牢屋から開放していく。邪魔する奴はすべて排除した。
外庭まで戻ってきたときに上空から声が聞こえた。
「地下からのネズミは排除いたしましょう」




