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ヴェクス王国へ


 キルフェで治療をした翌日の夜になった。


 海側の井戸を使っていた人が数人今日も体調不良で寺院に来たけど、まったく違う場所が原因で来ることはなかった。3つの井戸は封鎖したので時間の経過とともに落ち着くだろう。


 「お客さん今日も悪かったね。観光に来たのに町のみんなを1日治療するだけなんて」

 宿屋の女将さんがコゼットたちを気遣ってくれる。


 「とりあえず収まりそうですね」


 「そうだといいけどね。井戸で毒が発生した理由まで分かるといいんだけど、それは町長が調査するさ」

 気にはなってるけど、女将さんの言うとおりそれはここの人たちの問題だ。


 「店が空いて無いだろう?本当なら外洋だけを泳ぐ魚の海産物を味わって貰ったり、海で愛嬌のある魔物を見てもらったり、海が凍ったり色々ここだけの物があるんだよ」


 なんかいいこと聞いた。ここには改めてまた来よう。



 翌朝、キルフェの寺院に来た。

 ローズに会うためだ。


 「助けてくれてありがとう。先に町を出て申し訳ないけど、後はお願いします」


 コゼットはローズの献身性に頭が下がる思いだった。


 「いえ、賢者様が対処していただいて助かりました。私たち5人だけだったら、サラたちと同じことになってたかも知れません」


 ローズとは苦労話を少しした後、ハグをして別れの挨拶をした。


 次の目的地のヴェクス王国行きのフェリーに乗り込むためだ。


 ◆


 フェリーの甲板は少し肌寒い。


 キルフェの女将さんが言ってた魔物や氷が見えないか外を見ていたのだ。


 「美女は何をやっても絵になるね、僕たちの再会に祝福あれ!」


 ・・・シャノンだよ。あの1瞬しか会ってないのに名前を覚えさせられた個性の固まりの人だ。


 「あなたがどうしてこの船に乗っているの?」


 「僕たちの運命だよ、マイハニー」

 足の甲を思いきり踏んでやった。


 「・・・ヴェクス王国への出張公演だよ」

 シャノンは大袈裟に足を抱えて弱々しく答える。


 「なるほど、じゃこんなところで風邪をひいたら大変だわ。早く部屋に戻った方がいいわよ」


 どっか行ってと遠回しに言ってみた。


 「そうだね、ヴェクスにいる僕のたくさんのファンを悲しませる訳にはいかないし、君がそこまで心配してくれるなら素直に戻るとするよ」


 去り際、ウインクされた。。


 「やあ、マイハニー!初めまして、君のフィアンセのシャノンだよ」


 甲板に出て来た違う女性にやってるよ。あれ女性への定型文の挨拶だったんだ。反応した自分が恥ずかしい。。


 ヴェクスではなるべく関わらないようにしよう。



 キングストン王国の北の港町キルフェを出て1週間くらいだろうか、ヴェクス王国の大陸が見えてきた。

このまま近づいて、フェリーで川を遡って内陸を進む予定だ。


 ヴェクス王国の王都パシュパティは大陸の真ん中にあり、川には隣接していないので途中からは陸路を進む必要がある。


 長距離航路のフェリーは設備やサービスが充実している。フェリーでの生活も残り日数が僅かだし、ここでの生活を楽しむコゼットであった。

 

 


 


 

 

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