オベリスク出発
ジミーは地頭がいい。
1日みっちり、リンク商会の事業戦略や個別の製品などについて、絵を描きながら分かりやすい言葉で説明し、質問がある都度、丁寧に回答するレッスンをしたら、ちゃんと理解してくれた。
キングホーンの競走会には驚いてたけど。新しい製品だし、種類も色々なので混乱してもおかしくないのだ。
定期的に手紙で情報交換することにした。
ジミーは不安そうにしてたが、今までとやることは特に変わらない。
緊急事態は無さそうだが、あれば炎で来よう。
◆
「もう去るのか、生き急いではならんぞ」
国王様はこう言われるが、なんだかんだで1ヶ月くらいはいたはずだ。
「ワシの紹介した者とは会えたか?」
「商業ギルド長と寺院の長であるアネット様にお会いしました。ありがとうございました」
ギルド長、最初に言っといたよ。
「劇場長は来なかったか?」
「代理でおかしなのが来たので追い返しました」
「劇場長は気分屋じゃからのう。興が乗れば面白い話がたくさん聞けるんじゃが仕方ない。予算削減して反省させてやるわ」
「我が国の勇者殿は来たか?」
「いえ、別に勇者がいるんですか?」
「勇者はエスクバードだけのものではないからな。
当然、キングストン王国にもおる。会いには行かなんだみたいじゃが」
まあ、私も知らない人に会いには行かないかもしれない。
「またどこかで会えるだろう。機会はいくらでもある。この後はどうするつもりじゃ?」
「北の港町キルフェに陸路で向かいます」
「そうか、まだこの季節なら問題あるまい。良いところぞ」
「そうだ、選別をやろうと思っておったのだ。ワシ個人としての所有物である"時空の腕輪"じゃ。ワシの葬儀にはちゃんと出てくれよ」
「縁起でもないことは言わないで下さい。また会いにきますから」
なんか寂しくなるじゃないですか。
別れの言葉は尽きないが退出した。
部屋に戻ってターナーさんとカルラともお別れの挨拶をした。この街では多くの人とご縁があったのだ。
◆
コゼットは北の港町キルフェに向かって馬車に乗っている。乗客はたまたま1人だったので、寝て過ごしている。
そういや、時空の腕輪を鑑定してなかった。
鑑定眼起動!
時空の腕輪 本物・時価(値付け不能)
すごい品だな。一度行った先には行けるらしい。
今回の旅で行けるところがたくさん増えた。
ありがたい。
数日揺られているとキルフェが見えてきた。
こじんまりとした、白壁と緑の尖った屋根で統一された町が見える。
とうとうキングストン王国の最北端まで来た。南北縦断の旅の終着点だ。
どんなところか楽しみだ。




