支店開設
「やあ、マイハニー!初めまして、君のフィアンセのシャノンだよ」
ああ、白いタイツが似合いそうな緋色の髪で細身な青年がキラキラした背景とともにやって来た。
◆
「カルラ、お引き取りいただいて」
コゼットは即座に判断を下す、価値なしと。
「待って、僕は王立劇場のトップスターだよ。
文化芸術に関しては僕の右に出る者はいないんだ」
「2度は言わないわ。珍しく正義の剣と意見が一致しそう。鞘から剣を抜いたら私ではコントロールできないの。2秒で消えなさい」
正義の剣がコゼットの手に握られている。
鞘から剣が抜けていくのを見たシャノンは顔を青くして部屋を慌てて出て行った。
「申し訳ありません、コゼット様」
「さっきのは何?」
「身元は本人の言っていたとおり、王都オベリスクでは非常に人気のあるトップダンサーです。劇場長の代理で来たと申しておりました」
「そ、次からは代理は取り継がないで」
「分かりました。大変申し訳ありません」
カルラが肩を落として下がっていく。
◆
気分転換にカルラと街中を散策することにした。
大通りを城から城門までまっすぐ両脇の店を見て散策している。
そう!コーヒーだ、コーヒー。
道具ごと全部買っちゃうよ!
街の真ん中くらいに専門店を見つけた。
道具も売ってる。最高じゃない。
豆の産地はヴェクスだけだ。どうりで見ないはずだ。気候の影響だろうか?
とりあえず、買えるだけ買って収納袋に保管した。
カルラが収納袋を見て驚いていた。
城の規模の割合には料理屋が少ない。
みんな自炊してるのかな?
「女性の服装が明るいね。今年の流行り?」
「基本的には明るい色が多いです。冬になると暗くなるので気分を高めるんです」
カルラが今年流行ってる服の形を熱心に説明してくれた。
店先の毛皮商品も充実してる、いいな。
来た時に鑑定眼が反応したんだよね。この辺だったと思うんだけど。
「あった!香辛料か。なる〜」
カルラと店に入る。さすが貿易の街!種類がハンパない。胡椒は見たことあるけどなかなか買えない。お、これでカレー作れるんじゃない?大人買いしちゃおう。
「すみません、全部ください。良かったら店ごと売ってください。ダメならキングエスクバードまで定期配送してください」
店員さん目が点になってる。慌てて店の奥に駆けていく。
「あんたかい?面白いこと言うお姉さんは?」
なかからこげ茶の天パ髪の職人みたいなおっさんが出てきた。
「そうよ。エスクバード王国でリンク商会の代表を務めているコゼットと言います。転売しないから、全種類3ヶ月に1回定期発送して頂戴」
「うちの商品を高く評価して貰うのは嬉しいけど、国外はお金をちゃんと払ってくれるか、なあ?」
「分かった、金貨100枚預けます。これでいい?」
コゼットは収納袋から金貨袋をドンとテーブルに置く。
「店が買えちまうよ、これじゃ」
「そう?じゃ、買うわ。あなたは引き続き代表ね。いいでしょ?」
そう言うと金貨100枚を追加した。当座の資金だ。
「分かったよ。無茶苦茶だな、あんた。ジミーだ」
握手をして意思確認は成立した。
リンク商会オベリスク支店の誕生だ。
「連絡が必要になったら、お城に来て」
そう言って嵐のように去っていった。
いい買い物が出来た!カレーが食べれるぞ!




