飲みニケーション
昨日は夕食も取らずに寝ていたみたい。
気がついたら朝になっていた。
来客用の部屋なのだろう。広くて家具もセンスがいい。体を伸ばしているときに部屋付きの人が入ってきた。
「朝食にされますか?」
「ええ、お願い」
ここからがビックリだ。
飲み物は紅茶かコーヒーどちらがいいか聞かれた。
コーヒーあるの?この世界で初めて聞いた。
もちろんコーヒーを選択してミルクもお願いした。
カフェオレにしたい。街に売ってたらいいな。
食べ終わって落ち着いたタイミングで昨日出迎えてくれたおじさんが来た。
「少しお時間よろしいですか?
私は国王様の秘書をしていますターナーと申します」
赤毛をオールバックにした背の高い細みの印象だ。
執事のような白のシャツに黒の服装をしている。
「エスクバード王国で商人をしていますコゼットと申します」
勇者は名乗るのが恥ずかしいので割愛した。
エスクバードからここまであったことを改めて聞かれたので長くなりますがと前置きした上で、ありのままを話した。
「それではここには見聞を広めるために来られたと?」
「そうです。商人として」
勇者としてではないことを強調しておく。
「あとライシャの皿を献上したいです」
「先程、グラン村にも行かれたと言われていましたね。貴重なお皿をよろしいのですか?」
「ライシャの皿は国宝認定されていると伺いました。実は複数枚保有しておりまして、一部を献上するので残りは保有と譲渡の自由を認めて欲しいのです」
「黙っていることも出来たでしょうに。分かりました少しお時間を下さい」
「一度、国王様にお会いいただきたいのです。それまでの間の生活は先程の部屋付きの者がすべてお世話をさせていただきます。街に出るのも自由です。城外に出る場合は事前にご相談ください」
「カルラ、頼んだぞ」
ターナーさんはそう言うと部屋を出た。
カルラさんは当初のキーラと同じに思えばいいのかな?
カルラは、20代でしっかり者の印象だ。オレンジの髪を後ろで束ねて黒い女中服を着ている美人さんだ。
せっかくだから、キーラにして貰ったようにこの国のお勉強会をしてもらおう。
「カルラ、時間のあるときでいいのでこの国について教えてもらえない?」
「お望みでしたら、私が知る範囲ですがお話いたします」
そう言って、カルラのキングストン王国講座が始まった。
・この大陸はこの世界で一番大きいこと
・縦長のこの国は北部は寒く、中部は温暖、南部は暑く同じ国なのに環境が全然違うこと
・魔族との争いの最前線にいる軍事強国であること
・北部に限定すると食物が育ちにくいので貿易が盛ん
・オベリスクはこの世界でもっとも人口の多い都市で、文化芸術の発信地であり、宗教が生まれた神聖な場所であること
なんかすごい国であり、都市なのは分かった。
エスクバードで取り入れられるものがないか考えてみよう。
せっかくだから、カルラのことを知る懇親会にしよう。南部で買ったつまみと地ビールを収納袋から取り出して並べる。
「お互いを知る機会にしたいの。良かったら付き合って」
コゼットはカルラに勉強会はお終い、ここからは懇親会と言って昼前からお酒を勧める。
「分かりました。お呼ばれいたします」
カルラは聞いたらお酒は大丈夫なようだった。良かった。
「カルラは今の仕事長いの?」
「15の時からですから10年は超えました。代々この仕事をしています」
「コゼット様は商人であり、勇者であり、陶芸家ですか。多才ですね」
そうか、ターナーさんと話した時いたもんね。
「いや、そうでもないよ。そうやって並べられると凄そうに感じるけど、まだまだ何も1人じゃ出来ないのですよ」
コゼットは戯けて答える。
この後、お酒が進みお互いについて話したので、距離が近くなったように感じた。
私もとうとう飲みニケーションを覚えた!




